持丸山(途中敗退)

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アクセス・コースタイム

2019年1月5日(土) 晴れ
電車:高砂駅[4:45始発]-(南栗橋駅・藤原駅経由)-中三依温泉駅[8:28着]
    (定期+東武線株主優待券800円+野岩鉄道730円)
徒歩:中三依温泉駅[8:40出]-(途中、熊と遭遇)-持丸橋[9:35着]-
   -滝見橋[10:00着]-尾根取付き点[10:35着/10:40出]-
   -沢から尾根に取付き[11:28着]-鉄塔[11:38着]-
   -東からの主尾根に合流[12:37着(昼食)12:50下山]-
   -(途中、100m下ったところで登山者1名に会う)-
   -沢に到着[13:20]-滝見橋[14:49]-
   -持丸橋[14:05]-(途中、ヒッチハイク)-中三依温泉駅[14:25着]
電車:中三依温泉駅[14:36発]-(南栗橋駅・藤原駅経由)-
   -高砂駅[18:21着](野岩鉄道730円+東武線株主優待券800円+定期)

【はじめに】

2019年、最初の山行は、途中敗退となった。
原因は3つ。
1つ目は熊に出遭ってロスタイムしたこと。
2つ目は一ヶ所、路を間違えて時間が掛ったこと。
3つ目がワカンを忘れたことだ。
でも、誰も歩いていない雪原をひとりで歩くことができ、気持ちは良かった。

 
そう、今回、熊に遭った。
熊に遭ったのは、国道121号線から芹沢橋を渡り5分程歩いた辺り。
土木工事の現場事務所があって、そこを過ぎ、炭焼きの作業場辺りだった。
30mぐらい先を見ると、道路の脇で黒い物体が動いていた。すぐに熊だと気付いた。
大きさからすると子熊だ。餌を探している様子だ。
心臓がバクバクしながら、後ろに後ずさりして、現場事務所の建物の陰に隠れる。
気を落ち着かせ、右の斜面を観察し、親熊がいないかを確認する。
それらしき物体は見当たらない。子熊だけだろうか・・・。

 

 
こんなにも民家に近いところまで、そしてこの時期に熊が降りてくるものだろうか・・・。
 
そこで、いつもクマ除けの笛を吹く。
『ピ、ピーィ。ピ、ピーィ。』
『・・・』
子熊は、笛に気付きもしない。
ストックを2本、バチバチと叩く。
それでも子熊は気付かない。
だんだん腹が立ってきた。しかし、相手が逃げてくれなければ、どうしようもない。
暫し、子熊を見つめる。子熊は、相変わらず餌を探している。
30分が過ぎたとき、除雪車が向こうからやってきた。
これはチャンス。除雪車が来れば、子熊も山に逃げるだろうと思った。
が、しかし、子熊は逃げない。
そこで、自分も走って、除雪車の運転手に、手ぶりで合図した。
するとタイミングよく、子熊がいる付近で除雪車が停まった。
ドアを開けてこちらを見た運転手に『熊がいる』と伝える。
そして、自分は、除雪車の盾に、熊から逃れた。
 
(バクバク、ハーハー)
今年一回目の山行で熊に遭うなんて。
今年の干支は「熊」?いやいや、「猪」だろう。
びっくりしたのと時間をロスしたのと、気持ちはとにかく、バクバク、ハーハー。
 
今回の山行は、熊との遭遇で幕を開けた。
 
 

1月5日(土)

2019年の年始は、暦の関係で休みが長かった。
高砂の実家と山梨の実家に年始の挨拶。そしてマンションの仲間と柴又で新年会で大盛り上がり。
それでも休みがあったので、日光市芹沢の「持丸山」に行くことにした。
この山は栃木100の山。山頂からの展望はないという。
それでも未踏の山、雪の山を歩けると楽しみに出発した。
 
いつもの始発電車で京成高砂駅を出発。
途中「栃木駅」で乗り換える。
東の空がぼんやりオレンジ色になると、「筑波山」がくっきりと浮かび上がってくる。
そして左正面には、雪をまとった日光の連山が望むことができる。
もう冬本番だ。

 
「楡木駅」を通過すると、やっと日が昇り、雪の日光の連山はオレンジ色に輝き出す。
「下今市駅」を通過すると、今度は右手に「高原山」が望める。ここも雪で真っ白だ。
「鬼怒川温泉駅」でスキー客が降りると車内は閑散とる。
 
徐々に線路脇の雪が多くなる。
そして「新藤原駅」を過ぎれば、もう周囲の山はみんな雪景色だ。

 

 
自宅から4時間掛けて「栃木県」の北端、「中三依温泉駅」に着いた。
無機質な作りの駅舎は、それでなくても寒いのに、今朝は輪をかけて寒々しい。

 

