浅草岳 守門岳
一般コース
Home > Index No.1 > 山行記録 2024年 No.06
アクセス・コースタイム
2024年5月1日(水) 曇り
電車:京成高砂駅[4:55発]-日暮里[5:11着/5:21発]-
-上野[5:24着/5:43発]-高崎[7:29着/7:45発]-
-水上[8:52着/9:43発]-小出駅[11:12着(昼食)13:12発]-
-只見駅[14:25着]
京成272円+JR線5,170円
タクシー:只見駅[14:35発]-入叶津登山口手前のゲート[14:45着]
タクシー代2,560円
徒歩:入叶津登山口手前のゲート[14:51出]-
-入叶津登山口[15:04着/15:12出]-
-入叶津川の眺め[15:52着]-山神の杉[16:30着]-
-平石山[17:36着]-沼の平分岐[18:11着] ツエルト泊
5/2(木) 晴れ
徒歩:沼の平分岐[4:50出]-すだれの上[5:08着]-
-浅草岳[7:30着/7:58出]-前岳[8:15着]-
-ポイント1484.7(嘉平与ボッチ)[8:41着]-
-浅草の鐘(桜ゾネ広場)[9:47着/10:00出]-
-ヤマデナ沢 徒渉[10:58着]-
-林道[11:11着]-県道(白崩沢橋)[11:33着/11:53出]-
-浅草大橋(駐車場・WC)[12:15着]-
-山の神トンネル[12:45着]-
-スノーシェッドの先で昼休憩[13:00着]
(浅草岳で会った方にヒッチハイクさせていただく。)
ヒッチハイク:スノーシェッドの先[13:20発]-
-大白川登山口[13:45着] ツエルト泊
5/3(金) 晴れ
徒歩:大白川登山口[4:45出]-布引の滝分岐[5:52着]-
-ポイント949[5:59着]-ポイント1348[8:04着]-
-守門岳[9:00着(昼飯)9:48出]-青雲岳[10:11着]-
-大岳分岐[10:28着]-大岳[11:25着/11:45出]-
-保久礼小屋[13:08着]-登山口駐車場[13:30着]-
-二口登山口駐車場[13:58着]
ヒッチハイク:二口登山口駐車場[14:10発]-小出駅[14:40着]
(駅前のそば屋で昼食)
電車:小出駅[17:09発]-水上[18:34着/18:44発]-
-高崎[19:48着/20:07発]-赤羽[21:43着/21:48発]-
-日暮里[22:01着/22:09発]-京成高砂駅[22:25着]
JR線4,070円+京成線272円
【はじめに】
今年も、5月の連休はマイナー12山を狙おうと地図を印刷し情報収集していた。
しかし、今年は雪が少ないためバリエーションルートは諦める。
そこでせっかくの休み、山に行かないてはない。
悩んだ挙句、アプローチに時間がかかり長い休みでないと行けない新潟の山にした。
選んだのは浅草岳と守門岳。それを連続で登ることにした。
この二つの山は、登山口までバス便は無く、何キロも歩くことになる。
タクシーを調べると、守門岳の保久礼登山口だと貸し切り料金17,500円掛かると言われた。
それなら駅までは徒歩で行く計画にした。
でも、もしヒッチハイクが出来たらラッキーとひそかに考えていた。
ともあれ行く山が決まれば、あとは天候をにらんで出発日を決める。
5月1日(水)
いつものごとく地元の駅を始発で出発する。
今回は新潟の山、いつもの東武線ではなくJR上越線に乗るため、まずは上野駅に向かう。
今回は、アプローチを何キロも歩くことを考えスニーカーを履き、登山靴はザックに入れた。
それ以外に食料や冬山装備のためザックは19キロといつもより重くなった。
上越線は、水上駅から先が極端に本数が少ない。
それに加え、列車は3両編成、連休だと大混雑して座れないことがある。
そこで、どの車両に乗ればいいか事前に調べておいた。
籠原駅を過ぎると榛名山や赤城山など群馬の山々が見られる。
さらに渋川駅過ぎると、雪を残した上越国境沿いの山稜が目に入る。
嬉しくて思わず笑みがこぼれる。
渋川駅で乗客の大半は降車した。
