熊倉山 バンガロー尾根

バリエーションコース

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アクセス・コースタイム

2017年11月29日(水) 晴れ
 
電車:高砂駅[4:45発]-池袋駅[5:39発]-西武秩父駅[7:33着]
    (定期券+株主優待券550円)
    御花畑駅[7:52発]-白久駅[8:11着]
    (440円)

徒歩:白久駅[8:15出]-月ヶ峯キャンプ場[8:27着]-
   -キャンプ場の奥、篠林を抜ける[8:54着]-
   -標高600mタコの様な樹[9:45着]-689mポイント[10:00着/10:10発]-
   -樅の大木・大岩[10:15着]-切り開き(870m付近)[10:40着]-
   -1165m小ピーク(聖尾根に合流)[11:28着/11:35発]-
   -露岩をクライムダウン[11:40着]-露岩の登り口[12:07着]-
   -1307mポイント[12:15着]-高根・谷津川林道分岐[12:17着]-
   -露岩・ロープあり[12:30着]-三門の広場[12:40着]-
   -熊倉山1426.5m[12:46着(昼飯)13:10発]-
   -笹平[13:30着]-水場[13:40着]-
   -沢に合流[13:58着]-官舎跡[14:00着]-
   -三ッ叉[14:07着]-林道終点[14:20着]-
   -一の橋[14:30着]-林道に出る[14:42着]-
   -舗装道に合流[14:45着]-(寺沢側に下るが、途中で戻る)-
   -峠・熊倉山登山口[15:06着]-白久林道コース入口[15:30着]-
   -谷津川館入口[15:40着]-白久駅[15:50着]
 
電車:白久駅[16:23発]-御花畑駅[16:43着]
   (440円)
   -西武秩父駅[17:08発]-(飯能駅・池袋駅経由)-
   -高砂駅[19:47着]
   (株主優待券550円+定期)

【はじめに】

11月に「雲竜瀑東尾根」に終止符を付け、少し気が抜けた感があった。
それに加え仕事の予定が手帳の土日を埋め、少し山から遠のいていた。
そんなとき金券ショップに立ち寄ると、西武線の株主優待券が格安で売られていた。
理由は、11月末が期限だからだ。
そこで考えた。まずこれを買えば、無駄にしないようにと何とか都合をつけ山に行く気になるのではないかと。
しかし、それは簡単にはいかなかった。
仕事のこと、家庭のこと、天気のこと。
そして、その日は突然来た。11月末ギリギリの29日、平日だ。
このチャンスを逃したら株主優待券がパーになる。
 
尚、西武線で秩父から先、バスを使う山に行くなら、「秩父漫遊キップ」の方が得だ。
三峰も中津川も坂本に行くには、普通ならバス代が片道990円、1020円と掛かる。
 
今回のコースは、「熊倉山」の北側の尾根で、バンガローが建ち並ぶキャンプ場から始まることから「バンガロー尾根」と呼ばれている。
そのキャンプ場は既に休業して、バンガローは朽ちて廃墟となっている。
日が暮れて歩くには、少し勇気がいりそうだ。
 
標高350mから始まるこの尾根は、920m付近の伐採地で良い景色を眺められる。
また途中、所々に露岩があり、気持ち良い山歩きができる。
終盤「聖尾根」に合流し、「聖尾根」の頂上手前の岩場を楽しめる楽しいコースだ。

 

11月29日(水)

前日、仕事で帰宅が遅くなり、睡眠不足のまま始発に乗った。
登山口の「白久駅」まで電車はどれもガラガラ。
それもそのはず今日は平日。
おかげで睡眠の帳尻合わせができた。
 
「御花畑駅」の立ち食いそば屋で朝食にする。
「秩父鉄道」の「白久駅」には、8時11分に到着。
客は自分一人だ。平日だから、予想通りだ。
「白久駅」は無人駅ではない。ちゃんと駅員さんがいた。

 

 
駅に着くとすぐに出発する。
山の北側斜面にあたるこの駅は、日陰の時間が長いためか冷え込みがきつい。
出発時、気温は5℃だった。

 
舗装道を200m程登ると右手の民家の先に、杉林の尾根の末端が見える。
早速、民家の脇から尾根に取付く。
バリエーションルートで、尾根の取り付き点が分かりにくいのことが多いが、ここは分りやすかった。

 
登り始めるとクヌギとモミの林に変わる。
そしてすぐに建物が見えキャンプ場がある平地に出る。
看板には「月ヶ峯キャンプ場」と書かれていた。
既に休業して、建物は廃墟と化している。

 

 

 
バンガローが点在しており、その数は意外と多かった。
間を縫うようにしばらく進み、最後のバンガローに着いたところで一本取る。

 
その先は篠の林になっている。それもモーレツな密度だ。
高さも日光の熊笹をはるかに超え、2m以上とヒトより高い。

 
そして篠は熊笹と違い太くて葉が多く視界も聞かない。
そのため、手でかき分け進むのは難儀だ。
こんなところでコンパスは使えない。
ホワイトアウトした霧の中を進むように、方向を見失いやすいから。
しかし、獣の通り道、獣道を見つけると進みやすい。
但し、進む方向は獣道しだいだ。
 
