山行記録 2022年  No.8
6月1日(水) 日帰り山行

男鹿山魂 田代山から北尾根 バリエーションコース

アクセス・コースタイム
 
6/1(水)
電車:京成高砂駅[4:55発]-上三依塩原温泉口駅[8:40着]
    京成線189円+株主優待券700円+野岩鉄道840円
 
徒歩:上三依塩原温泉口駅[8:45出]-尾根取付き[8:55着]-
   -田代山[10:15着/10:30出]-三角点1080[12:21着/12:40出]-
   -ポイント1028[13:38着]-ポイント1082[13:57着]-
   -林道[14:33着]-前回林道に出た所[14:40着]-
   -男鹿温泉駅[14:50着]
 
電車:男鹿温泉駅[16:06発]-高砂駅[20:15着]
    野岩鉄道1000円+株主優待券700円
 

 
先月(2022年5月11日)2径目の転職をした。
今度の会社の休みは、水曜と日曜だ。
平日の水曜日に、山に行きやすい。
 
転職すれば覚えることが沢山ある。しかし、年齢とともに頭に入らなくなる。連日、ヘトヘトだった。
ならば気分一新、山でリフレッシュすることにした。
 
ちなみに当日は平日。平日でなくてもこの山域なら、まず人に会うことはない。
地図とコンパスをたよりに始めて歩く尾根を、路間違いしないようにと神経を集中する。
山に行く目的は、気持ちの切り替え。仕事も世間のごたごたも忘れて、山に集中する。
それなのに、山頂に着いたとたん、会社の携帯電話が鳴って仕事モードに引き戻されてしまった。
しかたない、今日は平日、相手も、自分が山の中にいるなんて、思ってみないだろうから。
 
携帯電話が繋がることは、ある意味ありがたい。もしもの時は、こちらからSOSを発信することもできるから。
やはり、気持ちの切り替え力が重要だ。
 
男鹿山魂の田代山は、2020年11月に登っている。
今回は、山頂から北に縦走し、今年の冬、福島県境を歩いた尾根と繋げるコースを計画した。
 
季節は初夏。東武線の車窓から眺める田んぼは田植えも終わり、水面に雲を写している。
日光の山々も夏模様。高原山も芝草山も明るい緑色に衣替えしている。
 
8時40分、4時間掛かって上三依塩原温泉駅に着く。

 
駅を出て、左手のビニールハウスの脇の道を北に進む。
次にログハウスが見えると道は西に向かい、野岩鉄道を超えると取付きに到着する。




登山口に路はない。杉林に入り込み登りなると、そこは新緑の世界、緑鮮やかな尾根が始まる。
ブナの新緑、鳥の声に加え春ゼミの鳴き声が迎えてくれた。

 
急な斜面を登り、10メートルほどの露岩の間を抜けると一旦平坦になる。

 
そこには、なんの印だか分からないが、「山」と彫られた杭がある。この先、この杭が何か所もある。
この杭以外に、「多角図根」の杭もある。

 

 
尾根を上がると、徐々に狭くなり、踏跡が見えるようになる。
路は薄いが、ちゃんとついている。
総じて今回のコースは、眺望がない。時々、隣の尾根が見える。それだけでも、景色を楽しめる。





 

 
足元には、花の終わったイワウチワが、足の踏み場のないくらいに生い茂っている。
そして、赤い花が目に留まった。
ツツジの季節は終わったと思っていたら、ヤマツツジの朱色だ。
この花で、今年のツツジも終了だ。

 
1時間ほどしたとき、尾根に横たわるブナの大木があった。
かなり昔、台風かなにか強風で倒されても生き延びて、その後も枝を空に向け伸ばし、他のブナと同じように年輪を刻んでいる。
自然の生命力をまじかに感じる。

 

 
1時間半ほどで山頂直下の急登に着く。
見上げると、樹々の上には青空が見える。

 
尾根に上がると左10メートル先に山頂がある。
山頂は、尾根の途中にあり、山頂らしくない山頂だ。

 
10時13分、田代山 1099.9メートルの山頂に到着する。

 
山頂には、他でも見られる「栃木の山紀行」と「日光山紀行」の山名板があった。
三等三角点の石標もある。
眺望は、良くない。冬、樹々の葉が落ちれば、梢越しに見られるだろう。

 
山頂を辞して、主尾根を北上する。
路はちゃんとした踏跡がある。歩くのは鹿だけだが。
この尾根は、地図読みの楽しみを半減させる赤テープはない。
ブナやツツジ、時々大きなマツやモミ、苔むした石の路が続く。



