熊鷹山(バリ尾根)
バリエーションコース
Home > Index No.1 > 山行記録 173
アクセス・コースタイム
2021年5月4日(火・祝)~5日(水・祝) 晴れ・曇り ツエルト泊
5月4日(火・祝)
電車:京成高砂駅[4:48発 羽田行きに乗車]-
-押上駅経由で舘林駅で東武佐野線に乗換
-田沼駅[7:14着]
株主優待券700円
バス:駅前から「さーのって号」乗車[7:25出]-小戸口バス停[7:55着]
300円
徒歩:小戸口バス停[8:05出]-林道終点[8:42着/8:48出]-
-コル[9:16着]-660mポイント[9:48着]-
-638mポイント[10:39着]-コル(石の祠)[10:46着]-
-鉄塔[11:13着/11:20出]-723mポイント[11:58着]-
-崖の上[12:06着]-奈良部山[13:32着/14:00出]-
-丸岩岳[15:35着/15:45出]-分岐[16:24着]-
-熊鷹山[16:35着](ツエルト泊)
5月5日(水・祝)
-熊鷹山[4:50着]-林道[5:10着]-
-林道から山路へ[5:24着]-野峰[6:35着/6:40出]-
-825mポイント[7:35着]-大岩の上[8:00着]-
-炭焼き窯跡[8:30着]-作業道と交差[8:45着]-
-718mポイント[9:15着](尾根を下る)-鉄塔[9:47着]-
-林道に出る[10:10着]-舗装道[10:30着]-
-永台寺の前[11:05着]-寺沢口バス停[11:15着]
バス:寺沢口バス停[13:15出]-田沼駅[13:35着]300円(駅前で昼食)
電車:田沼駅[14:12発]-高砂駅[16:44着]
株主優待券700円
【はじめに】
佐野の山には何度か登ったが、なぜかバスで失敗する。
寝坊で時間に間に合わなかったり、館林駅で乗り換える電車を間違えたりと、自分のミスが原因だ。今回も寝坊して、出発を1日遅らせてしまった。
今年のゴールデンウィークは天候が良くなかった。そして山岳遭難も多かった。
天気予報通り2日目の昼前から雨が降りだし、エスケープルートで林道に降りたので、たいした影響はなかった。
久しぶりの山行で筋肉痛になったりしたが、この時期に安蘇の山魂を歩く喜びを感じた山行だった。
5月4日(火・祝)
出発当日、始発電車に乗る。空いているかと思いきや、意外と乗客が多かった。
コロナで外出自粛が叫ばれている中、県をまたぐ山行は少々片身が狭い。
東武動物園駅を過ぎ、秩父鉄道の乗換駅の羽生駅を過ぎると、民家の向こう側に佐野の山波が見えて来る。
新緑の緑色のキャンパスにピンクや紫の花で彩られ、山は絵画のように見える。
館林駅で葛生行き電車に乗り換える。
そういえば田沼駅とを間違えて、5つ手前の田島駅で降りバスに乗り遅れたことがあった。
その時もバス会社に迷惑を掛けてかけてしまった。
ローカル線に揺られ、のどかな気分に慕っていると、西側から赤城の山塊が見えてきた。よく見ると、その右手には白根山や男体山が雪を被っている姿も望める。
自宅を出てから約3時間、田沼駅に着いた。
駅を出て、右に曲がった公園の端にあるバス停に行くと、ちょうどバスが到着していた。
ここで予約した佐野市のデマンドバス「さーのって号」に乗り込む。
バスと言っても委託を受けたタクシー会社のワゴン車。定刻より早いが出発してくれた。
早速、運転手さんから名前を確認され、予約はどうされたのかと質問される。
運転手さんの話では、デマンドバスは地元住民しか乗車登録ができないようだ。
今回、ネットに時刻表が載っていなかったので、電話で問い合わせしたところ、そのまま予約ができた。
だから住所の登録も何もしていない。受け付けてくれた方の配慮だろうか。
運転手さんは話好きで、車中、ずっと予約の話と山の話をしていた。
翌日のデマンドバスも、同じ運転手さんが、わざわざシフトを変えてまで担当してくれた。
30分程で「小戸口バス停」に着いた。
