日光 雲竜瀑東尾根 敗退
バリエーションコース
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アクセス・コースタイム
2017年8月6日(日)
電車:高砂駅[4:45発]-南栗橋、栃木経由-東武日光駅[7:36着]
(株主優待券 800円+定期)
バス:東武日光駅[7:40出 奥細尾行き]-神橋バス停[7:46着]
(東武バス200円)
徒歩:神橋バス停[7:50出]-外山参道入口[8:10着]-
-外山山頂[8:42着/8:45発]-コル[9:52着/9:57発]-
-853m小ピーク[9:14着]-日光東照宮山林の碑[9:25着]-
-991mの肩[9:47着]-標高1050m付近[10:00着]-
(ここで山ヒルの攻撃に遇い敗退)
-光東照宮山林の碑[10:20着]-鈴木さんの庭[10:40着]-
(ここでヒル退治をしてもらい、暫し休憩・昼飯)
-鈴木さんの庭[11:40着]-東武日光駅[12:25着]
電車:東武日光駅[13:30発 新栃木行き]-
-栃木駅、南栗橋、北千住駅経由-
-高砂駅[16:40着]
(株主優待券)
【はじめに】
5月の山行「毛猛山」「六郎地山」以来、山から遠ざかっていた。
今日は久々の山行だったが、想定しなかった結果に終わった。
2年前、雨が続いたあと、やっと晴れたので出かけた「佐野」の山。
結果、山頂も踏めずに敗退した。
今回も全く同じ状況だ。
今回のコースは、「黒岩」に行った時から考えていたコースで、「黒岩」の尾根に並んで「日光東照宮」から「赤薙山」と「赤薙奥社跡」の間に伸びる尾根。
「昭文社」の地図にもルートが載っていない。
(かってに「(仮称)雲竜東尾根」と名付けた。)
「黒岩」」から見ると、「(仮称)雲竜東尾根」に一本の路が付いていて、歩いたら気持ちの良さそうに見えた。
そして 「赤薙山」の手前では、急な岩の斜面になっている。
岩場なら楽しいが、浮石だらけの斜面だったら危険で登れないかもしれない。
今回、天候は良くないが、6月、7月と仕事で山に行かなかった反動で、天候が今一とわかっていても出掛けてしまった。
その結果が、このようなことになるとは。
自分の読みが甘かったと言うしかない。
8月6日(日)
いつもの始発に乗る。
東武線「牛田駅」を出ると、寝不足を取り戻すため音楽を聴きながら一眠りする。
「栃木駅」で乗り換え、窓ガラスを見ると雨垂れがたくさん付いていた。
『あっ、雨が降ったんだ。』
でも「日光駅」が近付くと空は明るくなり青空さえ見え始めた。
『しめた、天気予報は良い方に傾いた。』
駅からバスで「神橋」まで行き、ここから「外山(とやま)」の麓まで一般道を歩く。
「稲荷川」まで来ると「外山」のこんもりした山頂と、遠くに「女峰山」のピークが見えた。
『このまま天気よ、もってくれ。』と願った。
別荘地の手前のカーブミラーに「外山参道」の看板があり、ここを右(北東)に進む。
突き当りを杉林に入ると鳥居が見える。
「日光」らしい山様だ。
杉林の路は広いが湿っていて、風もなく蒸し暑い。
徐々に傾斜は増し、鉄製の手摺と露岩のところまで来ると山頂は近い。
山頂手前には、コンクリート造の社があり、いつものことだが下山の無事を祈る。
社から南面は開け、「鳴虫山」、「日光」から「今一市」の市街が見下ろせる。
山頂は、社の左を登るとすぐである。
8時42分、外山(880.1m)の山頂に到着。
山頂は樹に囲まれ、北側、「女峰山」側の眺望は良いが、あいにくガスの中だった。
鳥の声とセミの声が入り混じっている。
小ナラ林の北側斜面を下る。踏み跡は薄い。
少しすると緑が鮮やかな草原のコルに着く。ここで一本取る。
ここから松の木が多い緩やかな登り。
10分程で、赤い杭がある小ピークを通過する。
この先は、小ナラをツツジの尾根歩き。
更にその先は、カラマツの林。足元は背の低い笹が続く。
すぐに853mの小ピークに着く。
赤い小さい石標が、路から外れたところに立っている。
ここでコースは左(西)に下る。
10分程進むと、白いロープが路を通せんぼしている。
そこには石碑が建っている。
「日光東照宮山林」と彫られ、植林の本数などを記されている。
ここは、国土地理院の地図で、破線の途切れたところだ。
石碑のとおり、ここ付近は杉と檜に囲まれ薄暗い。
標高900m付近の登りは、国土地理院の地図とは違い尾根に沿って路が続く。
991mのポイントまで登ると、前と同じカラマツと熊笹の路になる。
ここには県有林を示す看板が立っているが、なぜか路から外れて立っている。
