大源太山山
一般コース
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アクセス・コースタイム
2024年6月10日(月)~11日(金)晴れ
6月10日(月) 晴れ
電車:京成高砂駅[22:00発]-新宿駅[22:40着]
京成272円+JR線208円
高速バス:バスタ新宿[23:35発]-湯沢インタチェンジ[27:10着]
バス代5400円
徒歩:湯沢インタチェンジ[27:15出]-湯沢中央公園[27:45着]
ベンチで仮眠
6月11日(火)晴れ
バス:プールオーロラ前バス停[7:20発]-旭原[7:35着]
越後交通270円
徒歩:旭原[7:37出]-大源太山登山口[8:23着]-
-最初の徒渉[8:40着]-分岐(謙信ゆかりの道)[8:44着]-
-2つ目の徒渉[8:49着]-4つ目の徒渉[9:00着]-
-急登の始まり[9:04着]-標高1050m[9:35着]-
-標高1108m[10:00着]-標高1250m[10:15着]-
-やせ尾根[10:33着]-ガレ場[10:43着]-
-大源太山[11:11着(昼食)11:40出]-
-コル[11:55着]-登り始め[12:19着]-
-七ッ小屋山[12:53着/13:00出]-冬路ノ頭[13:28着]-
-清水峠[13:45着/13:49出]-水場[14:00着]-
-尾根に出る[14:17着]-鉄塔1[14:27着]-
-鉄塔2[14:31着]-鉄塔3[14:34着]-
-ポイント1258[14:41着]-鉄塔4[14:47着]-
-鉄塔5[14:51着]-鉄塔6[14:58着]-
-林道に出る[15:23着]-水場[15:40着]-
-清水バス停[16:30着]
(清水バス停で会った星野にヒッチハイクさせていただく。)
ヒッチハイク:清水バス停[16:35発]-六日町駅[16:55着]
電車:六日町駅[17:29発]-水上[18:34着/18:44発]-
-高崎[19:48着/20:07発]-赤羽[21:42着/21:51発]-
-日暮里[22:04着/22:18発]-京成高砂駅[22:34着]
JR線3740円+京成線272円
【はじめに】
「大源太山」、別名越後のマッターホルンと呼ばれている。
湯沢側から見るとそうでもないが、山頂を超え、七ッ小屋山の手前から見るとピラミダルな形で、東側に数百メートル切れ落ちる岩の斜面はマッターホルンに似ている。
以前から登りたいと思っていた。
新潟の山は、上越国境を超えるのに時間と交通費が掛かる。
そこで2つの山をまとめて登れば良いと考え、大源太山を金城山と連続させる計画を立てた。
「金城山」には、大源太山から巻機山の登山口、清水側に下山するとバス移動が可能だ。
なお且つ、金城山の登山口の近くにはコンビニもあり、食料の調達もできるので、2日目の食料を減らせることもできる。
しかし、結果は金城山を諦めることになる。
時間短縮を考え夜行高速バスを使ったが、バスの中でも、湯沢に着いて仮眠のため行った公園でも眠れなかった。
結局、睡眠不がたたり、脚の乳酸は排出できず、大源太山だけで帰宅することになった。
6月10日(月)
会社を早上がりして、余裕をもってバスタ新宿に向かう。
昔は西新宿の超高層のビル街の歩道がバス乗り場だった。
バスタ新宿は、空港のターミナルのようだ。
バスは定刻23時35分ぴったりに出発した。
途中、都内いくつかのバス停で乗客をひろい、関越高速に入る。
上里サービスエリアで長い休憩を取った後はノンストップで上越トンネルを超える。
日付が変わった3時過ぎ、湯沢インタチェンジに着いた。
街灯が眩しい。
他の乗客を起こさぬよう、運転手が知らせてくれる。
もし寝ていたら起きられないくらいの低い声だ。
バス停には、ちゃんとした待合室があり、ビバークするには充分だ。
ただし、街灯が眩しすぎる。
事前にビバークする場所がないかと調べたら、バスの路線の途中に公園を見つけた。
湯沢中央公園にはトイレとベンチがある。
目の前にバス停がある。
公園に向かう県道は真っ暗だと思っていたら街灯があり、ライトは要らなかった。