天候は晴れ。風もなし。ウグイスの声が良く聞こえる。
スマートホンのGPSとココヘリをセットして、8時5分出発する。
舗装道を少し戻り、民家の脇、林道黒沢線に入る。
新緑が輝く沢沿いの林道を30分程歩くと林道の終点に着く。
ここでストックを出し、正面の尾根に取りつく。
植林された尾根は暗そうに見えるが、左手(南面)が伐採されコルまでは視界が開けている。
30分程で主尾根のコルに着く。
杉林の中、薄暗い。ここから植林で展望の良くない尾根歩きが始まる。
時々、点在する露岩や赤いヤマツツジの花が見られると嬉しくなる。
踏跡はついているが薄く、時々ヤブ化している。赤テープも見当たらない。
主尾根を歩き始め30分、660mのポイントを通過。
尾根の折り曲がり点では、手元の地図とサムコンパスが素早く使えて便利だ。
さらに1時間で638mのポイントを通過する。
638mのポイントは、北西に横たわる野峰の尾根が見渡せる。
そして正面に送電線が見えた。鉄塔が近い。
少し下った小さなコルには石の祠があり、今回の山行の無事を祈る。
コルの先の登りは少しヤブなので、尾根より切り開きとの境の斜面側を歩くと良い。
鉄塔の手前の尾根は平坦で広く、ヤマツツジがとてもきれいだった。
638mのポイントから30分、鉄塔に着いた。
バス停からここまで、約3時間掛かった。
鉄塔の下は風が通り抜け気持ちがいい。ここで昼飯のクリームロールを半分食べる。
ここから次の760mの小ピークまで、なだらかな尾根が続く。
この尾根は、ツツジのトンネルと思えるほどツツジが多く、時々トウゴクミツバツツジやシロヤシオも見られ、気分はハイになる。
トウゴクミツバツツジの明るい紫色が好きで、これが見たくて佐野の山を選んだと言っても過言ではない。
次の723のポイントには鉄塔から約40分、12時に着いた。
小ピークから先は雰囲気が一気に変わりマツやヒノキが多い、露岩のやせ尾根になる。
このルートのクライマックスともいえる岩場が始まる。
最初の岩場は、階段状で直登が可能だ。
2つ目の大岩は登れるが、下りは崖だったので右に下り巻いた。
その巻き路も狭くて少し緊張した。
見返すと10m以上の崖だった。無理しなくてよかった。
岩場のコルに石標があり「山」、「八0三」と彫られていた。
岩場の尾根を通過すのに約1時間を要した。
いよいよ奈良部山への登りが始まる。
このころから右足の太腿の筋肉が痛み出した。
理由は単に運動不足だ。前回の山から、2ヶ月もブランクが開いているからだ。
登り斜面は雰囲気が一転する。また広葉樹の新緑に包まれたツツジの尾根に戻った。
登り始めはヤマツツジの赤だったが、徐々に高度が増すとトウゴクミツバツツジの紫が多くなり、新緑の緑より多いようにも思えた。
足の痛みでスピードは落ち、なかなかたどり着かない。
13時30分を過ぎてやっと山頂が見えてきた。
「奈良部山」985.5mの山頂に到着。三等三角点の石標と木製の山名板がある。
ここまで誰にも会わなかった。空は快晴。風もなく、鳥の鳴き声だけが聞こえる。
周囲はトウゴクミツバツツジが満開だ。ツツジを愛でながら、昼飯のカツ丼弁当食べる。
まだ予定の半分しか到達していない。急ぎたくても右足は悲鳴を上げスピードが出ない。
予定を切り上げて、この辺でツエルトを張ってしまおうかと後ろ向きは考えがよぎる。
山頂から次のピーク丸岩岳に向かうと、その気分すっとんだ。
トウゴクミツバツツジのトンネルだ。
足の痛みは取れないが、気持ちはハイになる。
広くて緩やかな下りの尾根は、紫色で埋め尽くされていた。すごすぎる。
もう、ここで大満足。
誰かのヤマレコに、ヤシオストップと書かれていたが、その通りだ。
写真を撮りながらだと、なかなか進まない。
左手には、野峰に続く尾根が見える。正面には丸岩岳。まだまだ遠い。
下りが終わるとやせ尾根を進む。コブを3つ超えるのにすごく時間がかかった。
しかし、ブナやシラカバ、モミの緑がきれいな美尾根だ。
奈良部山から1時間ほどして、丸岩岳手前で林道に合流した。周囲は広く、シラカバが多い。