腰を低くしてトンネンルのようになった獣道を進む。
篠の林をグルグル回っているような感覚になり不安がよぎる。
途中で立ち止まり方向を探る。
高木が見えたので、そこを突破する。
 
篠林を抜けると、クヌギの斜面の手前に出た。
キャンプ場の南の端に出たようだ。ホッとする。
ここでコンパスを出し、ルート確認をして歩き出す。

 
クヌギの落葉を踏みながら尾根を辿る。
すぐに杉林に変わり、路は下りになる。
コブを1つ超えた420m地点からいよいよ登りが始まる。
 
尾根の左は杉林。右から沢の音。
モミやクヌギ、馬酔木が生え、時々カエデとモミジの色鮮やかな紅葉も見られる美尾根だ。
露岩も数箇所あり、快適な登りだ。
踏跡は薄いが尾根が狭いので路迷いの心配はない。

 

 

 
登りになってから約1時間ほどした標高600m付近、急登の先に露岩に絡まるタコの様に根が張り出したケヤキの樹に着く。
根だけでなく、枝もタコの足のように伸びている不思議な樹だ。
周囲は赤や黄色の色付く紅葉。
色鮮やかなサンゴ礁に現れた大ダコのようにも見える。
(下から見上げる)

 
(横から撮る)

 
更にその先、急登を少し進むと露岩が現れる。
巻くこともできるが、ここは三点確保で直登する。

 
そして10時になったところで689mのポイントに着く。
そこには「荒川村」と彫られたコンクリート杭があった。
その先のコルから、「熊倉山」と「聖尾根」が見える。

 

 

 
周囲は見事な紅葉。
南斜面から吹く風は暖かかった。
ここで一本取り、アミノバイタルを1本飲む(食べる?)。
 
その先は痩せ尾根になり、大きなモミの樹が生えている。

 
 
そのモミの樹の先に、大きな露岩が現れる。ここは右を巻く。
美尾根を堪能して進むと、杉林の急登に変わる。

 

 

 

 
その登りがしばらく続き、100mほど行った先で、檜の植林が現れ、周囲が開ける。
檜の幼木の間から「秩父市街」が見える。

 
その先、尾根の東面が伐採されたところに出る。
そこから「秩父市街」はもちろん、城山コースの「小幡尾根」、更にその先には「矢通し尾根」が見える。ここでパノラマ写真を撮る。

 

 
伐採地が終わると杉林に突入し、暫く急登を進む。

 

 
一旦平らになると檜林に変わる。
この付近から右手の「聖尾根」方向から人の声が聞こえた。
こんな平日でも自分みたいなもの好きがいるんだと思いながら最後の詰めを登る。
 
急登の登りきると前が明るくなり「聖尾根」に合流する。
そこは標高1165mのポイント。11時半、ここで一本取る。

 
杉の間から「和名倉山」が見える。
 
少しするとまた人の声が聞こえた。
年配の女性の声だ。
一人、二人、三人五人。
あれ?と思い、思わず「何人ですか?」と聞いてしまった。
帰ってきた返事は「35億」。じゃなくて「35人」。
思わず「ヤバイ」と言ってしまった。
この言葉は、本心である。
 
どの山域でも、多くの場合、ツアーが多いが、団体さんに遭遇すると、岩場や鎖場で渋滞し、なかなか抜かせてもらえず、単独の楽しみを台無しにする。
そんな経験から思わず出た言葉だ。
聞いた相手は、きっといい気持ではなかったと思うが。
全員が登ってくる前にこちらは出発する。

 
ここからは「聖尾根」。一度歩いたことがある。
灌木と露岩が絡むやせ尾根が始まる。

 

 
右手(西側)には、「和名倉山」から「奥秩父」の山並みが見渡せる気持ちの良い尾根だ。

 
少しすると岩場に着く。
鎖はないが5m程の階段状の岩場をクライムダウンする。
鎖などないが、スタンス・ホールドはちゃんとある。

 

 
(下り切って、振り向いて撮影)

 
その先は、葉を落としたクヌギやカエデ、ツツジと、露岩が点在するヤセ尾根が続く。
こういう尾根、最高だね。

 
その先、1307mの小ピークの手前の岩場に着く。

 

 
下から見上げると岩場が何層か重なっている。
ロープが何本か張られているが、使うほどではない。
苔むした露岩と樹の根っ子。落葉がスタンスを隠す。
少し緊張をもってスタスタ登る。

 

 
途中、小段で右手に進みそうになるが、トラロープが張られ「この先、行き止まり。危険」と標識がある。

 
更に岩場が続く。色褪せたトラロープがあるが切れそうで怖い。

 

 
三点確保を続け登りきると1307mのポイントに着く。
1307mのポイントには杭は見当たらず、馬酔木のトンネンルが続く。

 
少しだけ下ってまた登りになると、そこに鉄製の標識がある。
そこが「高根」と言う場所。
「山門の広場をへて、熊倉山山頂に至る」と書かている。
北に向いた標識には「営林署小屋跡をへて、白久駅に至る」と書かれているが、その路の手前には「谷津川林道(登山道)は廃道です。」とトラロープに標識が掛かっている。
もちろんここは主尾根を忠実に辿る。

