日留賀岳 北尾根から

バリエーションコース

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アクセス・コースタイム

2024年3月16日(土)~17日(日) ツエルト泊山行

3/16(土) 晴れ
電車:京成高砂駅[4:55発]-関屋・南栗橋・下今市乗換え-
   -新藤原駅[8:09着/8:17発]-男鹿高原駅[8:48着]
    京成157円+株主優待券780円+野岩鉄道1,000円
 
徒歩:男鹿高原駅[8:53出]-横川入口[9:20着]-
   -ワイルドフィールズおじか[9:47着/9:57出]-林道分岐[10:05着]-
   -牧場上部[11:35着/11:50出]-小段[12:00着]-
   -杣道横断[12:07着]-ポイント1301[13:36着]-
   -標高1340m付近[16:40着] ツエルト泊
 
3/17(日) 晴れ
徒歩:標高1340m付近[6:35出]-ポイント1595[6:50着]-
   -山頂の北の端[9:20着/9:30出]-
   -日留賀岳[10:00着/10:18出]-ポイント1622[11:07着]-
   -鳥居[12:07着]-尾根の折り返し[13:08着]-
   -コル[13:35着]-シラン沢林道終点[13:57着/14:13出]-
   -鉄塔[14:38着]-小山さんの家[15:08着]-
   -元湯入口バス停[15:43着]
 
バス:元湯入口バス停[16:59発]-上三依塩原温泉口駅[17:10着]
    ゆーバス200円
 
電車:上三依塩原温泉口駅[18:16発]-押上駅-京成高砂駅[22:57着]
    野岩鉄道840円+株主優待券700円+定期券

【はじめに】

日留賀岳を冬に登ってみたい。
それもバリエーションで。
考えたルートは、日留賀岳の北に延びる北尾根だ。
 
1ヶ月前、日留賀岳の偵察をした。
キャンプ場の人は前尾根と言っていた西尾根のポイント1417まで登った。
しかし前尾根は雪が少なく、無理と判断し、この北尾根を登ることに決めた。
 
北尾根の情報をネットで探したが見つけられなかった。
偵察で歩いた尾根と同じアスナロとブナ、熊笹の尾根だろうと考えた。
未知の尾根なので、尾根の途中、ポイント1591でツエルト泊する計画にした。
実際はツボ足で時間がかかり、少し手前でツエルト泊となったが、無事北尾根を完登できた。
 
 
それと、あこがれていたナンガのシュラフを中古で手に入れ、それを今回初めて使った。
使い心地、それはもちろんベリーグッド!
前に使っていた天山と比べると数段暖かった。
 

 

3月16日(土)晴れ

 
野岩鉄道の無人駅「男鹿高原駅」で一人降り立つ。
1ヶ月前に来たときは、道路に雪が積もっていた。が、今日はない。
でも山に入れば雪が期待できそうだ。
それは4、5日前、なごり雪と思える降雪があったからだ。

 
国道を歩き、横川の部落までくる。
民家の庭の片隅に、春を知らせる福寿草の黄色い花が咲いていた。

 
民家を抜けると、正面に今日登る日留賀岳の北尾根が見える。
樹々が多いから、尾根は黒い。
日留賀岳の山頂は、雪をまとって白い。
北尾根の奥には、鹿又岳から男鹿岳に続く稜線が、やはり雪をまとって白い。

 
キャンプ場で、受付の方に天候について聞いてみる。
「今日明日は良い天気じゃないか」と、うれしい話をしてくれた。

 
テントがひとつ張られている。
春の息吹を感じたいのか、それとも最後の冬を楽しみに来たのか。
 
キャンプ場を抜け、林道の分岐を今日は左に進む。
するとさっそく雪が現れる。
ツボ足は辛いので、さっそくスノーシューを着ける。

 

 
500メートルほど行って紅藤沢(くどうさわ)に掛かる橋から先は雪がなくなり、がっかりする。
 
さらにこの先、林道は大きく迂回し、横川放牧場へと林道がのびている。
そこで崖を攀じってエスケープすることにした。

 
土の急斜面を30メートルほど登ると、そこは真っ白な雪原だった。
青い空の下、白い柵がなければ牧場だと分らない。
ここでまた、スノーシューを着け、牧場を登っていく。

