秩父槍ヶ岳

バリエーションコース

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アクセス・コースタイム

2018年1月7日(日) 晴れ
 
電車:高砂駅[5:20発]-池袋駅[6:15発]-(飯能駅経由)-西武秩父駅[8:18着]
    (定期+秩父浪漫きっぷ2190円)
 
バス:西武秩父駅[8:35発]-相原橋バス停[9:53着](浪漫きっぷに含む)
 
徒歩:相原橋バス停[10:05出]-野鳥観察小屋[10:22着]-標高925m石標[10:55着]-
   -標高1120m付近 最初の大岩の下[11:36着]-
   -標高1150m付近 2つ目の大岩の下[11:43着]-
   -傾斜のないやせ尾根[12:00着]-
   -標高1280m付近 3つ目の大岩の下[12:13着]-
   -大岩の上に抜ける[12:24着]-
   -秩父槍ヶ岳1341m[12:30着/12:35出]-
   -コンサイス槍ヶ岳1430m[13:03着]-相原橋への分岐[13:20着]-
   -標高1140m 尾根から右(南)へ折れる[13:50着]-
   -相原沢[14:20着]-野鳥観察小屋の下[14:30着]-
   -相原橋バス停[14:40着]
 
ヒッチハイク:相原橋バス停[14:50発]-西武秩父駅[15:35着]-
 
電車:西武秩父駅[15:51発 急行池袋行き]-(飯能駅・池袋駅経由)-
   -高砂駅[18:11着](浪漫きっぷに含む+定期)

【はじめに】

秩父には「熊倉山」をはじめバリエーションルートが多くあり、ヤマレコにも記録が掲載されている。
その一つに「秩父槍ヶ岳」は、国土地理院の地図にルートが一部破線で描かれているだけだ。
山名すら記載がされていない。
 
今回、山頂の東の尾根を詰めるコースで登り、下りはコンサイス槍ヶ岳の東の尾根にした。
この行程は、ヤマレコで確認したとおりだが、記録以上に岩場は厳しかった。
岩場の高さと言うより、左(南側)が切れ落ちていて、転落するとかなり痛そうなことと、岩がもろそうな点だ。
上から降ってきそうな浮石もあった。
岩場があるルートは好きで、巻き路があっても直登できればトライする方だが、今回のようなルートばかり登っていると、いつかは事故を起こす。そんなエスカレートしたルート選びに不安がよぎった。
でも、今回も無事に下山でき、今日も山に感謝です。
 
バス停に戻り、次のバスまで2時間待つところだったが、ヒッチハイクで西武秩父駅まで乗せてもらいました。
乗せてくれた関口さん、ありがとうございました。

 

1月7日(日)

朝、目覚まし時計をセットしたにもかかわらず45分も寝坊し、慌てて出発する。
今日は、バスの時間から、始発ではない。
 
寝不足を電車で挽回し、8時過ぎ「西武秩父駅」に到着した。
駅前のバス停は、「三峰行き」と「中津川行き」が同じで、10名ほど並んでいたが全員「三峰行き」の客だった。

 
バスは出発してすぐ「浦山口駅」付近を通過する。
この辺りは「熊倉山」周辺の尾根が見えてくる。
そして最初の停留所「三峰駅」を過ぎると「聖尾根」の取り付きも見える。
更に「聖尾根」を西側に回り込むと「聖岩」の白い岩壁が見られる。
この岩壁は「聖尾根」からだと、これほど大きくは見えない。

 
「奥秩父もみじ湖」に近づくと巨大なループ橋を通過する。
少し未来的な構造物だ。

 
湖は水量が多く、青くきれいだった。
途中、「川又」のバス停に寄るも乗る人はいない。
湖の北側の尾根(秩父御嶽山の西に派生する尾根)は岩が多いようで、白い岩壁が多く見られる。
踏跡があれば歩いてみたい。

 
広い湖もやがて狭くなり、もとの「中津川」に戻る。
「中双里」のバス停を過ぎると、バスの正面にドーム型の岩が尾根の上に見られる。
それが「秩父槍ヶ岳」だ。

 
バスを下りると右手に駐車場と東屋とトイレがある。
駐車場には車が1台あった。たぶん登山者だと思う。
トイレは冬季閉鎖されている。水場はあるが、これも使用できない。
そもそも飲料用ではないと書かれている。

 
登山口の「相原沢」は狭い沢で、真っ赤な布で「火の用心」の横断幕が掛けてある。
そして登山口には、案内板やポストがあり、その中に、以下の様な注意文が書かれていた。
「インターネットの無責任な情報で、秩父槍ヶ岳山頂から立入り禁止地帯に侵入し、遭難する登山者が多発しています。自己の登山技術と装備に基づき安全な登山をしましょう。何度もここで救助している。」と。
かなり厳しい内容だ。でも注意文は帰りに気付きました。