林道を左によけ、丸岩岳の登りが始まる。
緩い登りでも足が痛い。休み休み登ったら15分も掛かった。
15時35分、「丸岩岳」1127mの山頂に到着した。
山頂は広く、三角点の石標と木製の山名板があった。
あともうひと頑張り。
この先は、いったん下って、その後、熊鷹山まで緩い登りが続く。
足の痛みをだましだまし歩く。
鳥はねぐらに帰ったのか、広い尾根は静まり返っている。
ブナとシラカバ、トウゴクミツバツツジの紫を見ながら一般道を歩く。
50分して、山頂直下の分岐に着いた。
左(西)に下れば根本山の登山口の不死熊橋(ふじくまはし)だ。
途中で傾いた鳥居をくぐる。山頂は近い。
丸岩岳からちょうど1時間、16時35分、「熊鷹山」1168.7mの山頂に到着した。
三等三角点の石標と鉄板の山名板がある。そして、木製の櫓は今もあった。
山頂のノートによると、櫓が傾きかけていたが地元の方が修理してくれたそうだ。櫓の反対側をワイヤーで引っ張ってあった。
早速、櫓に上る。以前と変わらぬ360度ビュー。最高の景色をしばし楽しむ。
今日、登ってきた奈良部山からの丸岩岳。その西側には、明日、歩く野峰の尾根。
北側には、男体山、白根山、皇海山から袈裟丸山、赤城も見える。
ただ間近を眺めると、ツツジはまだ満開ではなかった。標高が50m高いだけだが、丸岩岳とは大違いだ。
狭い山頂の一角を整地し、まずはツエルトを張る。そしてお湯を沸かしコーヒーで一息入れる。
今夜の食事は、早ゆで4分のマカロニをパスタ代わりにし、カット野菜で鍋も作る。
食後は、ラジオを聴きながら、櫓の下にあったノートを読む。常連さんが多いようだ。
記録を読むかぎり、自分が歩いたコースのあまり使われていないようだ。
ラジオの天気予報では、明日、関東地方は、午後早めに雨になるようだ。
出発前に確認した天気予報だと、崩れるのは午後の予報だったのに、雨が早まったようだ。
寝る前に、明日のコースを考える。
鉄塔手前にエスケープルートがある。
天気が崩れるのと自分の足のどっちが早いか。
今回、軽量化を図りシュラフは夏用にした。
気温は夜もそれほど下がらず寒くはなかったが、来訪者(おそらく鹿の子供)が、夜中何度も声を上げるので、その度起こされた。
5月5日(水・祝)
2日目、3時半に起床。今朝の食事は、アルファ米の五目御飯だ。
ツエルトを畳む間に五目御飯が出来上がる。
夕べは、持ってきたコーヒーをすべて飲んでしまって、今朝はオレンジジュースの粉末しかなかった。
しかし、その粉末オレンジジュースがすごくうまかった。粉末とは思えない、生絞りかと思えるほどのうまさだった。
空は青空、月は三日月。風もなく、穏やかな朝だ。
パッキングを済ませ、4時半過ぎに出発する。
太陽が東北東の方角から昇ってきた。
昨日歩いた丸岩岳への道を下る。朝日がシラカバ林を照らす。
丸岩岳には登らず、手前で林道に入る。
山頂は昨日、登ったので、今日はパスする。
砂利道の林道だが、車が通った痕跡がある。
600mほど進んだカーブが、野峰への取り付きだ。ここまで35分。
尾根を下るとすぐにシロヤシオとトウゴクミツバツツジが出迎えてくれた。
下り気味の尾根はアップダウンを繰り返す。
トウゴクミツバツツジも多いが、徐々にヤマツツジに変わる。
少しだけ雲が多くなってきた。
キツツキとブッポウソウの声が尾根にこだまする、のどかな尾根歩きが続く。
林道から1時間10分、「野峰」1010mの山頂に到着した。
三等三角点の石標と木製の山名板がある。
山名板には、標高が1009.95mとなっていた。
山頂だけマツやヒノキが茂って何も見えないが、振り返ると二十山と熊鷹山が望めた。
ここでコンパスをあたる。広くて平らな山頂は、コンパスだけが頼りだ。
しばらく広い尾根が続くのでコンパスを使い、慎重に進む。
標高900mを切ったあたりから尾根が狭くなり、露岩が増える。
825mのポイントの手前の登りに、ワイヤロープの残置がある。
