山行記録 2022年  No.15
12月21日(水)~22(木) テント1泊山行

日留賀岳敗退 一般コース

アクセス・コースタイム
 
12/21(水)
電車:京成高砂駅[4:55発]-上三依塩原温泉口駅[8:50着]
    京成線189円+株主優待券700円+野岩鉄道840円
 
バス:上三依塩原温泉口駅[9:30発]-元湯温泉口バス停[9:47着]
    ゆーばす200円(
 
徒歩:元湯温泉口バス停[9:50出]-小山さんの家[10:22着/10:30出]-
   -尾根に出る[10:49着]-記念碑[11:00着]-
   -鉄塔[11:22着]-林道終点[11:55着(昼食)12:08出]-
   -コル[12:23着]-尾根に出る[13:15着]-
   -ポイント15140[14:43着]-鳥居[14:46着/15:08出]-
   -最終到達点[15:15着](撤退決定)-
   -幕営地[15:40着](テント泊)
 
12/22(木)
徒歩:幕営地[8:20出]-尾根折り返し[8:45着]-
   -コル[9:05着]-林道終点[9:19着]-
   -鉄塔[9:45着]-記念碑[9:56着]-
   -小山さんの家[10:07着]-国道[10:41着]-
   -塩原温泉 華の湯[10:45着](昼食・日帰り温泉700円)
 
バス:塚原バス停[13:01発]-上三依塩原温泉口駅[13:15着]
    ゆーばす200円
 
電車:上三依塩原温泉口駅[13:31発]-京成高砂駅[18:28着]
    野岩鉄道840円+株主優待券700円+京成線189円
 

 
東武鉄道の株主優待券が最後2枚となった。
年末までに使わないと、期限切れで紙くずになってしまう。
 
そこで選んだ山は日留賀岳。
日留賀岳は、男鹿岳の前衛峰、通常なら、登山口から日帰りできる山だ。
しかし、それは朝早く登山口を出発できる場合の話し。
東京から始発の電車とバスを乗り継いでも、登山口に着くのは10時半になってしまう。
そこで、始めから途中テント泊で計画することにし、振替休日を使って連休を取った。
 
日留賀岳のヤマレコを見ると12月に登った記録がない。
若干不安はあるが、無理をせず実行することにした。
 
そしてもうひとつの楽しみが、塩原温泉 華の湯で日帰り温泉につかること。
別に有名でも何でもないが、2023年3月で閉館と聞いたら、行ってみたくなった。
 
結果、山頂は踏めなかったが、今シーズン初めての雪山を楽しめ、温泉を楽しめ、満足いく山行だった。
日留賀岳の山頂は、次回のお楽しみとして取っておくことにした。
 
 
12月21日(水) 1日目
 
東武鉄道 栃木駅で日光行きに乗り換える。
いつもなら日光の山々を眺めるのだが、今日はなぜか筑波山方面を眺めていた。
雲が多いなあと思っていると、南側だけが雲が切れ、朝日に輝いている。
するとそこに、名峰富士が見えたのだ。
栃木から富士山が見えるのは、決しておかしくはないが、今まで気付かなかったことに驚いた。
今まで何度もこの電車に乗っていながら、新発見だ。
 
家中駅では、日光連山が、雪を朝日に照らされオレンジ色に輝いていた。
しかしそれも一瞬のうち、ひと駅行くうちに無彩色の冷たい雪山に戻っていた。

 
雪の季節だから分ることがある。
安蘇山魂の向こう側に足利の山稜がある。
中でも白根山は分かりやすいが、庚申山と皇海山は分かり難かった。
それが雪の季節になると、安蘇山魂の向こうに白い頂が見えるため、確認できる。
 
 
8時50分、上三依塩原温泉口駅に着く。
降車した乗客は自分一人。

 
階段を下り、無人の改札の前まで来る。なぜか今朝はシャッターが閉まっている。
仕方なく右手の門扉を穴から手を入れて鍵を外し外に出ることができた。
後で聞いた話だが、依頼されている人が寝坊したのか、開けに来なかったそうだ。

 
外に出られたが、ロービーにも入れず、寒い外のベンチでバスを待つことになる。
さらに、ゆーバスが到着するも、出発まで乗車させられないとまで言われる始末。
風がないのがせめてもの救いだった。
 
定刻にバスは出発する。
道路の両脇、山の斜面、樹の枝には、昨夜降った雪が積もっている。
尾頭トンネル手前のスノーシェッドに近付くと、そこに国交省が設置した温度計がある。
気温はマイナス1度だった。
この時期なら普通なのだろう。
 
9時47分、湯元温泉口バス停で降り、くねった舗装道を歩き始める。
日留賀岳から流れるウトウ沢川を渡り、畑の脇の道までくると、正面に比津羅山(ひづらやま)が見える。
その比津羅山の右手前にある鉄塔を今回通過する。

