温泉ヶ岳・根名草山・奥鬼怒温泉郷
バリエーションコース
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アクセス・コースタイム
2021年11月23日(木)~24日(金) 晴れ~曇り 避難小屋1泊
11月23日(木)
電車:京成高砂駅[4:55発]-東武日光駅[7:39着]
京成線189円+株主優待券700円
バス:JR日光駅[7:52出]-湯元温泉[9:07着]
パス1750円
徒歩:湯元温泉[9:10出]-有料道路[9:30着/9:35出]-
-1730mの小段[10:10着]-1880m[10:40着]-
-2061ポイント[11:55着]-2160m[12:42着]-
-登山道[13:25着]-温泉ヶ岳[13:43着/13:50出]-
-水場[14:44着]-念仏平避難小屋[15:05着] 宿泊
11月24日(金)
徒歩:念仏平避難小屋[6:00出]-根名草山[6:59着/7:05出]-
-コル[7:19着]-分岐 標高1900[8:28着]-
-日光澤温泉[9:20着(日帰り入浴)10:20出]-
-加仁湯[10:35着(日帰り入浴)12:00出]-
(林道を間違え20分のロス)
-八丁の湯[12:30着]-女夫渕温泉バス停[13:45着]
車(ヒッチハイク):女夫渕温泉バス停[14:30ごろ出]
-鬼怒川温泉駅[15:30ごろ着]
電車:鬼怒川温泉駅[16:02発]-高砂駅[19:04着]
株主優待券700円+京成線189円
【はじめに】
日光や会津に雪の予報の多くなった。
いよいよ冬到来。
最近、山に行く時は、インターネットサイト「てんきとくらす」で、ランクAの日を選んで行っている。
今回の山行で、そのサイトの評価は、1日目は指数Aだが、2日目はBである。Bとは、登山するには、それほど良くない天候、雨や風の確率が高いことを示している。
それでも、この機会を逃すと、次、いつ山に行けるか分からない。ならばBでも行くことにした。
そして、この季節、人も少なく、誰もいない山を楽しめるところと考え、前から調べていた、今回のルートにした。
最後は、奥鬼怒温泉郷で日帰り入浴を楽しむこともできる。
入山は、2018年3月に使ったバリエーションルート「温泉ヶ岳の南東尾根」を使うことにした。
しかし、3月の時とは状況が違っていた。
雪が無かったので、ガチ、ヤブだった。
結果、苦労はしたが予定どおり実行できた。
11月23日(木)
朝、二度寝してしまい、危うく電車に乗り遅れるところだった。
いつもの始発電車で地元駅を出発する。
外はまだ暗い。
東武金崎駅を過ぎ、思川の長い鉄橋を渡ると、日光の山々は裾野まで見ることができる。
ちょうど東の空から雲に隠れていた朝日が顔を出し、日光の山がオレンジ色に輝きだした。
東武日光駅に着いて、JR日光駅までの間、日光の山を眺める。
女峰山は、まだ雪を被っていない。
山の斜面に熊笹の土色が多いことに気付く。
2週間ぶりに雨があがり、真っ青な空が広がっている。
ただし気圧配置は冬型で、山の上は風が強そうだ。
9時15分、バスで湯元温泉終点に着いた。
晴れて風が強い。
南西に見える金精山は、山頂に雪を被っている。
青空がまぶしい。時間を無駄にしないよう、さっそく歩き始める。
強烈な硫黄の臭いがする湯元温泉の源泉の脇を通過し、斜面を九十九に登ると有料道路に出る。
ここでスパッツを装着し、いよいよ温泉ヶ岳の南東尾根(勝手に命名)に取付く。
正面から左の続く尾根を行く。
風に乗って硫黄の臭いがする。
30分ほど尾根を進むと笹が深くなった。
小段になったところで一本取る。
4年前に歩いた時は雪で埋まっていた笹が、今回はすべてヤブだ。
丈は場所によるが、膝ぐらいから肩ぐらいまである。
時に背丈ほどあるシノのヤブは、トンネルになっている。
ササヤブでも、両手で開くと獣の踏跡らしい路がある。