 
この先、北に進む縦走路、1つ目の小ピークからは、正面に七ヶ岳が。北西には荒海山が見える。
縦走路の標高が低いため、どちらも頭しか見えなかったが、それでも登ったことのある山頂が見えるのは嬉しい。

 

 
尾根は、総じてやせ尾根で左右が切れ落ちている。
真っすぐ伸びる尾根ではなく、いくつも屈曲点を持っている。
夏に向け葉が生い茂り、尾根全体で眺望はなく、次のピークも見えない。
どこを歩いていても歩行距離と地形からでしか自分の位置を確認できない。
だから地図とコンパスで自分のいる位置を把握しながらでないと進めない。
自分がいる地形だけが判断基準だ。

 

 
標高1190メートルの小ピークは、この尾根の大きな屈曲点だ。
ここも眺望はない。(11時26分着)

 

 

 

 
1080メートルのポイントがある小ピークに向かい急登を上がっている時、上から目線を感じた。
いつもクマやイノシシへの警戒心を持ちながら歩いているので、その時も、獣の可能性を疑った。
見上げた先に、微動だにせずこちらを凝視しているカモシカがいた。
クマでなかったことに一安心する。
カモシカは、今まで何度か遇ったことがあるが、シカのように人が気付く前に逃げたりしない。
先に人間を見つけて、その行動を見守る。一定の距離より付かづくと、プイっと顔を向けてどこかに行ってしまう。その態度が、他の動物と違うところだ。
今回も、距離が離れているのか、笛を吹いても逃げない。
仕方がないので、こちらから距離を詰める。
30メートルくらいまで近付いた時、上の尾根へと音もたてず行ってしまった。

 

 

 

 
12時21分、1080のポイントに到着。
三等三角点の石標がある。
もう半分以上歩いた。ここまで来ると、16時の電車に余裕で間に合うだろう。

 

 
この尾根は春ゼミがが多かった。
耳鳴りのように「ジコー・ジコー」と繰り返す。
水がある付近ではカジカガエルの鳴き声もして、セミとの鳴き声と一緒に大合唱だ。
虫はセミだけではない。人のまわりをうざくまとわりつく虫も多い。
尾根を歩いている時はいいが、小ピークのように開かれたところにいると、どこからともなく集まってくる。まだ、東北地方のメジロアブよりはましだが。
 
下りになるとアスナロのヤブになった。
東北に多く分布するヒノキの一種で、枝は粘り強く、簡単には折れない。
だから、体重を掛けても折れないので、安心して乗ることができる。
踏みつけては乗り越える。アスナロは漕いでは抜けられない。

 

 
次の小ピークの登りになると、アスナロのヤブは消えるが、小ピークを超えて下りになるとまたアスナロのヤブになる。
 
1080のポイントと次の1028のポイントのちょうど中間あたりに尾根の屈曲点があったが、ここが今日一番のビューポイントだった。
ビューと言っても、見えたのは次の1082のポイント手前の尾根が見えただけ。
それでもこの景色が気持ちが良い。

 
ビューポイントを通過すると、またアスナロのヤブが現れれる。
この程度のヤブは、あまり苦にならない。

 
同じような尾根を歩く。





 
そして最後のピーク、1082のポイントには14時少し前に到着した。(13時57分)
広いピークだが、樹々が多く、もちろんここも眺望はない。

 

 
さて、ここからは駅に向かって下るのだが、尾根が広く、ルートファインディングが難しそうだ。
ヤマレコの記録では、東の尾根を100メートルほど下っから北東の急斜面を進み、なだらかな尾根を下って、林道に下りていた。
地図をコンパスを見ながら、慎重に下る。

 
100メートルと思っていたら、それ以上下ってしまった。
尾根を離れるのは少し不安だが、自分の地図読みを信じて、北東の急斜面を下る。

 
地図のとおり広い尾根、コンパスだけが頼りだ。
平坦になる。地図の等高線のとおりの地形だった。自分の位置がちゃんと把握できて嬉しくなる。

 
ほぼ平坦になる。そこには小さな沢が流れていた。この沢に沿って行けば林道に出ることは間違いない。

 
14時33分、越路林道に到着した。

 
この林道は、今年3月、男鹿高原駅北西尾根を歩いた際、下ってきて合流した林道だ。
前回、林道に着いた場所より、少し上流だった。

 
林道をゆっくり歩くこと15分、男鹿高原駅に到着した。(14時50分)

 
無人駅のホームにある待合室で16時の電車を待つ。
その間、備え付けの旅ノートを広げる。
ノートは新しくなって、また誰も書き込みをしていなかった。
ならばと、冒頭を乱筆にて汚させせてもらった。
 
 
【編集後記】
 
山は自分のとってお守りだと思う。
もとに自分に戻すお守り。
 
 ( ^^) _旦~~  
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