 

 
「相原沢」は両岸は切り立っており、その岩壁を削って作った路は狭く、そこを落葉が埋め尽くしている。落ちたら15m下の沢まで止まらずに行ってしまいそうだ。
例年より早い寒波到来のせいか、沢の小滝は軒並み凍っている。
落ちたらさぞ冷たいだろう。

 

 
15分程「相原沢」を遡ると正面、崖上に柱を何本も立てた東屋が見える。
沢沿いには標識があり、そこから登るとすぐに着く。

 

 
小屋は「野鳥観察小屋」である。立派な東屋だ。

 

 
これから進もうとしている「秩父槍ヶ岳の東尾根」は、この小屋を通過していくのだが、その入り口にはトラロープが張られ、「この道は登山道ではない! 遭難事故多発 ただちに引き返せ!!」と注意書きがあった。
そこは心してロープをくぐる。

 

 
杉の植林された急傾斜の小尾根を九十九折で標高を稼ぐ。
少し(80m程)登るとナラやブナ、モミの植生に変わる。
日当たりも良く暖かくも感じる。青空に浮かぶ雲が風で流れるのが見える。
徐々に露岩も増える。

 

 
小屋から200m程登った標高925m付近で急登は終わる。
そこには石標があって、「第 号」と彫られているが、何号からは分らない。
また、その近くには、丸太に白文字で書かれているが、「森歩道」しか読み取れない。
ここから先は傾斜は緩やかな、馬酔木や露岩の多いやせ尾根になる。
左右はスッパリ切れ落ちている。

 

 
また登りが始まる、その直前に2つ目の石標があった。
「埼玉縣」と彫られていた。

 

 
その先から登りが始まるが、露岩の急傾斜な所では、右側の杉林にトラバースして九十九折で尾根に戻る。

 
右手には、大岩が見られる。

 
11時40分頃、標高1120m付近で、最初の大岩の下に着く。
左側が登りやすいかと思い取付いて見るが、その下がスッパリ切れていて、もし落ちたら途中で止まりそうもなく、安全を考え右側を攀じる。

 

 

 
登りきって振り返ると、「両神山」の南の尾根と「熊倉山」「和名倉山」等が見える。
尚、岩の右手には、階段状の巻き道があるようだ。

 
次、2つ目の大岩はとても大きく、直登できそうに見えるが、落ちたらアウトなので、ここはあっさり右手へ。

 
とは言え、簡単には登れない。
見上げると、オーバーハングしている。

 

 
その岩の下を斜め右に登り、途中で倒木をくぐる。

 

 
その先は細かいスタンスを拾って少し岩を攀じる。
岩が終わっても傾斜の急な斜面を登るのは緊張する。

 

 
登り終わって、直登していたらと岩を見下ろすと、そこはニードル、岩が尖った状態だった。
直登していたら、その先で行き詰っていたかもしれない。

 
登りきったあたりの標高は1200mくらいで、そこから少し傾斜が緩くなる。
しかし、馬酔木やモミ、そして露岩の多いやせ尾根で、左右はスッパリ切れ落ちている。
右(北側)は杉林で止まるかもしれないが、左手(南側)は岩場でかなり痛い思いをするかもしれない。

 
また登りに変わるところに、少し大きめの露岩があり、ここは直登で通過する。
簡単ではないが、階段状で剃刀のような岩は、ロッククライミングのテクニック(オポジション)で攀じると良い。

 

 

 

 
標高1280mあたりで3つ目の大岩に着く。
おそらく「中双里」のバス停あたりから見えるドーム型の岩場と思われる。

 

 
真ん中がVの字の大きな割れ目がある。
開いたチムニーと言った方が正解だろう。

 

 
そこには上から古びたロープが垂れ下がっている。
また、チムニーの途中に触ったら落ちそうな岩があり、ロープがそにれ絡まっているので、ロープに触るのは危険と考えた。
細かいホールドとスタンスを選んでロープの上まで攀じる。

 

 

 

 

 

 
一旦、岩はなくなるが、傾斜のきつい斜面が続き、また露岩が現れる。
そこも何とか三点確保で攀じる。

 

 
その先は岩から離れ右斜めに登る。

 

 

 

 

 