車窓から眺める藤や山吹の花、新緑が、都心に比べ遅い春を感じさせる。
地元の駅を出て4時間、9時近くになってやっと水上駅に到着した。
蒸気機関車の動態保存を見に改札を出る。風が冷たいのが心地良い。
今朝は始発に乗らなくてもよかったのだが、水上駅から確実の座りたくて、早く出てきた。
しかし、列車はガラガラ。努力は無駄だった。
線路脇の咲く山吹に見送られ水上駅を出発する。
湯檜曽駅手前で笠ヶ岳が見えた。
その後列車はトンネルに入り、土合の駅では、登山者が何人か降りる。
土樽駅に着くと雨が降っていた。
天気予報どおりだ。でも午後はあがるはずだ。
越後の山が見られないまま小出の駅に着く。
ここで只見線に乗り換えるのだが、接続が悪く、待ち時間が2時間もある。
そこで町に出て、食事ができるところを探す。
でも小出の町もシャッターが目立ち、ネットで探したラーメン屋も今日は休みだった。
仕方なく駅の待合室でコンビニ弁当を食べる。
やっとのこと乗り込んだ只見線、2018年7月会津朝日岳の山行以来だ。
ディーゼルのエンジン音も少しすると慣れて心地良い響きに変わる。
大白川駅を過ぎ、7年前に登った毛猛岳の取付き点を探し車窓から山を眺める。
地元駅を出発して9時間半、やっと只見駅に到着。
まずは列車の旅は一旦終わる。
駅前にタクシー会社があり、入叶津の登山口までお願いする。
ちょうど1台空きがあり、すぐに出発できた。
タクシーの運転手に聞くと、入叶津の登山口に、今シーズン乗せたことはないそうだ。
少し不安になる。
登山口の手前、民家が終わったところにゲートがあり、そこでタクシーを降りる。
不安を感じながら舗装道を登山口まで歩く。
15分程で入叶津登山口に到着する。
駐車場の脇に看板と水場がある。
看板の右側を回り込むと木の板を敷いた道がある。入口は落葉に隠れ見つけにくい。
今日は平石山付近で泊まる予定だ。
そこまでの標高差は約600メートル、コースタイムだと3時間だ。
GPSとココヘリをセットし、15時過ぎに出発。ブナ平新道を進む。
歩き始めるとすぐにカタクリの群落が迎えてくれる。
谷筋には残雪が見られる。
40分ほどかけて標高差150メートルを登ると小尾根に乗る。
そこには小さな杭に「叶津川眺め」と書かれている。
尾根の向こう側が開け、下に流れる叶津川が眺められる。
はっきりした道を進むとトウゴクミツバツツジやオオカメノキの白い花が見られる。
残雪が多くなり、雪解けした斜面は、我先にとフキノトウが吹きだしている。
登山口から1時間20分、山神に杉に着く。
ここは沼ノ平コースの入口だが、トラロープが張られている。
広いブナの森が広がって、ウグイスなどの鳥の声がする。
この先、根がらみの尾根を登り、標高を稼ぐ。
道は山腹をトラバースするところが何カ所かあり、ロープが張られている。
九十九折りの登る。足元にはイワウチワの淡いピンクの花が今が盛りと咲き誇っている。
その先、またトラバースする箇所やロープが掛かった急斜面を通過する。
倒木を迂回する箇所もある。
そこを抜けると小尾根にでる。そこはイワウチワが満開だ。
雪の残る小沢を4回渡り、少し登った先で平坦になる。
そこに平石山の小さな看板がある。
ブナの林には雪が覆い、さらにその上を霧が覆って幻想的な景色だ。
雪原で幕営地を探しながら進む。時々、夏道が現れる。
西の空、地平線に近いレベルがオレンジ色を染まる。
18時をまわり、夏道にツエルトを張ることにする。
ツエルトを張り終えると夕焼けはマックスになり、紺とオレンジのグラデーションでフィナーレを迎える。
南側を見るとさっきまで見られなかった毛猛の山魂が、雲海に浮かび上がっていた。
その夜は、早ゆでマカロニにウニクリームのパスタソースを掛けて食べた。
これは早くて美味い。
5月2日(木) 晴れ
3時に起き、外を見る。南の空の月が明るかった。
今日は浅草岳を超え、反対側の登山口、ムジナ沢登山口に下る。
さらに大白川まで県道を歩いて、明日登る守門岳の登山口、大白川登山口まで行く計画だ。