大変だったのは、獣道も外れたササヤブの急斜面だ。とにかく滑る。前に進まない。
そんな時は、風の音が恐ろしく感じる。
時々、樹々の間から、白根方面の尾根が見える。
そういう所は、ふり返ると、男体山や中禅寺湖も見える。
雲が、速い速度で移動している。
尾根に取付き約1時間、1880メートル付近で熊の足跡を見つけた。
熊鈴と熊除けスプレーを持っていても緊張する。
そんな時は、ショルダーに付けたモンベルの笛を吹くことにしている。
ササヤブは、なおも続く。
でも、やっぱり獣道に救われる。
さらに1時間半が過ぎ、ポイント2061に着く。
シラビソの林、空は曇り、気温が下がってきた。(0℃)
ササヤブが辛い。
さらに45分進む。標高は2160メートル付近。
やせ尾根になり、周囲はシャクナゲが多くなる。
そしてササヤブは続く。
尾根に取付き4時間弱、金精峠からの登山道に出る。
ここから、温泉ヶ岳への分岐はすぐだ。
周囲は、薄っすら雪が積もっている。
分岐から急登が始まる。山頂へは10数分程度だ。
13時43分、温泉ヶ岳 2332.9メートルの山頂に到着した。
空は半分だけ晴れ、風は強い。
4年前、雪で板しか見えなった山名板は、支柱からすべてが見る。
山頂からの眺望は、尾瀬方面の至仏山から平ヶ岳、燧ヶ岳、右手前に根名草山と避難小屋も見える。
奥には奥鬼怒湿原は見える。東に黒岩岳、その奥には会津駒ヶ岳。
右に移動し東の見渡せば、於呂具羅山、山王帽子山、太郎山、その先に女峰山。
その向こうには、男鹿の山魂と高原山の山魂が見渡せる。
南側の白根山は、樹に隠れ見られない。
分岐まで戻り、登山道を念仏平避難小屋に向け進む。
モミの森は、粉砂糖を掛けたように白い。
温泉ヶ岳を回り込む道の途中で、東に開けたところがある。
大真名子と男体山、中禅寺湖をを俯瞰できる。
このころまで、東の空は晴れていた。
道は温泉ヶ岳の北側に回り込み、その先が温泉平だ。
そこでまた、女峰の親子を俯瞰できる。
上空にはグレーの厚い雲が降りてきていて、まるで箱庭を見ているかのようだ。
その後、針葉樹の森に道が続く。
地図を見ながら、ポイント2274付近を通過する。ここを東に行けば、於呂具羅山に行けるらしい。
但し、石楠花のヤブだという。
分岐から1時間、避難小屋跡を通過する。
2008年に老朽化により、今の場所に建替えられたそうだ。
そのすぐ先で小沢を渡る。ここが水場だ。
この小沢の先にも、沢があって、そこも水が流れている。
2つ目の沢の方が、水は汲みやすい。
水場から15分程で、白い建物が見えた。
15時15分、念仏平避難小屋に到着。
小屋の前は、テントも張れる広場もある。
白い外壁で、内部は無垢の板張り、とてもきれいだ。
広さは1階が8畳、2階が6畳ほどで、15人前後は寝泊まりできそうだ。
ノートがあって、利用者は少ないようだが、皆さん、感謝の言葉が書き添えられていた。
今夜は、アルファー米の山菜おこわと、マカロニスパゲティ、ニンニク醤油味。
気温が低く、食べているうちに冷めてしまった。次回は、スープパスタにしよう。
小屋の中は外よりはましなのだろうが、それでもテーブルにこぼれた水が氷るほどだった。
備え付けの毛布を敷布団にして寝ることにする。
夜中、トイレに起きた。外は雪明りで、ライトがいらないくらいだった。
ちなみに、トイレはないので、大キジの時は小屋に備え付けのスコップを使う。
11月24日(金)
翌朝、4時に起床。いつもの袋麺の天そば。朝はこれが良い。
プラティパスの水筒の水が半分氷っていた。
それは予測していたので、朝食用の水は、夜のうちに計ってコッフェルに入れておいた。
避難小屋を出ると雪がちらついている。風の音も大きい。
「てんきとくらす」の予報通りだ。
まだ暗いので、ライトを付け、6時に出発する。
クリスマスツリーのように綿帽子をかぶったモミやシラビソの間を縫うように登っていく。
ポイント2326の東側をトラバースして、標高2300メートルからは下りになる。
