前黒山から高原山縦走
バリエーションコース
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アクセス・コースタイム
2022年3月20日(祝)~22日(日) 晴れ
3月20日(祝)
電車:京成高砂駅[8:36発]-JR王子[9:04着]
バス:JRバス関東(那須塩原行きに乗車)
王子バス停[9:55発]-塩原温泉バスターミナル[14:25着]
(予定では12:26到着予定がお彼岸で高速が渋滞し大幅に遅れる)
バス:ゆータク(予約し乗車)
塩原温泉バスターミナル[14:53発]-寺の湯[15:00着]
徒歩:寺の湯[15:05出]-温泉神社[15:11着]-
-ヨシ沼園地[15:28着]-林道入口[15:33着]-
-登山口入口[15:45着/16:00出]-1つ目のシカネット[16:15着]-
-2つ目のシカフェンス[16:37着]-小広場[16:50着]
ここでテント泊
3月21日(土)
小広場[7:00出]-広い尾根[7:20着]-
-主尾根[8:00着]-稜線[9:08着]-
-前黒山 山頂[9:11着/9:15]-コル[9:27着]-
-1700峰[9:45着]-コル[10:00着]-
-谷を下り旧林道付近[10:33着]-1627ポイント[11:00着]-
-明神岳 東峰 山頂(展望台)[11:37着/11:45出]-
-明神岳 西峰 山頂[12:02着/12:08出]-
-展望台[12:11着/12:16出]-峠らしき場所[13:13着]-
-御前岳[14:23着/14:47出]-鶏頂山[15:20着/15:28出]-
-御前岳[16:08着]-釈迦ヶ岳側コル[16:35着]
ここでテント泊
3月22日(日)
-釈迦ヶ岳側コル[7:30出]-釈迦ヶ岳 山頂[8:15着/8:28出]-
-コル[8:40着]-コブ[8:48着]-岩場-
-中岳[9:03着/9:08出]-岩の下り-
-ミニ天空の回廊で大休止[9:38着/9:55出]-
-西平岳 南の肩[10:17着]-南尾根に下る-
-舗装道[11:50着/12:05]-丁字路[12:30着]
この先、10分ほど歩いたところでヒッチハイク
鬼怒川公園駅まで送ってもらい、日帰り入浴¥510-
電車:鬼怒川講演駅[14:02発 リバティに乗車]-
-下今市・南栗橋・牛田駅を経由して
-高砂駅[17:50着]
【はじめに】
今回の山行は2月の敗退から始まった。。。。
昨年、「高原山」の南、「西平岳」に、バリエーションルートを使って2度登った。
その時見た雪の尾根を今度は縦走で歩いてみたいと思った。
それと、今年買ったスノーシューも楽しみたかった。
そこで2月の連休に、「高原山」から「前黒山」に抜け、最後は「那須塩原」に下り、最後は温泉に浸かる計画を立てた。
しかし、吹雪で敗退。「西平岳」から「中岳」の途中で引き返すことになった。
そこで今回は計画を見直し、リベンジ山行となった。
那須塩原市の「前黒山」(1678.4m)、「明神岳」(1627m)は、ピストンでの記録はあるが、「高原山」と繋げた記録は少ない。
その為、途中の路があるのか、それともヤブなのか不明だった。
今回歩いてみてわかった。
楽しみにしていたスノーシューも楽しめ、何より「釈迦ヶ岳」と「西平岳」の岩場と雪の稜線を歩けたことは楽しかった。
アプローチが長いのが難だが、次も歩いてみたい山だ。
2月の敗退は、天候の悪化が大きな理由だが、スケジュールを2日で組んだ計画も甘かった。
さらに、下った際に使う予定にした那須塩原市の「ゆータク」が使えなくなったので、計画変更の連絡をするため下山をせざるを得なかったことも理由のひとつだ。
そこで今回、計画を見直し、日程を2日から3日にした。
さらにルートを逆にした。
先に予約が必要なゆータクを使い登山口がある新湯(あらゆ)に向かうことにした。
那須塩原温泉までは、JRバス関東の高速バスを使った。
東武線で行くより交通費は高いが、出発が遅いこと。
座ったままでいいことから、今回選んだ。
しかし、お彼岸の連休。世間はコロナ騒ぎで出掛けるい人は少ないとタカをくくっていた。
ところが高速は大渋滞。2時間の大幅遅れ。