浅草岳までの標高差は約500メートル、コースタイムだと2時間となっている。
ツエルトを撤収し、4時50分出発する。
下界は雲海に包まれている。空には雲が多い。
歩き始めるとすぐに沼ノ平分岐の看板があった。
ここも下と同じでトラロープが掛かっていた。
尾根沿いの夏道を歩く。時々視界が開け、毛猛や越後駒の山々が見える。
黒い縞模様のスダレ岩も見える。
その下方には、茶色デ三角錐の串先岩も見える。
南西に延びる真っすぐな尾根、夏道をしばらく進む。
5時近くになり、東の空がオレンジに輝く。
でも雲が邪魔して日の出は見られない。
5時過ぎ、「すだれの上」を通過する。
歩き始めて30分ほど、標高1100メートル手前から登りになる。
ここから雪原になる。周囲にはタムシバの白い花が多い。
斜面の上で動くものを見た。カモシカだ。(写真中央)
子供のようだ。すぐに逃げた。
ちなみに大人だと、しばらくこっちの様子を伺い、近付くと静かにいなくなる。
5時半を過ぎ、陽が差し始めた。
気持ちの良い朝日、鳥のさえずりも心地良い。
右(北)側を見ると、薄っすら矢筈岳方面が見える。
広い雪原をボッチで歩く。空は青く、初夏の天気だ。
標高が上がるにつれ、新緑が少なくなる。
6時半過ぎ、標高は1400メートル付近。
南から湧き上がる雲、山頂に着いた時には晴れて欲しい。
さらに15分ほど進み、標高1440メートル付近から大きなブナは無くなり、低い樹木だけになる。
広い緩やかな雪原、まるで富士山のようだ。
山頂はガスで見えない。
7時、標高は1500メートル付近、ガスで前が見えなくなったと思うと、急に晴れたり、めまぐるしく天気だ。
左の雪庇にクレパスが見えたので、少しコースを右に変える。
7時20分、標高1550付近、もうすぐ山頂だ。
夏道が現れると、その後はなんどか雪と夏道とが入れ替わる。
周囲は低木と笹原。ウグイスが鳴いている。
左(南)側の雪庇は崩壊しそうだ。
7時半、石積みの上の祠が見えた。
7時30分、浅草岳(標高1585.4メートル)山頂に到着。
誰もいない山頂、聞こえるのは鳥の声と風の音だけ。
残念ながらガスが晴れず、景色は想像するしかない。
来て良かった、しばし一人の時間を満喫する。
早めの昼飯で時間をつぶすもガスは晴れず、あきらめ8時少し前、前岳に向かう。
ガスの中、小さい起伏を進む。
途中、残雪と木道が交互に現れ、勘でコースを探す。
8時15分、前岳を通過。ピークはヤブの中で、山頂は踏まないようだ。
ムジナ沢登山口に向け桜曽根の尾根を下る。
雪の尾根を下り、途中、木道を歩く。
その先で単独の登山者とスライドする。
挨拶のあと、道の状況を聞く。
この方、あとでヒッチハイクで大変ごやっかいになる。
コルまで下る。大きな雪庇が崩壊寸前、ダイナミックだ。
少し登り返す。
8時40分過ぎ、ポイント1484.7(嘉平与ボッチ)に着く。
小さなピークに三角点の杭がある。
一瞬、ガスが晴れ、守門岳が目に前に現れれる。
山頂付近を雪で覆い、裾野は鮮やかな緑だ。
雄大な景色、雪解け水の流れる音、そして鳥の声。
振り向いた浅草岳の山頂はガスの中。
今日はそういう日だ、きっと。
雪の残る狭い尾根を下る。
9時、標高1400メートル付近、斜面がきつい。ここで今回初めてアイゼンを着ける。
せっかくだからピッケルも使う。
急斜面を下りながらも、正面に見える守門岳に見惚れる。
9時半ごろ、標高1150メートル付近で雪が途切れたのでアイゼンを外す。
標高が下がると新緑は鮮やかになる。
タムシバやオオカメノキの白い花、イワウチワのピンクの花が多く見られる。
相変わらず守門岳は正面に見える。
そして右手(北側)には栗ヶ岳と五剣谷岳、そして矢筈岳がくっきりと見える。
9時50分少し前、尾根はゆるやかになり、三角の櫓が現れる。
「浅草の鐘」だ。
脇には石の祠、八海大神が祀られている。
登山の無事を祈り鐘を撞く。
そこを下るとすぐに広場にでる。林道の終点、桜ゾネ広場だ。
桜が散って、地面がピンクに染まっている。
その先は樹林帯の中を進む。残雪と夏道を交互に歩く。