 
10時22分、登山口の小山さんの家に着く。
外で仕事をしていたご主人に挨拶し、計画書を渡す。
芳名帳を書いて欲しいと言われ、前の人にならって名前と住所を書き込む。
ヤマレコでみた手拭いが欲しくて、買い求める。(500円)
すると、小山さんから衝撃的な話を聞かされる。
それは11月下旬のこと。
横川(男鹿岳の南西の部落)から日留賀岳に登った仙台の人が、まだ見つかっていないらしい。
横川から一般ルートはない。
バリエーションルートになるが、11月末なら、まだ雪は降っていないはず。
路迷いか、雨で濡れて低体温症になったか。見つかることを祈りたい。
 
家の右手、鳥居をくぐり小さい祠で登山の無事を祈る。
杉林の中の道は、はっきりしている。

 
少しすると尾根に乗る。標高は750メートルだ。
 
尾根を進むと標高800メートル超えたあたりに記念碑がある。
「日留賀獄神社改築寄進」と彫られている。

 

 
この先は檜の植林の林をジグザグに登る。
振り向くと、高原山がきれいに眺められる。

 
途中から、道に雪が積もり始める。
 
登山口から約50分、鉄塔の着く。
積雪は3、4センチ程度ある。

 
鉄塔の先は、比津羅山の東に造られた林道を歩く。
林道も積雪は3、4センチ。車が走った跡がある。
2本ある。おそらく、同じ車の往復だろう。
暗く静かな林道、背中が暑くなってきた。

 

 
30分かけ林道終点に到着する。
回転広場になっていて、看板が2つあるだけ。他に目立ったものはない。
車はここで引き返している。
ここでおにぎりで少し腹を満たす。

 
北を見ると、樹々の合間から日留賀岳を見ることができる。
樹が雪を被っているのが、下から見て分かる。
そのせいか、山頂が近くに見えた。この時までは。

 
地図とコンパスでルートを確認する。
その方向には、道らしいわだちと赤テープを見つけられる。

 
楢や山毛欅の林の中の道。比津羅山の北側を巻くように続いている。
積雪は少し増え4センチ程度。トレースはない。
雲が多くなってきた。風も少し出てきた。

 

 
新雪にトレースを刻みながら、15分ほどコルまで歩く。
そこは少し開けた感じで薄日が差している。
この先は、落葉松の植林地になる。
積雪は10センチ程度ある。

 
ここからいよいよ登りが始まる。気を引き締める。
 
登り始めは緩やかだ。
一旦、北西に進み、途中から北向きになり九十九折りに進む。

 
標高1170メートル付近で東に方向を変え、トラバース気味に進む。

 
しばらくして尾根に出る。
ここで一本取る。コルから50分掛かった。
この付近の積雪は10センチ。アイゼンがいるほどではない。

 
この先は、尾根に沿って進む。
雪で見えないが石ころが多い道。傾斜もきつく我慢の登りだ。

 
このころから背中の荷が重く感じるようになり、ペースが落ちる。
空は曇り、風が吹き始める。山毛欅の林が続く。
 
1時間ほどして尾根の傾斜はゆるみ平坦なところもある。
山毛欅の林はいつしか樅などの針葉樹の林に変わる。
道も尾根の真上ではなく、東面についている。

 

 

 
14時45分頃、尾根を登りきる。
ポイント1514の小ピークは東を巻いて、平坦な尾根に出る。
(地図の破線とは、少し違う)

 
稜線に出たので、風が強い。積雪も20、30センチある。
この先は平坦で広い道になり、少し先に鳥居がある。
鳥居の手前で、登山の無事を祈る。

 
鳥居をくぐると吹き溜まりなのか、積雪はぐっと増え40、50センチになる。
そこでワカンを装着する。
風が強く、ザックを降ろすと体が冷える。

 
出発前に、ワカンバンドをラチェット式に交換した。
そのため、装着が簡単になった。
 
ワカンを付け、吹き溜まりに突入する。
新雪だから、ワカンをつけてもひざ下ぐらいまで潜る。
風は相変わらず強く、フードをバタつかせる。

 

 
正面には日留賀岳。さあどうする・・・。
 
考えた挙句、残念だがここで撤退を決める。

 
そうとなるとテントをどこに張るか悩む。
この付近は平坦でテントも張りやすい。
明日、天候次第で再アタックも考えられる。
しかし、風が強い。
そこで、ポイント1514の小ピークより下で探すことにする。
 
平坦のところまで戻るつもりで針葉樹の林を下る。
途中、右(西)を見ると道から5メートル上、尾根の横に平坦な場所を見つけた。
ここは風も弱まっている。
笹が多いが、整地すれば大丈夫そうだ。
幕営地をここに決め、ザックを降ろす。
居住性を左右するので、整地を入念に行う。