ゆータクも1本遅い便に変更してもらい、何とか登山口の新湯に到着した。
天気予報では、今日は低気圧が東に移動し晴れ。明日は高気圧が日本を覆い晴れ。
3日目は次の低気圧が近づき徐々に崩れる予報だった。
がしかし、那須塩原は雪がちらつく悪天候。
ま、今日は、前黒山の麓までの予定だから、そう心配はしていない。
3月20日(祝)
「新湯」でゆータクを下りると、硫黄の臭いが鼻を突いた。
ここには泉質が硫黄の共同浴場「寺の湯」がある。
雪がちらつく中、温泉客が数名、出入りしてた。
他に「中の湯」や「むじなの湯」もある。どこも混浴で入浴料は300円と格安だ。
15時、「新湯」」を出発する。
今回、担いできたザックは、メルカリで買った「カリマー」のザック「ハストンアルピニステ」。
1970年代に一世を風靡した憧れのザックだ。
今回手に入れたので、早速をそれを使ってみたかったのだ。
途中「温泉神社」でお参りをして、「ヨシ沼園地」の東の端から林道に入る。
舗装道の途中で、これから向かう「前黒山」の北の斜面が雪の中から見えた。
雪に埋まる林道を進み、40分程して、登山口に着いた。
ここでストックやスパッツを装着する。風が強い。雪も少しちらついている。
植林された杉林の中に路がある。しかし、雪で分かりにくい。
トレースも残っていない。
ヤマレコの山行記録から写し取った地図を見ながら進む。
1つ目の鹿除けネットを通過する。その先も分かりにくく、2回コースを外し後戻りした。
2つ目の鹿除けネットを通過するとすぐに小広場に着いた。
予定通り、ここにテントを張る。
今夜は、五目御飯にタイカレーの缶詰。
今回、装備を軽くするため、食料は質素にした。
それだけではない。シュラフは3期用。
エアーマットとダウンの羽毛の象足は持ってきたが、シュラフカバーは置いてきた。
そのせいか、夜中寒くてなかなか寝付けなかった。
夜中、風は止み、空は満天の星だった。
3月21日(土)
翌21日 土曜日、5時半起床。
朝食のパクチーラーメンを食べると、さっさとテントを畳み、雪山の装備を着ける。
そして7時に出発。
天気は快晴、風はなし。鳥の声が清々しい。
正面の急斜面の登りから始まる。
赤テープの目印がある。
20分程で広い尾根にでると傾斜は緩やかになる。
積雪は20センチ程度。白樺や樅が茂る美尾根だ。
さらに40分で尾根に出る。
西風を受け雪庇ができている。
白樺の樹ごしに、雪をまとった福島の山々が見える。
徐々にシラビソの樹が増える。
そして開けたところで振り返ると、「男鹿岳」や「七ヶ岳」が視界に飛び込む。
途中でスノーシューに履き替え、白樺とシラビソの尾根を快調に高度を稼ぐ。
遠くから音楽が聞こえ始めた。スキー場のスピーカーからだ。
1600mを超えると、林の向こうに「前黒山」の山頂が見え始める。
東に1700m峰も望める。
出発して約2時間、山頂直下の主稜線に出る。
山頂はもうすぐだ。
9時11分、「前黒山」1678.4mの山頂に到着。
ほぼ180度ビュー。
天候も良く、南にはこれから向かう「明神岳」、その右(東)には「釈迦ヶ岳」、右には「鶏頂山」を望める。
さらに右手には日光の山々「女峰山」「白根山」「根名草山」が見える。
山座同定を堪能したらコメツガの林の中、コルに下る。
そこにザックをデポして、1700m峰に向かう。
ここは「前黒山」より標高が高いのに山名が付いていない。
雪の斜面、スノーシューが威力を発揮する。
1700m峰も南側の眺望は良い。那須の山も見える。
ピークの南に小段があり、ここにテントを張って「高原山」を見ながら朝を迎えたら最高だろうと思った。
コルに戻って、南の谷を下る。
傾斜がきついのでアイゼンに変える。
下りきる前に東にトラバースし尾根に向かう。
途中、国土地理院の地図に記載された林道らしき平らな所があった。
尾根に着くと、ここもやはり眺望が良い。
これから進む「高原山」までの尾根は、那須塩原市側の東面は急な斜面になっていて、日光市側の西面は緩やかな斜面と、特徴ある地形だ。
天気は快晴。風もなく、汗ばむ。
ここでサングラスを付ける。
地図に1627と記されたコブを超え、一旦下って、また登り返すと、木造の展望台が目に入る。