トウゴクミツバツツジの鮮やかなピンクが目に眩しい。
ずうっと見てきた守門岳は、この辺りからは見上げることになる。
下から見上げた方が、山が大きく思える。
尾根が終わり、平坦な場所にでる。周囲は樹に囲まれ、場所の特定が難しい。
まだ山開き前で踏跡も薄く、たまに残っている残雪で道を見失う。
11時少し前に沢に出た。徒渉になるかと思ったら、簡単に渡れた。
さらに平坦な道は続き、小さな流れがあるなと思ったら、そこには水芭蕉が咲いていた。
こんなところでも咲くんだと、少しびっくりした。
なにか得した気分になる。
水芭蕉に感激して歩いていると、すぐ先で林道に出た。
地図にある一本線の林道だ。破線の山道を行くのを止め、林道を下ることにする。
しかし、この林道、車は入れないと見えて、草ぼうぼうだ。
フキノトウが、あちこちに芽吹いていた。
林道を20分ほど歩いて、11時半にやっと舗装道に着いた。
ここで登山靴からスニーカーに履き替え、大白川登山口を目指す。
時間は充分あるから急がなくてもよいのだが、ダラダラとは歩けない。
初夏の新緑、守門岳の白い頂。少し暑いが、気分は最高だ。
20分ほど歩くと広い駐車場が見えてきた。手前にはトイレがある。
浅草大橋の手前の駐車場だ。そこには車が2台停まっていた
1台は浅草岳の山頂下でスライドした登山者の車だろう。
浅草大橋を渡り、スノーシェッドを2つ通過する。
600メートルほどある山の神トンネルを超えると13時を超えた。
お腹がすいたので、休憩ができる日陰を探しながら歩く。
3つ目のスノーシェッドを超えたカーブに木陰を見つけた。
ここでお昼にする。
パンを食べていると山頂下でスライドした方が車で下りてきた。
無意識に手を挙げると止まってくれた。
ヒッチハイクをお願いすると快く快諾してもらえた。
車に乗り込み、山の感想などを互いに話す。
男性は鹿児島から車で来て、2週間ほど山を登っている。
岐阜、長野、神奈川の山を登り、新潟まで来て、昨日は巻機山に登ったらしい。
車中泊で2週間もあちこちの山を登れるなんで、なんて羨ましいことだ。
自分の予定を話すと、大白川登山口まで行ってもらえることになる。
大原スキー場の先と説明するも、登山口はスキー場よりかなり上だった。
14時少し前、林道の終点、大白川登山口に到着。
山の話は尽きなかったが、お互いに予定があり、何度もお礼を言って別れた。
まずは、水場と幕営地を探す。
まだ陽が高く、日向では暑いと考え木陰を探しツエルトを張る。
水場は、雪解けの流れを見つけ、そこで2リットルを汲む。
明日の偵察のため、登山口から少し登ってみた。
ぬかった草原を30メートルほど行って林の手前で振り向くと、毛猛と越後の山々が見られた。
いいところだなあ。
時間が早いので、湿ったシュラフや靴下を干す。
昼寝までして、17時から夕飯の支度を始めた。
今夜のメニューは、昨夜と同じ早ゆでマカロニに、今日はガーリック風味のパスタソースを掛けた食べた。
事前情報のとおり、虫(ブヨ)が多かった。
靴下とズボンの裾の間、肌が露出したところを2ヵ所も刺され、しばらくかゆかった。
5月3日(金)晴れ
今朝も3時起床、塩豚骨の袋麺で朝食を済ませ、4時45分に出発する。
風はなく、鳥の声が清々しい。
登山口から、昨日偵察した草原を進み、振り向いて毛猛を眺める。
昨日と違って、朝焼けの淡いオレンジ色の空をバックに毛猛と越後の山々が水彩画のごとく画かれている。
林に入るとすぐに布引ノ滝への分岐にある。
そちらには行かず、エデン尾根を進む。
ブナの林、急な斜面に落葉を敷いた道が延びている。
地図のとおり急勾配だ。
ここから中間地点の小烏帽子まで、標高差600メートル、コースタイムだと2時間40分だ。
歩き始めるとすぐにイワカガミの鮮やかなピンク色の花が迎えてくれる。
30分ほど登り標高860メートル付近で見晴の良い所にでる。
ここから守門岳の山頂が見える。白と黒のコントラストが良い。
トウゴクミツバツツジやオオカメノキの花も多い。
少しするとロープが掛かった岩場を2ヶ所登る。