 
牧場を歩いていくと雪原の向こうに、北尾根の取付きが見えてきた。
そんな時、仕事の電話が入り、気分をそがれる。
でも振り向いた時、雪原の向こうに見えた七ヶ岳の細長い山頂が、気分を持ち直してくれた。

 

 
(七ヶ岳とトレース)

 
11時半過ぎ、牧場の最上部、北尾根の末端に着く。
駅から1時間40分だった。
ここからいよいよ未知の尾根、アイゼンを着けて登り始める。

 
最初は雪の少ない草付きの斜面を20メートルほど登る。
ここでもう一度振り返る。さっきより七ヶ岳が大きく見えた。
西側には荒海山の山頂も見えた。

 

 
尾根に乗ると雪が深くなる。
牧場の白い柵を超え、杣道を横断すると主尾根が始まる。
始めから急な登りだ。

 

 
雪は徐々に深くなり、ひざ下ぐらいまで潜る。
時々踏み抜きにはまり、足を抜くのに苦労する。

 

 
周囲はブナやアスナロ、モミノキが多く、陽は射すが眺望はない。

 
同じような景色の中、雪の尾根を登る。

 
急な尾根を1時間半ほど登ると、少し平坦になる。ポイント1301だ。
そこでワカンを着ける。
それでも降って間もない雪は潜る。
潜ると、体力を消耗する。

 
狭くなった尾根を進むと、今度は少し下る。
その先、アスナロの枝を避けてルートを取る。
雪は柔らかく、時々股下まで潜ると立ち上がるの苦労する。

 

 

 

 

 
しかし、時々樹々の間から、鹿又岳から男鹿岳の白い稜線が見えうれしくなる。
白い稜線のすぐ下に塩那道路のラインが見える。
青空と白い稜線のコントラストがきれいだ。

 
振り返るれば七ヶ岳が見える。岩壁は雪が付かないので、上部は黒い。

 
15時が過ぎ、陽が傾き始め、距離が進まないことに焦る。
標高1450メートル付近からまた傾斜がきつくなる。

 
16時を過ぎ、今日中に目標のポイント1591には着けないとあきらめる。
少しでも高度を稼ぐことにし、日暮れギリギリまで歩くことにする。

 
16時40分、これ以上進んでも平らなところは無いと判断。
標高1550メートル付近、狭いがツエルトが張れそうなところを見つける。
丁寧に整地をして、今宵の寝床を作る。
今回、ストックをポールの代わりにしようと、端切れでストックを差し込む袋を作ってきた。
ストックの持ち手に差すと2本が固定できる仕組みだ。
さらに両サイド4ヶ所に張綱を追加した。これにより内部空間が格段と広がる。

 
冬はまず水作りから。きれいな雪を求め一旦外に出る。
アスナロの樹々の間から、真っ赤な夕日が射していた。

 
ツエルトの戻ると、外が騒がしくなってきた。
風だ。それも相当強い。ツエルトがバタバタと音を立てる。
東西に向けて張って正解だった。
この風は日付が変わる深夜0時過ぎまで続き、なかなか寝付かれなかった。
 
夜はタイカレーと白米、アルファ米の五目御飯を食べる。
 
今回、ナンガのシュラフデビューだ。
ダウンがふかふかで心地良い。
 
 
 

3月17日(日)晴れ


 朝目を覚ますと4時半だった。少々寝坊した。
いや、そんなには寝ていない、いや眠れなった。
 
いつもの袋麺の天そばを食べ、ツエルトを撤収する。
 
6時半過ぎ、少しも軽くならないザックを担ぐ。
今日は、足元はアイゼンとワカンのダブルで固める。
頭にはバラクラバを被り出発するが、途中で暑くなり脱ぐ。

 
今日もアスナロの尾根、積雪は5、60センチくらいある。
新雪に近い雪は、1回では踏み固められない。
1、2、3と踏みならしてから、体を前に踏みだす。
そうしないとワカンのまま踏み抜いてしまう。
そうなると足を引き上げるのに体力を消耗する。