 
テントを張ると、まずはお茶を沸かす。
暖かい飲み物は、生気を蘇られる。
下から水3リットルを担いできたので、雪から水を作るより手早い。
 
気持ちが落ち着いたところで、明日の計画を練り直す。
天候が良ければ再チャレンジ、悪ければ下山。
 
ラジオを付け、食事の準備をする。
しかし電池が弱いせいか、ラジオが上手く受信できない。
寒いから電池の消耗が早いようだ。
 
今夜は、ヨーカドーブランドの「マッサマンカレー」。
これはココナッツミルクの味で、安いがおいしい。

 
腹を満たしたら、あとは寝るだけ。
EPIコンロを消すと、音がまったくしなくなる。
下界では味わえない静寂な時間が始まる。
 
明日の天気が気になる。
出発前の天気予報では、2日目(明日)は下り坂、朝方が雨の予報だった。
はたしてその予報は当たるのか。
 
出発前に悩んだシュラフ。
結局、48リットルのザックでは足りないと判断し、60リットルに変えたので、冬用を持ってきた。
それから、使い捨てカイロを1つ持ってきた。
最初、これをGPSに使っているスマホを温めるために使っていた。
寝る時になって、スマホは懐にしまったので、カイロをどこに使うか考えた。
試しに足元に入れてみた。
入れたときは、それほど暖かくはなかった。
しかし、夜中に目を冷ました時、これがすごく暖かったことに気付く。
大正解だ。
 
19時過ぎにシュラフに潜り、最初は眠れたが、一度目が覚めてから、なかなか寝付けなかった。
その理由は、駅で飲んだ200円位のエナジードリンクのカフェインのせいだと思う。
 
夜中2時頃、テントを叩く雪の音で目を覚ます。
その音を聞いて今日の再チャレンジをあきらめる。
そのせいか、その後は眠りにつくことができた。
 
日の出前、雪が雨に変わった。
益々ゆうつな気分になり、ふて寝する。
 
 
 
 
12月22日(木) 2日目
 
目を覚ますと、6時50分だった。
いくら下山するだけと言っても、遅すぎだ。
慌ててシュラフから抜け出す。
外は、まだ雨が降っている。
 
朝食は、西尾食品のアルファー米をやめてチキンラーメンに変更する。
これなら短時間で出来上がる。

 
雨天だが、気温はそれほど低くない。雨天だからかもしれない。
気温が低ければ雪になっているはずだ。
 
冬の雨は、雪より始末が悪い。
濡れて染みてくると体温を奪う。
防水がきれたザックは雨を吸い込み、ますます重くなる。

 
テントの中でパッキングを済ませ、極力装備を濡らさないようにする。
減ったのは食料が少し。変わりに濡れたテントが重量を取り戻す。
 
8時20分、残念な気持ちで下山を開始する。
道には、昨日歩いた自分のトレースが残っている。

 
尾根の折り返しから、トラバース気味の道を進む。
雨で雪が溶けだし、落葉の上の雪は滑りやすい。
頭では分っていても、やはり滑ってしまう。
今回は、大型ザックが身代わりになってくれた。

 
コルを通過し、林道終点にはちょうど1時間、9時19分に着いた。
ちょうど1時間、登りの時の半分の時間だ。
林道の雪はほとんどが溶け、車のタイヤの跡が増えていた。

 
雨はなかなか止まない。雨具はすでにぐっしょりだ。
下を向いて歩いていたら、栗のイガを見つけた。
今年は、どこも山栗が豊作だったのだろうか。

 
鉄塔を通過し、記念碑まで来ると小山さんの家も近い。

 
林道終点から約50分、10時過ぎに小山さんの家、登山口に戻ってきた。
昨日書いた芳名帳に下山したことを書こうと土間に入ると奥さんが出てきた。
お礼を言って下山時刻を書き込む。

 
畑の中の道を雨に濡れながら温泉を目指して歩く。
40分ほどで国道に出る。
日帰り温泉、華の湯は、ここからバス停ひとつだ。
来年(2023年)の3月で閉館するという。
閉館進前に一度入り度入りたかった。

 
湯船は広く、ちょうど冬至で黄色いゆずを入れられていた。
平日だったせいか、貸し切り状態だ。
露天風呂は、石積みの上からお湯が流れ、その流れる音が国道の騒音をかき消しちょうど良い感じだ。
 
食事処でお昼にする。
注文したのは天丼と盛りのセット。蕎麦は手打ちだ。
それから鹿刺がメニューにあったので、一皿注文する。
これを辛子を入れた醤油で食べる。美味しかった。

 

 
朝は寝坊したが、下山が思った以上に早かったので、バスも1本前の13時で帰ることができた。
昨日、雪景色だった国道沿いの山は、今朝の雨ですっかり溶けていた。

 
【編集後記】
 
2022年の山行を撤退で締めくくるなんて。
少々残念だったが無理をしないことが大切、次回のお楽しみにしよう。
 
 ( ^^) _旦~~  
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