6時少し前、岩場をクリアすると布引ノ滝からのコースと合流する。
6時、ポイント949を通過。
景色も良く、傾斜がゆるみ快適な登りだ。
ここで聞こえるのは、大雲沢を流れる雪解け水の音だけ。
そこに鳥の声がアクセントを沿えている。
少しするとその大雲沢を見下ろせるところに着く。
もちろん山頂もよく見える。
今日はガスは掛かっていない。展望も期待できそうだ。
さらに雪で削られたトラーバース道、階段状の岩場にロープが掛かっている。
その先は、傾斜がゆるやかになる。
ここからも眺望が良い。新緑もきれいだ。
振り向けば、越後の山々が見える。
6時40分、砂利状の急斜面を登り、標高1060メートル付近の小段にでる。
そのあたりから残雪が現れる。
標高1130メートル付近、雪と岩の短い斜面が現れる。
安全を考えピッケルを出し、キックステップで登る。
(ピッケルを使っている時の写真がなく、クリアした後の写真が下)
7時10分、標高は1180メートル付近、傾斜は少しゆるやかになる。
左に藤平山の稜線が見えてきた。
7時半ごろ、小烏帽子の下部に着く。樹木は、背の低いブナに変わる。
夏道は、ここを左に行くようだが、残雪期だから尾根を真っすぐ進む。
雪の斜面をキックステップで登る。
振り向けば、昨日登った浅草岳が山頂だけ雲に隠れている。
そして会津から越後の山々が見渡せる。
8時、ポイント1348付近に着く。
ポイントは雪庇に近いので少し離れて歩く。
正面に山頂に続く尾根が見える。
途中までは雪の上を歩けそうだが、山頂手前は雪もなく夏道が見える。
そして山頂の左には、青雲岳と二口に下る尾根が見える。
雪原を過ぎ、尾根の登りになる。崩れかけた雪庇なので、安全なところだけ拾って歩く。
山頂の手前、1370メートル付近からは雪庇からは離れ、傾斜が増した夏道を登る。
9時少し前、山頂が見えてきた。登山者もいる。
9時ちょうど、守門岳 1537.3メートルの山頂に到着。
山頂は広く、山名板と三角点の石標、御影石の方位盤がある。
景色は360度ビュー、風も無く、雲は目線の高さにいくつか浮かんでいる。
東から、守門岳の尾根つづきの黒姫、その先に浅草岳は山頂は晴れている。
浅草岳の南の鬼ヶ面山、会津朝日岳、毛猛山、荒沢岳、
尾瀬の燧ヶ岳の双頭峰、至仏山、
越後の中ノ岳、駒ヶ岳、八海山、笠ヶ岳、
奥に谷川岳から苗場山、
少し離れて、あれはおそらく北アルプスの山脈だと思う。
槍ヶ岳だと思う尖ったピークが見える。
山頂手前で自分を抜いて行った方に話しかける。
すると驚くことに、北海道から車で来て、仙台から関東の山を2ヶ月間も登っていると言う。
びっくりしたとともに、すごく羨ましかった。
そういえば、昨日、ヒッチハイクさせてもらった方も九州から車で来て、車中泊で山を登っていた。
そういう人が多いのだろうか。
さっきまで何人もの登山者がいたのに、話込んでいるうちに3人だけとなった。
9時50分、山を眺め、気が済んだところで大岳に向かうことにする。
山頂北側の低木を潜り抜けると広い雪原が広がている。
その先には、山頂に雪を残した青雲岳と大岳が見える。
さらにその先には、大岳の北尾根、荒々し尾根が続いている。
青雲岳とのコルは夏道で、何人もの登山者とすれ違う。
足元にはカタクリの群落が続いている。
木道があり、ここで滑って転ぶ。
コルまでは夏道だったが、登りになると雪原に変わる。
眩しいのでサングラスを使う。
10時11分、青雲岳の山頂は広くなだらかな山頂だ。
山頂でも登山者とすれ違う。
振り返ると大きな雪庇が崩れそうな守門岳の山頂が見える。
下りは夏道と残雪を交互に歩く。
20分ほど歩くと、踏跡が西に曲がった。二口コースの分岐だ。
大岳方向にも踏跡はあるが、その踏跡は2人だけ、多くの人は二口から登るようだ。
夏道と残雪を交互に歩く。
途中見つけたキクザキイチゲの紫の花。
イチリンソウに似ているが、花の色が白ではなく紫だ。
10時50分、コルに着く。
登りは、雪原だ。しかし、背中から照らされ夏のように暑い。
雪解けの水の流れで喉を潤す。
