日光 黒岩

バリエーションコース

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アクセス・コースタイム

2018年6月23日(土) 曇り
電車:高砂駅[4:45始発]-(南栗橋駅・新栃木駅経由)-
   -東武日光駅[7:35着]
    (定期+株主優待券780円)
バス:東武日光駅[7:57発]-西参道[8:00着]
徒歩:西参道[8:00出]-トイレ[8:05着/8:15出]-
   -行者堂[8:22着]-林道[8:45着/8:50出]-
   -殺傷禁断碑[9:00着]-稚児ヶ墓[9:35着/9:45出]-
   -水場[10:07着/10:15出]-白樺金剛[10:45着]-
   -露岩[11:05着/11:10出]-八風[11:45着]-
   -黒岩山頂[12:08着/12:30下山]-(コル経由)-
   -八風[12:45着(昼食)13:10出]-白樺金剛[13:30着]-
   -水場[13:43着]-稚児ヶ墓[13:55着]-
   -殺傷禁断碑[14:20着]-林道[14:25着]-
   -行者堂[14:40着]-二荒山神社[14:55着]-
   -東武日光駅[15:20着]
電車:東武日光駅[15:31発 南栗橋行き]-(南栗橋駅・北千住駅経由)-
   -高砂駅[18:22着]
   (株主優待券780円+定期)

【はじめに】

話は5月の連休のこと、新潟の「矢筈岳」の登る予定が、天候が不安定だったため、急遽、「伊豆七島」の一つ「神津島」の「天上山」に登ってきた。
その後、仕事が忙しく1度も山に登っていなかった。
そこでトレーニング山行に出掛けた。
トレーニングと言うことで、天候に二の次。
予報では夕方から雨だったが、見事に裏切られ下山を始めると本格的に降り出した。
まあちょうど雨具を着て歩くのもトレーニングと思い、小雨がぱらついた時から雨具を着ると、案の定、蒸れてすぐに下着はビッショリになった。

 

6月23日(土)

「東武日光駅」へは、いつも始発電車に乗って行くがきっぷは買わない。
前もって買った株主優待券を使う。
正規の運賃の約6割、往復で千円も浮く。
そんな些細な節約でも嬉しいのは自分だけではないはずだ。
 
最初の乗り換え駅「南栗橋駅」を過ぎると田んぼが広がる。
グレーの空に緑が眩しい。
そして次の乗り換え駅「新栃木駅」を過ぎると、いよいよ日光の連山が目に飛び込む。
季節は初夏、山に白いひだはもうない。

 
「東武日光駅」からスタートの「西参道」までバスに乗り、「参道入口」のトイレで最終調整する。
 
石畳の参道を進む。
朝8時でも既に観光客が何名もいる。
「二荒山神社」の前では柏手をうち、登山の無事を祈る。

 
歩きにくい石の階段を登る詰めると「行者堂」に着く。

 
そこからスギ林を登る。
傾斜が緩くなると一旦林道に出る。
ここまで約45分、いつものペースだ。

 
その先、スギ林の急登を50mほど登ると大きな石碑が建っている。
昭文社の地図には「殺生禁断碑」と書かれている。
正確には「殺生禁断境界石」と言うらしい。
昔は狩猟が盛んに行われていたが、霊域で殺生しては聖地をけがし、仏教の慈悲心にも合わないというので、この境石から下(二荒山神社側)では殺生相成らぬといって建てたと言う。

 
このあたりからツツジやクヌギ、白樺などの植生に変わる。
そして道はぬかったわだち道になる。靴が泥だらけになる。
バランスを崩して転ぼうものならズボンまで泥だらけだ。
 
林を抜け笹原に出ると、そこは「稚児の墓」だ。
「女峰山」に分け入った「実道坊」という修験僧の後を追って入山した稚児が、師に逢うことも叶わず、この地で倒れ亡くなってしまった。
これを哀れみ、一山の僧たちが相謀って墓を営み供養したのが「稚児ヶ墓」であると言う。
ここまで45分、昔を偲んでここで一本取る。

 
「稚児の墓」から少しヒノキ林を通過する。
徐々に落葉松に変わり、標高1200m辺りで視界は開け、笹原に変わる。
「黒岩」への尾根は日光周辺でも長いルートの一つだが、この1200m付近が、距離でも標高差でも真ん中あたりだ。

 
ここからが、この尾根の良いところ。
西を見れば黒々と、そしてどっしりした「男体山」が目に飛び込む。
溶岩が流れた筋が克明に見える。
南を見れば、日光市内から関東平野が続き、その右手に「鳴虫山」「三宿山」「薬師岳」と続き、その後方には「火戸尻山」「六郎地山」「夕日岳」が水墨画のように描かれている。
自然の造形は素晴らしい。