野峰から55分、825mのポイントに到着した。
ここも檜林で展望はない。ここで尾根が曲がる。コンパスで方向を見極める。
10分ほど下ると、本日、このコースのクライマックス、大岩の登場である。
大岩の上に祠がまつられていて、まずはそこに攀じって登山の無事を祈願する。
下を見下ろすと落差は30mぐらいはありそうだ。
南西の谷に向かって眺望が開け、しばし無名の景色を楽しむ。方角的には、谷の向こう側に広がる山は仙人ヶ岳と赤雪山だろう。
大岩の下りは、左(東)側が階段状になっている。
とはいえ、かなりの斜面で、スタンスも狭かった。
下る途中見上げた大岩は、かなりのスケールだった。
その先の露岩のコルを通過し、次に760mの小ピークに登る。
そして下り。そこには、大きな露岩があり、それをよけて南に下る。
しかし、少し南に寄りすぎていていた。20mほど下ったところで気づき、東にトラバースする。
そのとき変わった岩があった。ブリッジのように空洞が開いていた。自然のなせる業は面白い。
その後、檜林の尾根を進むと、炭焼き窯の跡があった。
その先、標高700m付近で作業道と交差する。
作業道は、尾根の左右をまたいで作られ、しばらくしてまた交差した。
718mのポイントに向かって登りが始まるところで作業道は終わる。
しばらく登ると鹿ネットが張られていた。
標高100mほど登り、718mのポイントに到着した。三等三角点の石標がある。
檜林の中、眺望はない。
825mのポイントから1時間半掛かった。
この尾根は寺沢の部落まで続いているが、予報通り雨がぱらついてきたので、ここで尾根を降りることにする。
ヤマレコで調べておいたエスケープルート、東電巡視路がある東の尾根に下る。
尾根を下る前、コンパスでコースを見極める。
とはいえ、ここの尾根は狭いので、不安はなかった。
しかし、あまり人が入らいなとみえ、踏み跡は薄かった。
標高590mから傾斜が急になる。
718mのポイントから30分、東電の鉄塔に到着した。
ここで雨の勢いが増してきた。急いで下る。
巡視路は、樹脂製の板で階段が作られ、且つ整備もされていて歩きやすかった。
鉄塔からは20分ほどで林道に出た。これで山歩きは終了した。
じめじめした林道をひたすら歩く。途中、「ヤマビル注意」の看板を見つけた。
そろそろヒルの季節がやってくる。そうなると、この付近も歩けなくなる。
20分で舗装道に変わる。
ここは、「黒沢西川」と「黒沢東川」が合流し、「彦間川」に変わる所。
「黒沢西川」と「黒沢東川」に挟まれた尾根はここから始まり「奈良部山」に続く。
その尾根の途中には岩場と「飛駒山」というピークがあるらしい。
次回のお楽しみに取っておこう。
しとしと降る雨の中、雨具のフードを被りひたすら舗装道を歩く。
30分以上歩いて、やっと寺沢の部落に着いた。
そこには永台寺というお寺があり、今日歩いた尾根の終点は、このお寺さんの裏手に下って来る。
寺の入り口には大きな松の樹があり、樹齢は推定400年、町の天然記念物に指定されている。
お寺から10分、11時15分に「寺沢入口」バス停に着いた。
しかし、予約したデマンドバスは13時15分。それまで2時間もある。
周囲に民家は多いが、ほぼ田んぼ。足が痛くて、これ以上歩きたくない。
バス停の脇の消防団の車庫の前、庇の下で雨宿りしながら、ひたすらバスを待つことにした。
何もすることのない2時間が経過し、やっとバスが来てくれた。
運転手さんは、昨日と同じ方だった。
登山の無事を報告し、田沼駅でバスを降りる。
駅前の「昭和軒」に入り、ラーメンとカレーのセット(800円)を注文した。
ラーメンはやっぱり佐野ラーメンだった。
【編集後記】
安蘇(あそ)の山魂はツツジがきれい。
連休が近付くと、ヤマレコで開花をチェックする。
アカヤシオが満開、なんて記事をみると、いてもたってもいられなくなる。
写真も沢山撮ったが、あの美しさ、感動は撮れない。
だから、また行こう、安蘇の山魂。
( ^^) _旦~~