男鹿高原駅北西尾根
バリエーションコース
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アクセス・コースタイム
2022年3月13日(日) 晴れ
電車:京成高砂駅[4:55発]-男鹿高原駅[8:47着]
京成線189円+株主優待券700円+野岩鉄道1000円
徒歩:男鹿高原駅[8:53出]-ポイント928[9:50着]-
-ポント1082の下のコル[10:35着]-ポイント1082[11:07着/11:22出]-
-ポイント1173.9の県界尾根[12:40着/12:45出]-
-県界尾根から下る[13:20着]-尾根の末端[14:50着]-
-男鹿高原駅[15:15着]
電車:男鹿高原駅[16:06発]-高砂駅[20:23着]
野岩鉄道1000円+株主優待券700円+京成線189円
【はじめに】
日帰りで行けて、雪がしっかり積もっていて、スノーシューも楽しめると言えは、やはり奥日光か三依だと考え地図を広げる。特に参考にするのは、ヤマレコの地図検索だ。
そこで見つけたのが、男鹿高原駅の北西に延びる尾根だ。
駅から林道を北上し、尾根に取付いたら福島県との県界の尾根まで行って、別の尾根で下る計画だ。
雪の季節は、スノーシューだとあっという間でも、アイゼン歩行となれば夏場の倍近く時間が掛る。
そんなことを考えながら、フレキシブルなコースを計画する。
そして今回も、スノーシュー2号とワカン、6本歯のアイゼンを担いで出発する。
3月13日(日)
いつもの始発に乗って、途中で東武線に乗り換える。
東武線の改札口で、その日に限って時刻表を手に取った。
そこには、「3月12日ダイヤ改正」の赤い文字。
「おお、昨日ではないか。」と思いながら中を見る。
以前と変わりなく野岩鉄道にタイミングよく接続している。
もしやと思い、男鹿高原駅発の上り列車を確認する。
「あれ、本数が少ない。」「17時台が失くなっている。」
ということは、16時6分に乗れないと、次は19時49分。それも最終だ。
16時に駅まで戻らないと、この何にもない無人駅で3時間半も待つことになる。
下山の読みがシビアになった。
電車に揺られること2時間、やっと日光の連山が見えてきた。
男体山、女峰山、2000メートル級の山にはしっかりと雪が付いていた。
野岩鉄道に入ると、前回の山行と景色の変化に気付く。
線路まで積もっていた雪が、今回は見えず茶色い枕木が見える。
トンネルを抜けても、山の斜面に雪は少ない。
低山の雪解けはこうも早いのか。
8時48分、男鹿高原駅に到着する。
誰も降りない無人駅。一人電車を見送る。
念のため待合室の時刻表を確認する。
上り下り、ともに5本しか停車しない。
8時53分、駅を出発する。
林道を北へ進むと、すぐにゲートがある。その先のY字路を左に曲がり橋を渡る。
そこにはくっきりとしたワカンの足跡があった。
早朝、付けたものと思われるが、その形から古いタイプのワカンだと察した。
「猟師が入っている。」
橋を渡ったらすぐ右の尾根に取付く。そこでスノーシュー2号を装着する。
気分は最高!
ただ雪は半分腐っていて、斜面も急なのでスノーシュー向きではなかった。
それでも鳥の声がして、自然のままの松やクヌギの林の中、
薄日も差して、適なスノーシューハイクとなる。
尾根に取付き30分、ポイント928に着いた。
さらに30分頑張り、ポイント1082の手前のピークに着く。
ここから急な登りで、スノーシューでは無理かと思ったが、そのまま登った。
ポイント1082の少し前、ここから比留ヶ岳が良く見えた。
さらに尾根を進む途中、県界尾根の向こうに、荒海山の山頂がその真っ白な姿を現わした。
木の枝ではっきりと写せなかったが、三角錐のきれいな山頂だ。
11時22分、ポイント1082を通過する。
時々雪庇が見られ、積雪の深さ、風の強さが分る。
ゆるやかな上り尾根が続く。スノーシューにはうってつけの尾根だ。
葉を落とした樹々の間から見える山を愛でながら歩く雪山。
トレースの無い雪山をたった一人で独占しているこの気分、最高だ。
12時40分、県界尾根のポイント1173.9に着く。
広く、なだらかな山頂だ。
樹が多く、眺望は良くないが、枝の間から見える白い稜線の七ッヶ岳がきれいだ。
そして北東に男鹿岳、手前に貝鳴山も見える。
右手前の牧場が、スキー場のように白い。
風が出てきたので、すぐに下山する。
県界尾根を進む。もちろん、コンパスと地図でルートを確認する。
急な斜面だが、スノーシューのまま下る。
30分ほどして傾斜が緩む。
13時20分、野岩鉄道のトンネルより少し手前尾根の分岐に着く。
ここから、トンネルに沿って南東尾根に向かう。
途中、先月、登った向山が、樹木の間から透かして見える。
線路から見るのと違って、山の形が良い。
徐々の標高を下げる。樹木が多い、少し狭い尾根だ。
下りは、ルートを間違う可能性が高いので、地図を見ながら慎重に進む。
1時間弱、14時14分、ポイント910に着く。
途中から、シカのトレースが増える。
よっぽど何頭も通過したとみえ、雪にシカの汚れが黄色くついている。
通過する時は、そこを避けて通った。
尾根は何度も折れ曲がり、小さなアップダウンが出てきた。
沢の音が聞こえるようになり、尾根の末端に近付いたことが分る。
その時だった、獣の臭いが鼻をかすめた。
思わず笛を吹き、ここに人間がいることをアピールする。
辺りは沢の音しかしない。
少し進むと右下の斜面に黒いものが見えた。
一瞬焦るも、それが獣の死骸とわかりホッとする。
スプレーで「A」と書かれていたので、猟師が仕留めたものだろうか。
尾根はますます狭くなり、沢が近付いてくる。
林道は、沢の向こうなので、どこで沢を超えるか、尾根の上から探す。
結局、末端まで下り、狭い所を石づたいに飛び越えた。
沢から登ると林道建設の看板があった。
「越路林道」「昭和34年度起工」「今市営林署」
”越路林道”良い名前だ。
林道でスノーシューを再装着して駅まで15分ほど進む。
15時15分m男鹿高原駅に戻ってくる。
誰もいない無人駅で16時8分の列車を一人待つ。
その間に、駅に備え付けのノートに目を通す。一言、「列車の本数が減り、残念だ」と書き残す。
【編集後記】
静かな、それは静かな尾根だった。
『山頂を極める』ではなく、雪山をスノーシューで『ただ歩く』、それだけで充分だ。
( ^^) _旦~~