出発して30分、朝日に周囲がオレンジ色に染まる。
実はデジカメのバッテリーが切れて、この後の写真はスマホで撮った。
スマホの電池を温存するために、写真の枚数も少ない。
よってオレンジ色に輝く景色も撮れていない。
樹々は霧氷に覆われ、まるで白いサンゴ礁のようだ。
それにしても風が強い。
やせ尾根が続く。
45分程して登りに変わる。
6時59分、根名草山 2329.7mの山頂に着いた。
東側は開けているが、ガスで真っ白。
そのせいか、墨絵のような景色だ。
山頂の様子
山名板
風が強く、山頂は5分ほどで辞する。
ホワイトアウトなので、コンパスで確認して下る。
15分程でコルに着き、この先はトラバース道が続く。
ガレ沢を何度か通過する。
白樺林がきれいだ。
標高が下がるにつれ、奥鬼怒湿原が見える。
いつか花の季節に行ってみたいところだ。
1時間ほどでトラバース道が終わり尾根道に変わる。
それでも風は強い。
8時28分、手白沢温泉への分岐に着いた。
ここから、九十九折りの道を標高500メートル降りる。
山頂から約2時間20分、9時20分に日光澤温泉に着いた。
手前の温泉神社で、下山のお礼参り。
日光澤温泉は、山小屋風だ。
日光沢温泉の看板犬、おそらくチャング(おばあちゃん犬だと思う)のお出迎え。
ここで日帰り入浴をさせてもらう。500円
建物右手に降りると一つ目の露天風呂がある。
脱衣所は、簡単な建物。そして混浴のようだ。
お湯は無色透明。冷え切った手足に心地良い。
その下には二つ目、硫黄泉の露天風呂。色がきれいだ。
1時間も堪能してしまった。
次は、加仁湯へ向かう。
林道を15分ほど行くと着く。
加仁湯でも日帰り入浴をさせてもらう。800円
こちらは、団体客向けの感じがする。
ロビーには売店があり軽食ができる。
廊下を地下に下り、風呂に向かうが、行ったその日は汚水槽の汲み取りの中で、とにかく臭かった。
肝心なお風呂は、硫黄泉と透明な内風呂の二つのみで、きき湯とカモシカの湯はお休みだった。
3軒目の八丁の湯へ向かうが、林道を間違え、送迎バスが走る林道を進んでしまい20分ロスする。
八丁の湯は、残念ながら休館日だった。
入口には「日本秘湯を守る会」の看板が掲げてあった。
次回はここに泊まって、温泉を楽しみたい。
八丁の湯を過ぎると道は狭い砂利道に変わる。
鬼怒川を右手に見ながら、バス停まで1時間半ほど歩く。
途中、崩壊した崖の下を通過したり、猿の見送りを受けたりした。
八丁の湯から約50分、吊橋を2つ渡る。
吊橋から5分後、崖の下を通過する。
バス停の少し前で、一旦、尾根を超える。
最後に来て、この登りは想定外、少し辛かった。
13時45分、女夫渕のバス停に着いた。
時刻表をみて焦った。次のバスは2時間後だ。
仕方なく休憩所でお昼を食べ時間をつぶす。
(広さは充分だが、自販機1台しかない)
しばらくすると、バキュームカーが通過した。
加仁湯の清掃が終わったのだろう。
バスを待っても仕方がない。やはりヒッチハイクしかないかと、腰を上げる。
駐車場の車の脇でお昼を食べている子供連れの若夫婦に声を掛ける。
そのご家族は、日光沢温泉で会った宿泊客だった。
バスの時間まで2時間もあり、ヒッチハイクさせてもらいたいとお願いする。
ご主人は脱サラし、太田市のオーダー家具会社に務める職人とのこと。
毎年、日光澤温泉に泊りに来ている常連さんだそうだ。
良いご夫婦、ご家族でした。
鬼怒川温泉駅まで送っていただき、そこでお別れした。
その節は、ありがとうございました。
お子さん元気ですか。
【編集後記】
勝手に命名した「温泉ヶ岳の南東尾根」は、静かなバリ路で好きな尾根だ。
そこから、念願の念仏平避難小屋に泊まれて、根名草山にも登れ、
さらには奥鬼怒温泉郷の温泉まで楽しめた。
最高な登山計画だったと自己満足。
但し、カメラとスマホのバッテリーは課題が残った。
( ^^) _旦~~