 

 

 
日差しが暖かな尾根を落葉を踏みながら進むと四角い大きな露岩が見える。
ここは直登せず右から巻くと、すぐに「聖尾根」の最高の見せ場。10mの岩場に着く。

 

 

 

 

 
ここは垂直に近く、太いロープが張られている。
ロープは使わず三点確保で登り始める。
中間でスタンスが細かくなり、落ちても痛いだけなのでロープを使う。
その先で岩の間に生えた松の木に掴まると、後はロープは使わず登りきれる。

 
(岩を下から見上げる)

 
(登ってきた岩を見下ろす)

 
登りきると小段になっていて、振り返ると「奥秩父」の白い嶺。そして「聖尾根」。

 
そして見上げると青空に、枯れて白い幹だけになった一本の樹が、空に向かって真っすぐに立っている。
白い枯れ木と青い空。清々しい景色だ。

 

 
馬酔木の林を抜けると落葉が広がる広場に出る。
そこが「山門の広場」。
水場はないが、少し窪んでいるのでツエルトを張るにはちょうど良い。
ここにも鉄製の標識があり「熊倉山頂に至る」の下に、「高根をへて、白久駅に至る」と書かている。
ここを通過するれば山頂は近い。

 

 
露岩を通過すると、山頂の手前、トラロープがあり、「谷津川林道(登山道)は廃道です。」とパウチされた標識が下がっている。

 

 

 

 

 
トラロープをくぐれば「熊倉山」1426.5mの山頂に到着する。

 

 
いつもと変わらない風景。木製の案内図。三等三角点の石杭。木製の山名板。
そして石の祠。
祠の前でここまで来れたお礼と下山を祈願する。

 
さっきの団体さんが来る前に昼食にする。
祠の西側が「和名倉山」に向け開けている。
日差しもあり暖かい。

 
今日の昼食はママ手作りのおにぎりと、パン屋で買ったピロシキ。
10程したらまた声が聞こえたので撤収。下山の準備にかかる。
 
城山コースに入り、急登の途中で日野コースに曲がる。
杉林を東に大きくトラバースするが、以前と違い少し伐採され明るい。

 

 

 
暫く下った後、北に向かってトラバースした途中で、いつもの変わった露岩が見える。
正面から見ると四角いのに、岩の横まで来ると薄っぺらい岩だと分かる。
それも頭が厚く、根元が板のように薄い。
よくこれまで倒れず残っていたものだ。

 
(岩を横から撮影)

 

 
その先は広い草原の「笹平」に出る。
左斜面には炭焼き釜の跡がある。

 

 

 
水場は十分な水量があった。

 

 
杉林を抜けたところで沢に出る。
その先に少し平地に標識がある
ここが「官舎跡」だ。

 

 
暫く下り、「三ツ叉」に着く。
ここで2つの沢が交わり1本の沢になる。

 

 
「三ツ叉」から沢沿いに下るが、途中、何度か丸太の橋が掛かっている。
しかし、朽ちたり、流されたりして、岩伝いに沢を超える箇所が多い。

 

 

 
「林道終点」は通過し、沢沿いに下る。

そして一の橋は、ボロボロで渡れない。
手前の岩を飛び、左岸に渡る。

 

 

 
林道には14時40分過ぎに到着した。
正面には「秩父」の市街地が見渡せる。

 

 

 
ここから寺沢の部落を通り「武州日野駅」に行こうと考えたが、今まで歩いたことのない「白久温泉」を見て行こうと思い、林道を峠まで登り返す。
舗装道は思いのほか長く感じられた。
 
峠は「城山」と「城山コース」の通過点で、そこに例の団体さんが集まっていた。
この人達、歩くの早。少しびっくり。
ここでも交わらないようにカーブをショートカットしながら下る。

 

 
途中、「谷津川林道」の取付き点を確認する。
ここにも「通行できません。入山しないように。」と立て看板があった。

 

 
別荘地を通過する。一棟、おしゃれな別荘があった。
 
温泉旅館「谷津川館」は大きな旅館のようだ。
その近くに「素泊まりの宿 秩父山の家」と書かれた木の看板を見つけた。
建物は庶民的で、こっちの方が良い感じだった。
 
民家が見えると、道路脇に公衆トイレがあった。
登山者向けに作られたのだろうか。

 
今朝、尾根に取付いた民家を通過すると駅は近い。
16時前、「白久駅」に到着。
すると、間もなく団体さんも到着。

 
乗った電車は団体さんで一杯になり、その一人が「貸し切りだー」などと騒いでいた。
だから団体は嫌われるんだ。
 
帰って、ネットを検索していると、有名なハイキング団体のHPに「聖尾根」の計画が載っていた。
それで歩きが早かったのか。関心するやら、あきれるやら。
  
 

【編集後記】

単独行者よ、強くなれ。
団体さんに負けるなよ。

 ( ^^) _旦~~   

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