 

 
お店の一軒もない駅をさっさと出発して、国道を歩く。
「芹沢橋」を渡ると一旦民家が途絶える。
駅から1キロメートルほど歩いたところで、前述の子熊に出遇うことになる。
除雪車が通過する間に子熊をやり過ごす。

 
登山口がある「持丸橋」には1時間も掛かって着いた。

 
橋を渡ると広い駐車場がある。その先のカーブに林道の入口がある。
積雪は10センチ程度だが、問題はトレースがないことだ。
確か年末に降ったはずだが、誰もこの「持丸山」には登っていないのか。
ならばと、登山靴で第一歩を踏み込む。

 

 
倒木地帯を通過し、ネットに載っていた一つ目の崩壊地には10分ほどで着いた。
ここを通過すると、また林道で出る。
積雪は徐々に増え、15センチから20センチになる。

 

 
さらに10分程歩くと「滝見橋」に着く。
橋から見える滝は、それほど大きくはない。
橋の上は雪が溶けにくく、積雪は30センチ以上あった。
ここから先、積雪は30センチ程度の深さが続く。

 

 

 
林道をまた進むと、2つ目の崩壊地に着く。ここは沢に下りてやり過ごす。
しかし、沢の石の間を縫って歩くのも大変だ。

 

 
赤テープが見えたので、そこで林道に戻る。
そこは、東電巡回路の黄色い杭があるところだ。
ここから正面(西側)の斜面に取付き、尾根に出るのだが、取り付き点が分からない。

 

 
少し沢を登る。倒木が行く手を遮る。隙間に足を取られ、抜け出すのに時間が掛る。
そうこうしていると、ストックの先端が行方不明になった。
戻って探す。そんなこんなでロスタイムがかさむばかりだ。

 
この時、少しばかり焦っていた。
初めてのルート、熊に出遭った恐怖。
早く帰りたい気持ちから、夏道を見つける前に斜面に取付いた。
クマザサの多い斜面は、アイゼンを付けていても滑る。
なかなか上に進まない。

 

 
やっとのこと尾根に出たのは30分後の11時半だった。
尾根に出たら少し安心した。
トレースは新雪で隠され、薄っすら、それらしき窪みが分かる程度だ。

 
10分程尾根を進むと東電の鉄塔に着く。

 

 
雪は深い。30センチ程度ある。
今回、ワカンを持ってこなかったのだ。
仕方なくツボ足のまま先に進む。
ブナの大木が多い、美尾根だ。

 

 

 

 

 
ちょうど1時間掛かって、東からの主尾根に合流した。
北西の風を受け、東側には雪庇が張り出していた。
山頂付近からは、ゴーゴーと風の音が響いてくる。

 
時刻は12時半。ここで悩んだ。行くべきか、下山すべきか。
この先もトレースはない。積雪は深い。ワカンがない。
地図で距離を測ると、山頂までまだ1時間は掛かりそうだ。
ここは安全優先、下山を決める。
 
目印として、今回の到達地点に赤い紐を結びつける。
そして、お昼のおにぎりを一つ食べる。

 
12時50分、下山を開始する。
下りは早い。登りの半分程度の時間で済む。
 
100m程下ったところで、登ってくる登山者に出会う。
最初に声を掛けてくれたのは、先方だった。
「トレース、ありがとうございます。」と言って、ワカンからスノーシューに履き替えた。
「エッ、エー。」そうだ、自分のトレースを使って、楽して登ってきたんだ。
少しだけ腹が立った。この時間から、ピークまで行くという。
自分も少し迷ったが、下山を決めた気持ちに、炎は灯らなかった。
別れを告げ、とっとと下る。
 
鉄塔を通過し、少し進んだところに夏道の分岐があった。
下りは、それを下った。
今朝、これを見つけられたら、時間のロスは、少なくて済んだかもと思った。
しかし、それも後の祭りだ。

 
14時半の電車で帰ろうと目標を立て、速足で下る。
舗装道に出ても、急いで歩いた。
しかし、5分か10分、間に合いそうもない。
そんな時、ヒッチハイクがあった。
運よく仕事帰りの方が駅まで乗せてくれ、何とか14時36分発の野岩鉄道に乗ることができた。
ヒッチハイクさせてくれた運転手さん、ありがとうございました。
  
 

【編集後記】

今回、熊に遇ったこと。
取付き点を見つけられなかったこと。
ワカンを忘れたこと。
この3点が途中敗退の原因だ。
素直に反省し、次回に繋げよう。
うちに帰るまでに、登山なのだから。
 
 ( ^^) _旦~~   

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