 

 
ポイント1595には、25分で着いた。
アスナロの樹が密集していて景色は見られない。

 
尾根はここで向きを東に変える。
向きが変わったことで、鹿又岳から男鹿岳の白い稜線がよく見える。

 
標高が上がるにつれ積雪が増える。それに加え尾根の傾斜が増してきた
歩幅はますます狭くなり、スピードは上がらない。

 

 

 

 
アスナロに変わってダケカンバの植生なると少し視界が開ける。
鹿又岳と塩那道路も、目線と同じ高さになる。

 

 
山頂の北、標高1800メートル付近に着くと視界は開け、男鹿岳まで見渡せるようになる。
 
1年前、男鹿岳から日留賀岳まで、塩那道路を歩いたことを思い出す。
日留賀岳北側のコルの雪庇は大きかった。こちら(西側)からは見られない。
あの時は、コルから日留賀岳に登る尾根の途中でツエルト張った。
あの晩も、夜中、風が強かった。

 

 

 

 
山頂の北の端手前、もう視界を遮る大きな樹はなく、山頂は目の前だ。

 
9時20分、山頂の北の端に出た。
5、600メートル先の山頂に祠が見える。
景色は360度ビュー。最高だ。

 
振り向いて北側を見る。
鹿又岳と男鹿岳、その右に大佐飛山から黒滝山、百村山への尾根が見える。

 
日留賀岳の右手(西)には、高原山と日光の山々、白根山ア、根名草山。
奥に至仏山と燧ヶ岳、手前に荒海山、さらに右手奥に会津の白い稜線。
そして下が白くて上が黒い七ヶ岳の細長い山頂が見える。
10分ほど、山座同定を楽しみ、山頂に向かう。

 
女峰山

 
男体山と日光白根山

 
至仏山と燧ヶ岳

 
会津駒ヶ岳

 
七ヶ岳

 
シャクナゲやハイマツ、ツツジの灌木に積もった雪の上を山頂に向け進む。

 
振り返って北の端を見る

 

 
10時ちょうど、日留賀岳 1848.9メートルの山頂に到着。
日留賀嶽神社にお参りする。
トレースはない。ここ1週間、誰も登ってきていないようだ。

 

 
ここでも山座同定を楽しみ、10時18分下山を開始する。
 
山頂の南の端は、高木の針葉樹があり、少し東を巻く。
下る尾根を危うく間違えそうになる。
コンパスで確認し、正確にルートを見定める。

 
下る尾根は、1年前と同じ上塩原に向かって南に下り、途中から南西に変わる。
積雪は充分で、アイゼンがよく効く。
正面に見えるのは高原山だ

 

 
振り返って山頂の南の端を見上げる

 
標高1750メートル付近の樹林になり、そこを抜けると尾根は南西に向きを変える。

 

 
傾斜がゆるんだところで、ワカンからスノーシューに変える。

 

 
鳥居があるポイント1514付近は、少し雪が薄くなってきた。
それでもスノーシューで下れるところまで進む。

 
(ポイント1514)

 
標高1430メートル付近で、スノーシューを外す。
 
落葉に積もった薄い雪の道を下っていると、トレースを見つけた。
途中までツボ足で登ってきたようだ。
 
林道終点で、一休みし、バスの時間を見る。
が、しかし、14時のバスには間に合いそうもない。
あきらめて林道をゆっくり歩く。

 
小山さんの家の前を通過するも、家族の方は畑で仕事中のため、素通りする。
庭先には福寿草の花がたくさん咲いていた。
正面に高原山を見ながら、国道まで歩く。

 

 
35分ほどで国道にでる。
バスの時間まで1時間近く暇つぶしした。

 
 

 

【編集後記】

 
積雪期のコースタイムは、無雪期とどれくらい違うか、それは、一概には言えない。
 
雪質や尾根の傾斜、ヤブのあるなしなど、総合的に考えないと計画できない。
 
しかし、経験を積めば、概算はだせると、今回思った。
 
 ( ^^) _旦~~

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