「明神岳」の山頂は間近だ。
11時37分、出発して4時間半、「明神岳」東峰 1643mの山頂に到着する。
木造の展望台あり、そこで山座同定を楽しむ。
案内板が設置されているが、山の位置などはおおざっぱだ。
「剣ヶ峰」「釈迦ヶ岳」が、さっきより近くなった。
北側には、さっき登った「前黒山」が見える。
スキー場の音楽が近くに聞こえる。
次の「明神岳」西峰に向かって下る。
すぐにスキー場のリフトの終点が見える。
滑走を待つスキーヤーが何人もいる。
コロナで外出自粛のさなか、スキーは大丈夫なのだろうか。
そういう自分も同じか。
下り始めると左(東)側に危険防止の赤い紐が張られている。
そういうところがこの後も数か所見られた。
南に尾根を進むと木の歩道が現れる。
観光用に作られたようで、樹木紹介の案内板もあった。
10程で「明神岳」西峰に着く。眺望はなく、立派な石の祠があり、誰かかお守りをしているようだ。
歩道に沿って進むと、二つ面の木造展望台があった。
「高原山」が正面に見え、これから進む尾根も見える。
右(西)側には日光の山々。さらに「尾瀬」の山「会津駒ヶ岳」「荒海山」「七ヶ岳」も見える。
展望台の先は「立入禁止」の看板が張られているが、それを跨いで先を進む。
この先は、ネットにも記録が少なく、少々未知の領域だ。
日当たりの良い所は雪が少ない。
白樺の林。緩やかな登り。
踏跡は雪で見えにくいが、歩いた跡はある。
「明神岳」西峰から約30分、地図に記載された1510mのコルに着く。
右(西)側が広いく開け、コルと思えない。
このあたり、水さえあればどこでもテントを張れる。
1566のポイントには13時10分頃通過した。
そのすぐ先に、峠らしきところがあった。
文字ははげ落ちているが木の看板がある。
その先は、徐々に傾斜が増す。
6時間以上歩き、そろそろ疲れが出てきた。
「御前岳」の直下、標高1630mから急登が始まる。
尚且つ新雪だから、崩れて歩きにくい。
ここが一番きつく、登りに25分掛かった。
やっとの思いで尾根に出る。
14時23分「御前岳」山頂に着く。
ここで今夜のテント場をどこにするか考えた。
目標としては、「中岳」と「西平岳」の間の、雪庇ができる尾根に張りたいと思っていたが、そこまで体力が持たない。
そこで、「釈迦ヶ岳」の手前のコルにテントを張ることにした。
一本取ってから計画とおり、「鶏頂山」にピストンする。
陽が少し西に傾くと、「鶏頂山」の尾根は日陰で遠く感じられる。
それでも空身だから足は軽い。
45分で着いた。途中、弁天池の分岐からは、トレースが多かった。
15時20分「鶏頂山」1765mの山頂に到着。
5年前と同じ立派な神社が建っている。
山頂の東に立ち、明日、目指す「釈迦ヶ岳」「中岳」、赤いザレ場の「西平岳」を見渡す。
今日歩いてきた「前黒山」からの稜線も見える。
「御前岳」に戻り、今夜、テントを張る場所に決めたコルに向かう。
風が強くなってきた。
16時35分、コル到着する。
風を避けテントを張りたかったが、平らな所がなく、しかたなく尾根の上に張る。
結果、一晩中、テントは風にあおられ、バサバサと大きな音を立て続けた。
あまりに強い風で、夜中にテントが飛ばされるかと心配になった。
水を作るため、新雪のきれいな雪を袋に詰めテントサイドに置く。
今夜は、チキンライス。
行動中、それほど水を飲まなかったので、テントに入ると無性に喉が渇いた。
お湯を沸かし、5杯ほどコーヒーやお茶を飲んだ。
夜中、スマホを確認すると通信できることが分かった。
この晩も、寒くてあまり眠れなかった。
ラジオで栃木のFM放送を聞いた。
宇都宮は開花宣言が出たそうだ。今夜も夜空は星が一杯だった。
3月22日(日)
最終日、22日 日曜日。寝坊して6時に起きる。
カレーうどんを食べてテントを撤収する。
風が強く、装備が飛ばされないかと、冷や冷やした。
7時半、「釈迦ヶ岳」に向かって出発。
アイゼンが凍った地面に良く食い込む。
ザックが枝に引っ掛かり、その都度、しゃがんだり戻ったりしなければならずわずらわしい。
山頂に近づくほど傾斜がきつくなる。
そういう所にはトラロープが張ってある。
