山行記録 2022年  No.11
9月28日(水) 日帰り山行

尾頭峠近くのバリ尾根 バリエーションコース

アクセス・コースタイム
 
9/28(水)
電車:京成高砂駅[4:55発]-上三依塩原温泉口駅[8:40着]
    京成線189円+株主優待券700円+野岩鉄道840円
 
徒歩:上三依塩原温泉口駅[8:45出]-上三依水生植物園[9:06着]-
   -尾根末端[9:25着]-四等三角点821.2[9:45着]-
   -岩屑の肩[10:39着]-東電巡回路合流[10:55着]-
   -ポイント1241[11:14着]-鉄塔[11:30着/11:40出]-
   -ポイント1249[11:51着]-1270m小ピーク[12:08着]-
   -1220m小ピーク[12:42着]-尾頭峠[12:55着]-
   -鉄塔[12:59着]-ポイント1236[13:12着]-
   -杣道横断[13:28着]-東電巡視路に合流[13:37着]-
   -尾頭トンネル入口[14:03着(栗拾い)14:40出]-
   -上三依塩原温泉口駅[15:15着]
 
電車:上三依塩原温泉口駅[15:27発]-高砂駅[19:48着]
    野岩鉄道840円+株主優待券700円
 
 
盆休みは、あっと言う間に通り過ぎ、いつしか季節は秋。
山から遠ざかってしまい、自分に気合を入れるべく、バリ尾根に向かった。
 
この尾根は、以前から目を付けていたバリエーションルートだ。
上三依水生植物園から取付き、鉄塔を経由して三依山と尾頭峠の間の主尾根につなげる。
途中、鉄塔があるので、巡視路も絡んでくるかもしれない。
 
それより、もっとすばらしい物に出合えた。
それは山栗だ。
山の中では地図読みと、獣が出合わないように集中しているから栗を見つけてもそれほど興味はなかった。
しかし下山したら栗拾いをしないてはない。
時間が許す限り取っていたらサコッシュが一杯になり、別の巾着に移したくらいだ。
家に帰り重さを計ったら、1.5キロもあった。
翌日から3日間、夕飯の後は、この山栗を味わった。
小さいので鬼皮を向くのは手間だが、ほのかに甘くて、ほっこりする味だった。
 
 
上三依塩原温泉口駅に一人降りたつ。
今日は平日、紅葉にはまだ早い。
この時季、この駅を利用するのひとは少ない。

 
改札口には事務所があって、週末の土日には、女性の事務員さんがきっぷを受取ってくれたが今日はいない。
今年7月から、無人にしたそうだ。

 

 
駅前には、温泉郷を往復する送迎バスのために広い駐車場が用意されているが、今朝は1台もいない。
満開のコスモスだけが華やいでいた。

 
GPSをセットしたらすぐに出発する。
 
国道に出て、丁字路から水生植物園に向かう林道に入る。

 
杉林の暗い道。途中、尾頭峠への一里塚がある。
そこに立てられた県の教育委員会の案内板によると大変貴重なものだそうだ。

 
その横には、石の仏像がいくつも並んでいる。
「上三依野仏群」と言う。昔、旅人が、ここで旅の安全を祈ったのだろうか。

 

 

 
さらに進み、蘭の栽培のビニールハウスが見えると水生植物園は近い。

 
園の手前に沢があって、上流に滝が見える。
県が設置した案内板によると滝が7段あるため「七滝」と言うそうだ。

 

 
駅から15分、上三依水生植物園の到着する。
定休日は水曜日、入園料は大人200円だそうだ。
ちなみに今日は水曜日。

 
初夏の花のころに来てみたい。
 
園の入口の左手、尾頭沢沿いに林道が続いている。

 
さっきの七滝の上部を通過すると林道の終点となる。

 

 
するとまた、県の案内板がある。
石造道祖神のことが書かれている。
ここは上三依から尾頭峠を超え塩原への最短の街道だった。
道祖神は、娘さんが胸に大きな男根を抱えている、珍しい道祖神らしい。
露岩の端に、露岩と同じように苔を生やした道祖神は、案内板がなかったら見過ごしてしまいそうだ。

 

 

 
その先は、沢の左岸を進む。石の上を行けば水に浸かることはない。
途中、栗のいがが沢山落ちていた。よく見ると茶色に光る山栗が見えた。
昨年、荒海山に登った際にも山栗を拾って、ビバーク地で茹でて食べたおぼえがある。
2つ3つ拾ってサコッシュに入れる。