 
快適な笹原を進むと水場の標識が立つ場所に出る。
東に下ると流れの緩い沢が流れている。
獣の水場にもなっているようで、ヌタ場も兼ねている。
ここまで30分。

 
その先は、落葉松林に入るが、落葉松は読んで字のごとく、冬には茶色い葉を落とし、黒い枝だけになる。
そして春、薄緑色の新芽が一斉に伸びる。
新緑の中で、この落葉松の新緑が一番綺麗だと思っている。
 
途中、傾斜が緩んだところに、小さな「水呑の石碑」が建っている。
あまり急いで歩くと見過ごしてしまいそうだ。

 
更に進むと斜面の途中に「白樺金剛の石碑」が建っている。
この謂れは調べたが分からなかった。

 
さて、落葉松林を登りつめると、尾根に出る。
木製の標識も建っている。
ここで植生は変わり、ツツジや白樺、足元には熊笹になる。
そして露岩が点在するようになる。

 
樹木は、既に花の終わったヤシオツツジに変わってサラサドウダンの可憐な花が真っ盛りだった。
赤いドウダンツツジもあり、目を楽しませてくれる。

 

 
傾斜は徐々にきつくなり、そして溶岩の露岩が増える。
コメツツジの木も増える。
 
標高1800m付近が「八風」と言う場所で、ここからの景色は最高だ。
帰りにここでお昼にして景色を楽しんだ。

 

 

 
足が徐々に辛くなる。
露岩に書かれた黄色いマークが出てくると山頂は近い。
左に巻道を見送ると「落葉松金剛」の標識を通過する。

 
そしてひと登りで「黒岩」1913mの山頂に着く。
360度の展望はもちろん、雲竜渓谷の俯瞰は圧巻だ。
しかし、冬に見た景色を少し違う。緑が多い。
雪と氷の冬には、こんなに樹木が多いとは思わなかった。

 

 

 
そしてなにより、ここに立って見たかったのは「(仮称)雲竜爆東尾根」だ。
昨年、3度のトライで完結とさせた、あの尾根が、ガスもまとわず目の前に現れた。
自分が行った最終地点を目を凝らして見入ると、確かに岩の斜面だ。
無理しなくて良かったと思う反面、岩を登れたら最高なんだがと、ちょっぴり欲が湧いたりする。

 

 
写真をたくさん撮ったら、北側のコル「遙拝石」に下る。
そこでも「(仮称)雲竜爆東尾根」を眺める。


 
コル「遙拝石」からの眺めといえば、南側も素晴らしい。
とくに左右の尾根のコントラストも素晴らしい。
東側は黒岩の黒い斜面。西側は笹の緑色の斜面が続く。
その両方に挟まれた谷の先には、「安蘇山塊」が山の年輪のように幾重にも重なって連なっている。

 
左右の尾根は、まるで額縁のようだ。
写真をたくさん撮った後はトラバース道を使い下山する。

 

 

 
山頂の手前、「落葉松金剛」でパラっと降ってきたので、雨具の上下を着た。
そして「八風」でお昼にする。

 

 
景色を楽しんでいると単独の登山者が下ってきて挨拶を交わす。女性だった。
今朝、「霧降高原」から歩いてきたそうだ。結構、足が速い。
「良い尾根ですね。また来たい。」と言うので、「でしょう。冬もいいんですヨ~。」と返す。
バスの時間が心配と女性は急いで下って行った。
目に焼き付けるように眺め尽くす頃、雲は耐えきれなくなったと涙をこぼし始めた。
本降りになったので、重い腰をあげる。
 
帰りはノンストップで「二荒山神社」まで一気に下る。下りは2時間弱だった。
 
水路で登山靴の泥を流し、観光客に混じって市内を駅に向かう。
すると、湯葉屋さん前に登山者がいて、声を掛けられた。
「八風」で先を超された女性だった。
共通の景色を共感した仲で、すぐに友達になった。
駅に向かいながら、日光の山の話で盛り上がる。
足利市在住で、ちょくちょくこの周辺を歩いているらしい。
また会えたら、山の話で盛り上がりましょう。
 
 

【編集後記】

この尾根、トレーニングと気晴らしには、ちょうど良い。
「赤薙山」の溶岩でできた岩壁も圧巻だが、「安蘇山塊」の水墨画も風流である。

 ( ^^) _旦~~   

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