日向倉山・滝向山
バリエーションコース
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アクセス・コースタイム
2018年3月25日(日) 晴れ
電車:高砂駅[4:45始発]-(南栗橋・栃木・下今市駅経由)-
-中三依温泉駅[8:28着]
(定期+株主優待券+野岩鉄道730円)
徒歩:中三依温泉駅[8:40発]-芹沢橋[8:50着]-
-林道の通行止めの看板[9:35着/9:40出]-
-東電鉄塔[9:54着]-925ポイント[10:20着]-
-1000m地点[10:40着]-稜線[11:33着]-
-日向倉山[11:47着/12:00出]-
-1210ポイント[12:30着/12:35出]-1140m小ピーク[12:50着]-
-1130m小ピーク[13:00着]-東電鉄塔[13:08着]-
-コル・東電巡回路[13:16着]-1071mポイント[13:40着]-
-露岩[14:28着]-滝向山[14:33着/14:45出]-
-830小ピーク[15:15着]-800mのコブを右[15:17着]-
-民家の脇[15:33着]-芹沢橋[15:36着]-
-中三依温泉駅[15:50着]
電車:中三依温泉駅[16:23発]-(下今市・栃木・南栗橋駅経由)-
-高砂駅[20:16着]
(野岩鉄道730円+株主優待券+定期)
【はじめに】
栃木の山をネットにたくさんアップされている方のブログに、この「日向倉山」が紹介されていた。
もちろんバリルートである。
駅からも近いことから、いつか辿ってみたいと思ってマークしていた。
山の雪が消える前にと、今回「日向倉山」にトライした。
紹介されていたコースは、高圧ケーブル沿いの東電巡回路を登りつめるルートだったが、間違って違う巡回路に入り、そのまま尾根を登ってしまった。
結果、人が誰も入らないルートを歩けて楽しかった。
落葉と雪の季節だから、低山には良いタイミングだった。
3月25日(日)
「野岩鉄道」の「中三依温泉駅」は、「芝草山」に登った時に降り立ったことがある。
無人駅で、駅前にはトイレ以外、自販機すらない。
ただ、近くに「男鹿の湯(おじかのゆ)」があり、日帰り温泉が楽しめる。
8時40分、駅を出て、国道を南西に歩く。
道沿いには「高橋わさび」の店や、蕎麦屋「つちや」、蕎麦屋で日帰り温泉の「まるみの湯」、「かふぇ扇谷」、「山の幸直売センター」などがあるが、どこも閉まっている。
「山の幸直売センター」の先、「芹沢橋」を渡り、芹沢林道を西に向かう。
正面には「滝向山」の山容が見える。
緑色の樹がないことから、ブナなどの広葉樹林の山のようだ。
途中、炭焼きをしている人がいて、無心で薪を割っていた。
看板には、「YAMANI」と書かれていた。
そして、北側の山の斜面、小さい沢には、巨大な人工物、堰堤が作られていた。
それがここだけではなく、この先5箇所ぐらいある。
2015年の豪雨で被害を受けたからだろう。
芹沢沿いの道路脇がいたるところでえぐられ、護岸工事も行われていた。
道路沿いの民家の入口には、丸太を削って作られたフクロウが飾られていた。
「フクロウの幸せロード」と彫られている。
暫く歩いた先に「日光チェンソーアートクラブ」の看板があった。
チェンソーアート、面白そうだ。
9時35分、林道の通行止めの看板の到着。
ここを北に進めば登山口だ。
ここで1本取る。
砂利の林道を進む。
歩くとすぐ、この地区の水道用貯水槽があった。
立入禁止の看板とフェンスが張られている。
少しすると左の斜面に「東電巡回路」の黄色い杭があった。
ここから擬木の階段を登る。
10分程登ると鉄塔に到着する。
思えば、この巡回路に入ったのは、ルートミスだった。
本当は、谷沿いに登り、右の尾根の高圧ケーブル沿いに作られた巡回路が計画したルートだった。
しかし、このまま尾根を辿れば、「日向倉山」に向かって真っすぐ進める。
『おそらく行ける。』と読んで、このまま尾根を進むことにした。
鉄塔から先に進むとき、かなり慎重になった。
それは鉄塔の先が、杉の植林で暗い感じがしたことと、踏跡が落葉でまったく見えなかったからだ。
踏跡を探し、方位を確認し、周囲の景色を記憶にとどめようと緊張した。
『こんなところ、人が歩くわけがない。』と思ったが、時々、赤いテープがあった。
少し、残念だった。
杉の植林を抜けると、クヌギやコナラ、ブナの林になる。
斜面の落葉を踏みながら登る。
天気は晴れ、風はなし。
鹿の踏跡が一直線に続いている。
足元には、イワウチワの葉がたくさん見られる。
5月の連休には、きれいな花を咲かすのだろう。
10時20分、925mのポイントに到着。石標はない。
周辺は、雪が多くなってきた。
ここで一本取る。
右手(東)には、東電のケーブルが見える。
計画では、その尾根を歩く予定だった。
さらに、ブナとササが多くなった斜面を登る。
標高1000m付近で一旦平坦になる。
標高1130mまで来ると、シャクナゲが見られ、雪も深くなる。
1150m付近のブナの樹の上に、枯れ葉が付いた枝がまとまって残っている。
すぐに熊棚だと分かった。
それを見てから、熊のことが気になった。
熊鈴を自分で鳴らし、右の腰に吊るした熊スプレーを意識した。
1150mを過ぎると傾斜がきつくなり、積雪も深くなる。
11時33分、稜線に出る。標高はおよそ1240m。