 

 
100メートルほど沢を遡上すると目的の尾根の末端が見えてくる。

 
沢から斜面に向かって獣路がついている。
ナラなどの中木が多い急な斜面を木に掴まりながら100メートルほど登る。

 

 
気温が下がってきたとはいえ、汗が出るので鉢巻をする。
 
20分で斜面はゆるみ、821.5メートルの四等三角点に着いた。
そこには石標と銅板があった。

 

 

 
尾根進むと鹿の角が落ちていた。
ヤマレコの記事で、誰かが鹿の角を拾っていたが、自分は写真だけ撮った。

 
この先、ゆるやかな登りが続く。足元には栗のいがが沢山落ちている。
ここでも歩きながら、虫が食っていない新しめのいがから山栗を拾う。
栗のいがは、この先、岩屑の肩の付近までづうと続いていた。

 

 

 

 
標高900メートルを過ぎると傾斜がきつくなる。
その斜面にはさすがの栗のいがも転がっていなかった。

 

 

 
標高1100メートルを超えると、左上に水平になった尾根が(肩)が見える。
その肩の左面には、5メートルほど岩場の斜面が見える。
ここまでくれば、急な登りはなくなり、後はゆるやかな尾根になる。

 
肩に着くと、山毛欅の梢越しに三依山のなだらかな山容が見える。
岩場は、近くで見ると大きな岩ではなく、岩屑を積み重ねたようになっている。

 
肩から先は、やせ尾根になる。
途中、木材を降ろすのに使ったと思われるワイヤーが残置されている。

 

 
周辺は、山毛欅が多い。
山毛欅の美尾根を進んでいくと、右下から道が合流してくる。
東電巡視路に合流した。右の尾根下のに鉄塔がある。

 
その先は、巡視路に沿って進む。
途中で巡視路はそれてしまい、笹原の尾根の進む。
踏跡は薄い獣路がついている。

 

 

 
尾根は緩やかになると同時になだらかな広い尾根に変わる。
そのぶんルートファインディングが必要となる。

 

 
ポイント1241に向かってなだらかな尾根を歩いている時だった、鹿とは違う獣の声が聞こえた。
あせって笛を吹く。思いっきり吹く。緊張が走る。なおも吹く。
今朝から一番気にしていたことが現実になり、頭の中は、獣の気配を感じ取ることに集中する。
耳を澄ましてもなにも聞こえない。心臓の鼓動だけが感じられる。
 
登山口から1時間50分、ポイント1241に到着する。
平で広い山毛欅の林。とても静かだ。展望はない。

 

 
さっき獣の声を聞いてからは、音に敏感になった。

 
ポイント1241からはゆるい下り。松や笹が多くなり、暗い感じの尾根に変わる。
その途中のことだ。熊の糞を見つけた。15センチほどの塊りだ。
色艶から、今朝のものではなさそうだ。
またまた緊張が走る。笛を思いっきり吹く。

 

 
15分ほどすると明るくなって、鉄塔の柱が見えた。
11時30分、鉄塔に到着する。
明るい草原が見えてホッとする。

 

 
鉄塔のコンクリート基礎に腰を下ろし昼飯にする。
 
鉄塔の先に巡視路が続いている。しかし、少しすると巡視路は北に曲がり、縦走路とは離れてしまう。
踏跡のない笹原を進む。

 

 

 

 
ほどなくポイント1249に到着する。ここも展望はない。
下りも笹原の尾根が続く。

 

 

 
鉄塔から40分、市界も近い1270メートルの小ピークに到着する。
ここを南に進めば三依山に続く。2年前の秋(2020年10月31日)に、ここを歩いた。
薄っすらと三依山と若見山、日留賀岳、そして北側には白倉山が見える。
ここには、地図には記載がないが、石標があった。

 

 

 
ここは眺望もなく広い尾根。
コンパスと地図で確認して尾頭峠への尾根を辿る。

 
尾根を進むと尾根の左下から巡視路が合流してきた。
しかし、尾根の西側の少し下にあるため、巡視路を歩かず、笹原の中、市界を忠実に辿る。

 

 

 
しばらくアップダウンの尾根が続く。
1つ目のコブに着くと東側開け、谷間に那須の温泉街、ホテル群が見えた。
その左手には若見山が。右(南)には高原山が見える。
快晴ではないが霞みもなく、その先の山もよく見える。
紅葉が始まったばかり。夏は、終わった。