 
見下ろすとかなり切り立っている。

 
落葉の斜面の傾斜が緩むと、また、尾根に戻る。
 
見上げると、馬酔木の他、モミや檜、立ち枯れした白い幹だけの樹が見える。

 
その先がどうなっているかと思って進むと、青空が透け、そこにトラロープと黄色い標識が見えた。
そこが「秩父槍ヶ岳」の山頂だった。
黄色い標識には、「この先、通行止め」と赤い字で書かれていた。

 

 
山頂は馬酔木の大木と杉の樹で眺望はない。
しっかりした山名板があり、その作者が「葛飾区ハイキング連盟」であったことに驚いた。
2002年4月28日に登ったらしい。
緊張のせいか、お腹もすいていない。写真を撮ったら先を急ぐ。

 
コンパスを出しルート確認をする。
「コンサイス槍ヶ岳」の方向を定め、山頂から下る。

 
露岩と木の根が絡むやせ尾根を進む。

 

 

 

 

 
時々、左右(南東と北西)の眺望が得られる。
「熊倉山」の奥の方は「雲取山」かもしれない。
北西には「南天山」と思われる三角が見える。
樹木越しで、写真ではわかりにくいが、「両神山」や「赤岩岳」の岩峰が見える。

 

 

 

 

 
3つ目のコブを超えるが、途中一ヶ所露岩を下らず少し戻って右側の斜面をトラバースして巻く。

 
4つ目のコブが「コンサイス槍ヶ岳」1430mの山頂だった。
ここから東から南への眺望が良い。

 

 

 
その先は、今までに比べ広い尾根になる。

 
左手の杉林に巻き道が見えた。おそらく、相原橋に下る路と思えた。
しかし、目の前に露岩が多い、急なコブがある。

 

 

 

 

 

 
もう一つだけ超えてみようかと考え進むと、それが正解だった。
コブを超えた先に、黄色いテープに「←相原橋」としっかり書かれていた。

 

 
ここを下る。最初は緩い傾斜だが、すぐに急傾斜になり、暫くガンマンして下る。
植林されたカラマツや檜。そして自然のブナと場所により入れ替わる。
踏み跡は、登りの尾根と違って一般道に近いしっかりした路で、赤テープがたくさん付いていた。

 

 
少し平坦になるが、また、急な下りが始まる。
平坦な尾根のところで振り返ると、北側に登ってきた「秩父槍ヶ岳」の白い岩壁が見えた。
その急な下りの始まる箇所が眺望が良かった。

 

 

 
ここで尾根が2つに割れている。コンパスを出し、確認する。
下り出すとロープが垂らしてあった。確かに急な下りだ。

 
下り始めて30分ぐらい、標高1140mぐらいのところで主尾根を離れ右(南)の斜面に下る。
この周辺には、路間違えしないように「通行止」のパウチ標識が何か所かあった。

 
下って5分程で杉林に入る。
その先でゴーロ地帯、丸太の階段、崩壊地を通過する。
崩壊地は危険ではない。
そこを通過する際、向かいの尾根の斜面のブナが、実に美しかった。

 

 
最後に200mくらい急斜面を下ると「相原沢」に出る。
小滝が凍り付いた沢沿いを進む。
ブナと露岩がきれいな沢だ。
きっと新緑の時期は最高だと思う。

 

 

 

 
沢沿いに10分程下ると、「野鳥観察小屋」の下に着く。

 

 
更に10分で「相原橋バス停」に到着した。
14時40分。朝歩き始めて4時間40分だった。

 
さて、バスの時間だが、日に4本。10時、11時、14時が20分、次は16時18分。
14時のバスが30分前に出てしまった。
ただバスを待ってもしかたないので、国道を歩き始める。
 
洞門(ロックシェッド)を通過すると後ろから車が来た。
その瞬間を逃すまいと手を挙げ、「乗せてもらえませんか」と尋ねると、快く乗せてくれた。
山屋さんのようだったので、どこの山に登られたか聞くと「南天山」だそうだ。
自分も4年前に登ったことがあり、話しが盛り上がる。
聞けば、私と同級生だった。年間30日登っているとのこと。うらやましい。
 
そんなこんなで「西武秩父駅」まで乗せてもらい、お礼を言って別れた。
 
時刻表を見ると15分後に急行池袋行きがある。
グッドタイミング。お土産と缶酎ハイを買い、電車に乗り込んだ。
  
 

【編集後記】

正直、下山の途中から、ヒッチハイクの考えはあった。
しかし、こんなに早く乗せてもらえるなんて、想像はしていなかった。
ありがとうございます。関口さん。
 
記録を作りながら400枚以上撮った写真を見ながら思うのは『無事に帰れて良かった~。』の一言だ。
普通の山行では満足できない。いや、普通のルートは登りたくない。
これがエスカレートすることが怖い。

 ( ^^) _旦~~   

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