尾根の上は吹き溜まりで、深いところは積雪1mぐらいある。
大きい雪庇もある。踏み抜かないよう注意する。
尾根の向こう側には、「太郎山」が、まだ雪を一杯まとって現れた。
そして、その右肩の先には「七ヶ岳」だろうか、段々の稜線が見える。
手前、右手には、2016年2月に登った「芝草山」が見える。
この山は、「中三依温泉駅」からも見ることができる。
稜線からは西に向かう。
雪庇に気を付けながら、アイゼンを利かせ、快調に登る。
山頂が近くなると尾根はやせて、雪が薄くなる。
雪が融け、アイスになっているところもある。
シャクナゲと松が増え、少々ヤブのようだが、そこは力で通過する。
11時47分、ぽっかりと広がった雪原が見えると、そこが山頂だ。
手製の山名板が2つ吊されていた。
天気は晴れ。風は少し。
展望は、西と南東が樹で遮られている。
南に「女峰山」「男体山」、「湯泉ヶ岳」から「奥鬼怒」の山々が見られる。
北には、「会津駒ヶ岳」「太郎山」「七ヶ岳」
東には、「男鹿」の山々も見渡せる。
鳥の声が、穏やか気持ちにさせる。
12時00分、「滝向山」に向かって下山。
シャクナゲと松の根っ子、雪の急な下りが緊張する。
合流地点を通過すると急な下りになる。
この付近までは吹き溜まりで雪が多かった。
この先でやせ尾根になる。雪が少なくなり、アイゼンを外す。
1ヵ所、露岩の場所があり、南面を巻く。
稜線歩きは、景色も良く、快適だ。
今日は、風も弱く、最高の天気だ。
1210mの小ピークに向けて少し登る。
小ピークの上は吹き溜まりで大きな雪の塊になっている。
その雪の上をアイゼンを効かせて登ると、なんと、雪の塊の南側で日向ぼっこをしていたイノシシがいて、奴らが先に気付いて、一目散で南東の尾根を掛け掛け下りて行った。
奴らも驚いたと思うが、こっちだって驚いた。
でも向こうが逃げてくれて助かった。
12時30分、1210mの小ピークに着く。
ここで一本。
次は下って、また登り返す。
尾根のあちこちにイワイチョウが春を待っていた。
12時50分、標高1140mの小ピークに着く。
その先、下る途中、左手(北)に「太郎山」がくっきりと見える。
正面には「比留賀岳」「高原山」、そして中腹にはスキー場のゲレンデも見られる。
13時00分、1130mの小ピークに到着。
ブナの木が多い。
この辺りで風が強まる。
右手先に、東電巡視路の擬木の段々が現れ、それを下る。
進むその先には鉄塔の頭が見える。
鉄塔を通過する。
右手に見えるのは、高原山だ。
振り返ると、日向倉山が見えた。
13時18分、コブの手前のコルに着く。
南斜面には、東電巡回路が下に向かって続いている。
このルートが、予定してルートだったが、ここ経由で登ったら、もしかしたら時間切れになっていたかもしれない。
この先、稜線は、アップ・ダウンを繰り返す。
途中、大きなブナの樹があった。
まるでこの尾根の守り神のようだ。
いつものとおり、山の神(ブナの樹)に拝礼する。
13時40分、1071mの小ピークに着く。
この先、尾根が2回クランクするので、コンパスを出し、方角を確認する。
50m程行って右に曲がり、また50m程行って今度は左に曲がる。
それは難なくルートファインディングできた。
2回曲がってしばらく下りが続くが、バリエーションルートは、やはり下りが危険だった。
下る尾根は、40m下ったら進路を北東から東に変えなければならなかった。
そこを、ドンドン下ってしまった。
岩の多い路で、直感で、下りすぎたと思った。
地図とコンパスを出し、下りすぎたことを見極め、トラバースして、正規の尾根に移った。
正規のコースに戻ると、そこには、鹿のトレースがあった。
人間の路ではない鹿のトレースでもホッとするものだ。
下りが終わり、標高930m付近で平坦になる。
そのあたりは、倒木が多い。
また、平坦な尾根のため、方位も見失いそうだ。
しばらくして、また登りになり、次に小さいコルに出る。
そのコルの先が露岩が現れる。
ネットでは、きついように書いてあったが、全然問題ない。
直登でクリーアする。
露岩を通過すると山頂は近かった。
14時33分、「滝向山」993.1mの山頂に到着。
三角点の石標が埋まっている。
景色は、あまりよくない。
でも、葉が落ちた樹々の間から、「芝草山」や「田代山」がかすかに見える。
14時45分、下山開始。
山頂から南東に伸びる比較的なだらかな尾根を進む。
15時15分、830mの小ピークに着く。
東側には、「中三依」の集落が見える。
ここで少し東に曲がり、こんもりした広いコブを今度は南に下る。
下りは、倒木が多く、難儀した。
急な斜面を150m下ると、最後は杉の植林に出る。
ほどなく、民家の近くにでる。
その近くには、サルの罠が仕掛けてあった。
朝通った「芹沢橋」を渡り、国道を歩いて、16時10分、「中三依温泉駅」に戻る。
近くの日帰り温泉「男鹿の湯」は営業中だったが、今日はパスした。
ちなみに日帰り入浴600円、土産物は置いてない。
店も自販機もないので、ホームの自販機で炭酸飲料を買う。
16時23分発、下今市行きに乗車する。
【編集後記】
コースとしては長い方だろう。
積雪によっては、時間切れになるかもしれない。
ルートを間違えて登ったのは、結果的には良かった。
しかし、してはならないことだ。
( ^^) _旦~~