 

 
峠の手前、1220メートルの小ピークを通過し少し下ると、市界は折れ曲がる。
こういう所はルートファインディングが難しい。

 
途中で白い骨があった。大きさから小鹿の足だろうか。真っ白できれいだった。

 
市界を少し反れながら、尾頭峠が見えてきた。
12時55分、切り裂いたような尾頭峠に到着する。1270メートルの小ピークから50分だった。

 
今回、峠から那須側をのぞいてみた。
広い旧会津西街道が続いている。おそらく尾頭トンネルの東の入り口側まで続いているだろう。

 

 
峠に戻り、石標(連隊長李王垠殿下御通過記念の石碑)の写真を撮ったら、また、市界に沿って進む。
急登を上がるとすぐに眺望が広がる。
ここから那須の温泉街を俯瞰できる。
手前が若見山、奥に見えるのは弥太郎山だろうか、林道が山頂近くまで九十九折りの登っているのが見える。

 
さらに鉄塔まで登ると、もっと見晴らしの良いところに着く。
ここからは高原山が一望だ。
左から、新湯(あらゆ)の富士山、前黒山、明神岳、その後ろに釈迦ヶ岳、右に鶏頂山が見える。
鶏頂山の西の斜面は、なだらかな裾野のようだ。手前には、スキー場のゲレンデが見える。
高原山をこの方角から見ることは少ない。なかなか良い眺めだ。

 

 
尾根はポイント1236に近付くとゆるやかになり、眺望はなくなる。
 
峠から15分、ポイント1236に到着する。
2020年10月31日に、1270メートルの小ピークからここまで歩いたことがある。
この先、尾頭トンネルの真上の尾根は初めてだ。

 

 
山毛欅や樫、足元には笹がしげる手入れが整った庭園のような尾根だ。
コンパスで方角を確認し進む。
トンネルまでの標高差400メートル、そこそこ長い。
さらにトンネルに近付くにつれ傾斜がきつくなる。

 
歩き始めはゆるやかな下り、途中、何度もコンパスで確認する。

 

 
15分ほど下ったところで杣道が山腹を横断している。
道幅は広いが少し荒れている。林業のための道だろう。
ヤマレコの記録では、この付近から東電巡視路に合流している登山者と、そのまま急斜面を下った登山者がいる。
考えた末、安全を優先に、斜面を左寄りに東電巡視路へ下る。

 
巡視路に合流し、残り半分を下る。

 

 
ポイント1236から下ること45分、沢の音が大きく聞こえるようになる。
沢の音とともに車の騒音も耳に入る。
樹々の間から、トンネル手間のチェーン装着場が見えたらゴールは近い。

 
取付きの手前は巡視路も崩れていて、一旦沢に下って、最後、トンネルの入口に出る。
14時、トンネル入口に到着する。

 

 
ホッと一息、チェーン装着場でストックやスパッツを仕舞う。
その時、足元に山栗を見つけた。
水生植物園からの登り尾根でもたくさん見つけたが、歩くことを優先して、さほど拾わなかった。
電車の時間まで少しある。ならばと、栗拾いを始める。
装着場の他に国道の脇にもたくさんあった。
通過する車は、なにをやっているかと思っただろう。
30分以上も栗を拾ったら巾着が一杯になった。
 
駅までの国道を歩きながらも、いがを見つけると足を止め栗を拾った。
 
栗を拾いながら、後ろをふり返ると、下ってきたトンネル真上の尾根が見える。
かなりの急斜面、無理をしなくて良かった。
 
15時15分、上三依那須塩原温泉口駅に到着する。
 
家に帰って巾着一杯の山栗の重さを計ったら1.5キロもあった。
一晩水に漬け、3日掛けて味わった。
拾う際に虫食いははじいたので、外れは少なかった。
小さいくて鬼皮を剥くのがめんどうだが、ほのかに甘くて食べ始めるとやめられない味だった。

 
 
【編集後記】
 
いくら注意しても、あなた方(獣)がいつどこにいるかは分からない。
だから熊鈴を持ち歩き、熊スプレーを腰にぶら下げている。
だから、人間がいることをあなた方(獣)が先に察知しておくれ。
ばったり遇わないようにしておくれ。
ガイドブックに載っている路を歩かない”変わり者”からのお願いだ。
 
 ( ^^) _旦~~  
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