11時半、大岳 1432.4メートルの山頂に到着。
誰もいない静かな山頂。雲ひとつない。
山名板と石の祠、三角点の石標がある。
若干木があるが、眺望は良い。
時間も早いので、北側の景色を楽しむ。
2年前に登った矢筈岳と左に五剣谷岳、さらに左には栗ヶ岳が雪をまとっている。
矢筈岳の先に見える雪山は、飯豊山だ。
11時45分、重い腰を上げ下りに掛かる。
正面には、長岡の市街まで見渡せる。
その手前の延びる雪の回廊。気持ちが良い。
あとは下るだけ。ゆっくり歩く。
途中、かっこいい登山者が登ってきたので話しかける。
本当はスキーをしたかったが、雪が少ないので板を置いて登り返してきたとのこと。
スキーのことで話しが盛り上がる。
その後も雪の尾根を下る。
が、途中、ポイント1268を下ったあたりで、コースアウトしていることに気付き、GPSを確認する。
夏道より南に寄り過ぎたようだ。
道に戻るのため、灌木の中をヤブ漕ぎをして、右に進路を変える。
3分ぐらいして、夏道に出た。
その後、夏道と残雪が交互に現れる。
少しすると、後ろから話し声が聞こえてきた。それも数人の声だ。
ゆっくり歩いていたので、そのグループに追いつかれた。
その中の一人から「助かりました。踏跡を残してくれて。」と言われた。
最初は何のことだか分らなかった。
どうも、自分がコースアウトしたところを、同じように間違えたようだ。
それから、そのグループに付いて下ることにした。
年齢はおそらく70歳代だと思うが、とにかく脚が早い。
付いて行くのが大変なぐらいだ。
道は途中から擬木の階段になる。
この擬木が、とても滑りやすい。
最初、擬木と気付かず踏んだら、ステーン。
それから擬木は踏まないよう歩いた。
年配の方々は、途中でコシアブラを見つけると、それを採っていた。
13時、下山初めて1時間15分、保久礼(ほっきゅれい)小屋の分岐に付いた。
分岐の10メートル先にその小屋が見える。
新しくなったと勘違いしていたので、がっかりした。
ここで、グループの方に思い切ってヒッチハイクをお願いした。
一人の方から応諾してもらえ、この瞬間、計画を変更する。
小屋に1泊するのをやめ、今日のうちに帰宅することに決めた。
グループと一緒に、尾根の南斜面を九十九折りに下る。
沢が見えると、今度は沢沿いの広い道を下る。
沢沿いの平坦な道にはフキノトウがたくさんあって、ここでもみんな袋につめていた。
他にはイッポンコゴミやヤマウドも採っていた。
あとで、この時採った山菜を分けてもらった。踏跡を残してくれたお礼と言って。
元はと言えば、道を間違えたこっちが悪いの・・・。
13時半、駐車場がある舗装道に出る。
ここが保久礼登山口だ。
手前にゲートがあって、車はここまで上がって来られない。
舗装道をイッポンコゴミを採りながら歩くこと30分、14時、二口登山口の駐車場に付いた。
グループの方々は、各々の車に乗り込んで帰って行った。
皆さんとは、お礼を行って別れる。
自分は、ヒッチハイクさせてもらい、駅に向かう。
おまけ その1
小出駅で帰りの列車を待つ間、橋の上から撮った写真。
越後駒ヶ岳と八海山
おまけ その2
もらった山菜を天ぷらなどにして美味しくいただいた。
【編集後記】
例年に比べ雪が少ないといわれるも、やはり豪雪地帯、稜線には大きな雪庇が残り、すばらしい景色を堪能できた。
そして天候にも恵まれ、無事下山できたことに感謝したい。
ヒッチハイクでJR小出駅まで車に乗せてくれたのは阿賀野市在住の月岡さん、御年76歳。
登山口から小出駅まで乗せていただき、ありがとうございました。
小出駅の駅前のそば屋で昼食をとりながら、グループのことや、登った山のことなど、いろいろお話しできたのとても楽しかった。
「情けは人のためならず」とは、親切な行いがいつかは自分に戻ってくるというポジティブな意味だと教えてくれました。
ヒッチハイクが縁で、楽しい山の思い出になりました。
月岡さん、ありがとうございました。
また、どこかの山でお会いできると良いですね。
( ^^) _旦~~