40分程すると傾斜が緩み視界が開ける。
「剣ヶ峰」との分岐を通過するとトレースが増える。
背の低いコメツガの間を抜ける。
8時15分「釈迦ヶ岳」1795mの山頂に到着。
山頂は雪が少なく、土がむき出しのところが多い。
360度のパノラマを楽しむ。遠く、日光の山は霞んでいる。
8時半、「中岳」に向け下る。
南に傾斜した笹原の斜面は雪が少なく、土が見えるところが三分の一ほどあった。
下りきると、そこは雪の原っぱ。
振り返ると、きれいな三角形の山に黄緑色の笹原と白い雪の路。
点在する針葉樹の濃い緑がアクセントになって、とてもきれいだ。
この先から岩場が始まる。
岩のやせ尾根、岩の登り。アイゼンの歯を岩に掛け攀じる。
朝早いから、雪も締まっている。
トラロープが一本張ってあるが使わず登る。
岩場を抜けると、北八のような景色に変わる。
風に負けないよう、東側にしか枝がないコメツガ。枯れて白い幹だけになった樹、岩と雪。
ミニアルペン気分だ。
振り向くと、さっき登った「釈迦ヶ岳」がさらにきれいに見えた。
この時期、このタイミングにここに居なければ見られない景色だ。
最後、岩のトラバースは、雪面を直登して山頂に出た。
9時3分、「中岳」1728mの山頂に到着。
眺望はない。
ここも以前と同じ赤い鳥居と石の祠が祭られている。
登山の無事を祈り下山する。
コメツガと岩の下り。
夏と違い、雪が岩の隙間を塞いで歩きやすい。
急な箇所にはトラロープが何か所か張られている。
正面には「西平岳」の赤いザレ場が見える。
下りきると、また、日光の山の景色に戻る。
ツツジやコメツガ。苔むした露岩が点在する路。
樹林帯を抜けると、今度は雪の尾根に変わる。
右(東)側には雪庇が続く。
どこかで見た景色に似てる。
そうだ、「大佐飛山」の天空の回廊だ。
ここは、その小型版、ミニ天空の回廊だ。
風は西の樹木で和らいで寒くはない。
日差しが暖かく心地よい。
せっかくだから、ここでお昼にする。
ザックを下ろし、今下ってきた「中岳」を眺めながらパンをかじる。
回廊を抜けると「西平岳」北側の赤いザレ場。
雪は無く、溶岩でできた砂利の上をアイゼンで通過する。
やはりここは風が強い。
右を見ると「鶏頂山」の南の尾根が、なだらかに続いている。
いつか、歩いてみたい尾根だ。
途中にある石の祠にお参りする。正規の山頂は通過してしまった。
10時17分「西平岳」1712mの山頂(正確には、山頂南の肩)に到着。
ここからは、今年2月に使った「西平岳」の南尾根を下ることにする。
2月に登った時より雪が少ない。
バリエーションの下りは、ルートを間違うと取り返しがつかないから、GPSでチェックしてから歩き始める。
根曲がりのシラビソやツツジの樹と露岩の斜面。路はない。
踏跡は、鹿かイノシシのものだ。
早々に雪が無くなり、アイゼンを外す。
付近は、白樺と背の低い笹原。きれいな尾根だ。
近くで鹿が鳴いている。
樹木が樅やブナに変わる。
傾斜が緩くなったあたり、落葉松の植林を通過すると舗装道は近い。
最後、少しルートは西に取りすぎ、GPSをチェックして戻った。
11時50分、「西平岳」の肩から約1時間半、舗装道に出た。
振り返ると、裾のを広げた西岳がきれいな三角錐を見せてくれた。
ビニールハウスでは、農家の方がホウレンソウの作付の準備を行っていた。
丁字路を過ぎ25分ほど駅に向かったところで、釣りに来ていた宇都宮のご夫婦に声を掛けられ、ついでにヒッチハイクさせてもらい、「鬼怒川公園駅」まで送ってもらった。
「ありがとうございます」
時刻を見ると、次の電車まで1時間あったので、日帰り温泉「鬼怒川温泉岩風呂」(510円)で汗を流し、14時2分発のリバティに乗って帰った。
下今市駅までは特急券なしで乗れる便利な特急だ。
【編集後記】
昨年末から新型コロナウイルスが世界で流行し、街を歩く人の半数はマスクをしていた。
そんなさなか、高速バスを使って山に行ってきた。
山に入れば、一人も登山者には会わない。感染の心配もない。
問題は、交通機関だ。帰りの東武線は、窓が開けられ、3月お彼岸だというのに寒かった。
今回、2度目のスノーシュー。期待どおり、快適な山歩きができ嬉しかった。
( ^^) _旦~~