きっと以前は、路が看板の前にあったのだろう。
この先は平坦な尾根に変わるが、今までと変わって熊笹が大きくなり、雨露でズボンが濡れるようになった。
5分程進むと、急坂になり足元が滑りやすくなる。
この登りを超えれば、1098.4mのポイントに出るはずだ。
と、その時、ズボンの左太腿の付け根が赤く滲んでいるのに気づく。
ウエストバッグからチョコでも溶け出したかと見るが、バックは汚れていない。
ズボンのポケットに入れたストックカバーが何かしでかしたかと取り出すも何もない。
と、その時、ポケットのメッシュを見てビックりした。
『赤い。血だ!』
その瞬間、山ヒルだと気づき、ズボンの裾を見る。数匹動いている。
慌てて払いのけ、迷いもせず「退却」と判断すると、登ってきた路を掛け下りた。
読みが甘かった。「佐野」の「大鳥屋山」の時と同じだ。
あの時も雨が続いた後の、晴れ間だった。
「日光」も山ヒルにやられたか。
あの笹なら、山ヒルがいてもおかしくないか。
途中、何度もズボンを見ては山ヒルをはじき落とし、石碑のところに戻ってきた。
この先、登りとは違う路を進む。
熊笹は徐々に減り、古い路になる。
100m程下ってくるとニワトリに声が聞こえた。
民家が近いと思っていたら、ちゃんと草刈りがされた庭の様な所に出た。
ここならテントを張るのにちょうど良いなどと思いながら進むと、車の横に年配の男性がいて声を掛けてきてくれた。
その方こそ「鈴木さん」、この敷地の持ち主である。
『だめだ、ヒルに食われるぞ。』
『もう食われています。』
『その恰好じゃあ、ヒルに食われてくれと言ってるようなもんだな。』
『まさか日光も山ヒルにやられているなんて・・・。』
『情報不足だね。』
『はい、仰る通り。』
『こっちに来て、靴下脱いでみな。』
と、庭みたいな草原に建つ東屋に招いてくれた。
こっちも遠慮なく、東屋の丸太に座り靴を脱ぐ。
鈴木さんは、虫除け剤を2~3本持って、自分の靴や靴下、ザックに掛けてくれた。
靴にはまだ数匹いて、スプレーを掛けると丸まって死んでしまった。
『まさかパンツの中まで見てやることはできねーからなぁ。』
それを聞いたら気になってしまい、後ろを向いてズボンを下した。
しかし、パンツの中までは入り込んでなかった。
『こっちの山に来るのに、ヒル対策しないで来ちゃだめだ~。』
『靴下にズボンを入れて、長靴とズボンは、幅広のガムテープで密閉しなきゃ。』
と言って、やり方を教えてくれた。
それから、丸太に座り込んで、暫く話し込んだ。
『良い所ですね。こちらの持ち主なんですか。』
『隣が売りに出したから、買って広くなったんだ。』
『週末に来ては、ぶらぶらしているんだ。』
『たまに写真を撮ったりしてね。』
『新宿のニコンの本社に、たまに写真が飾られることがあるよ。』
『隣のニワトリがうるさいから、追い払ってくる。』
と言って、出て行った。
戻ってくると、またいろいろな話をしてくれた。
『熊が登ったあとだ(桜の樹の上の熊棚)。』
『さっき、シカがいただろう。サルもよく出て困るよ。』
『この辺りの熊は、まだ人間を避けるから、襲ってはこないよ。』
『カタクリの群落があるんだが、サルが種を食べるので年々花が咲くなくなった。』
『カタクリの種は、甘いからアリが運んで、それでカタクリは増えるんだ。』
『サルも甘いのは知っているんだな。』
『忌避剤を種に塗っておくとサルも取らないね。あいつら学習能力あるから。』
『ニッコウキスゲの種もサルが食っちまう。』
話しをしながら、昼飯のおにぎりとパンを出し、二人で食べた。
食べ終わると「草刈りするから」と言って、また出て行ってしまった。
『ヒルがいたら、このスプレー。蜂だったらこれ。』
と、虫除けの説明をして置いていってくれた。
1時間ほどして草刈りをしている鈴木さんにお礼を言い、鈴木さんの庭を後にした。
林道を下ると別荘が何棟も建っている。
中には朽ちた建物もあるが、立派なログハウスもある。
変わったオブジェもあった。
朝通った「外山参道」の看板前を通過し、「神橋」まで来ると一般道は大渋滞だった。
行楽シーズンだから仕方ない。
見上げると「神ノ主山」はガスの中。朝より雲が増えている。
土産物屋が並ぶ大通り。外人さんが多いなと思いながら駅まで歩く。
汗でびっしょりになったTシャツを駅で着替え、「新栃木」行きに乗り込んだ。
【編集後記】
不思議な所だった、鈴木さんの庭は。
もしかして、夢だったんだろうか。
まさか、タヌキ?
次回は、鈴木さんの庭を通って、「(仮称)雲竜東尾根」に再チャレンジしよう。
( ^^) _旦~~