公園に着いて、夏用シュラフを出すころには、東の空が明るくなった。
久しぶりにバスに乗ったせいか寝付けない・・・。
6月11日(火)
早起きの鳥が鳴き始める。県道を時々車が走り去る。
周辺には高層のリゾートマンションがあり、ウォーキングする人が何人も行き来する。
結局、眠ることは諦める。(この時は、なんとかなると思っていた。)
前日買ったスーパーの値引き弁当を食べ、始発のバスを待つ。
だれか、山用のザックを見て、「乗って行かない」なんて声を掛けてくれたら最高なんだが、そんな美味い話はなかった。
バスは少し遅れてやってきた。旭原に向かうバスに自分以外、客はいない。
終点の旭原に着くと、バス停には小中学生が何人も並んでいた。
今日は平日、ちょうど通学時間だった。
雪国独特の建物が点在する田舎の風景が広がっている。
米どころだから、田んぼが多い。
バスを降りるとすぐに出発する。
ここから登山口まで約3キロメートル、ほぼ舗装道だ。
途中でタクシーが1台、水戸ナンバーの車が1台、追い抜いて行った。
大源太山川に掛かる大源太山橋を渡り、少し坂道を登ると赤い「火の用心」の旗竿が目に入る。
林道終点が駐車場で、ここが登山口だ。
車が2台停まっている。
ということは、平日の今日も、この山には4パーティが入山していることになる。
登山ポストの右手、杉林の中に平坦な道が続いている。
途中で、高齢の女性が下りてきた。
登山靴には、白いビニール袋が巻かれている。
この時間で下山するのは早いと思ったら、靴底が剥がれて途中敗退だそうだ。
花を愛でにシシゴヤノ頭まで登ったが、今年は花が早いと言って下って行った。
15分ほどすると沢の音がして、最初の徒渉点に着く。
ロープが掛かっているが、水量が少なく、石伝いに難なく渡れる。
渡るとすぐに分岐の標識があった。
右は、「謙信ゆかりの道」、シシゴヤノ頭へ、左は大源太山だ。
沢沿いの道は鮮明で、ゆるやかに登っている。
さらに10分ほどして、2つ目の徒渉点に着く。
ここはさらに水量が少ない。
沢の向こうに赤いハシゴが見える。
10メートル先にも小さな沢を超える。
9時、4つ目の沢を渡る。水量は多いが、石伝いに渡れる。
渡った右岸の7、8メートル先にピンクテープが目に入る。ここから急登が始まる。
ここの標高は855メートル。山頂が1598メートルだから、標高差約750メートル登ることになる。
急傾斜の道にはトラロープが何カ所にも掛かっている。
ブナやミズナラの森、苔むした岩が多い。
さっきまで沢沿いの道は風もあり涼しかったのに、登りが始まると風も無くいっきに汗が噴き出す。
少し登るとブナの根本に二人の登山者がいた。
挨拶をすると、「タクシーを停めようか迷ったんですが、ごめんなさい」と言われてしまった。
いい人たちだ。
急登を登り始めて約30分、標高1000メートルを超えたあたりで周囲が開けてきた。
ウグイスの声や沢の音が心地良い。
振り向けば、西の山脈にスキー場が見える。湯沢とかぐらのスキー場だろうか。
10時少し前、標高1180メートル付近の風化した左岸の斜面を登る。
ここにもロープがある。
その先は、ブナの間から山頂が見え始める。
そして、周囲に花が見られるようになる。
足元には群落のクロマメノキ、目の前にはウラジオヨウラクの淡いピンクの花。
同じくピンクのタニウツギの花もたくさん咲いている。
ロープが掛かった岩場を超えた先で、一旦平坦になる。
視界はいっきに開け、山頂から国境沿いの山々が見渡せる。
遠く、西の方に見えるのは苗場山ではないだろうか。
山頂に向かう尾根に2名のパーティーが見える。
日差しを遮る樹木がなく、とても暑い。
10時半ごろ、標高1370メートル付近、狭い尾根を通過する。
左はロープ、右にはクサリが掛けてある。
左上には山頂が、その北面は切れ立った岩壁、その下の谷筋に雪が残っている。
良い景色だ。
切れ立った岩壁から、カッコウの鳴声が響いてくる。
足元に、薄紫の小さなタテヤマリンドウ、艶やかなピンクのイワカガミも見られる。
10時40分過ぎ、標高1430メートル付近、ガレ場を通過する。
さらにその上が岩の斜面でロープが掛かっている。
振り向けば、湯沢の街から、巻機だろうか、雪を残した山頂が見える。
山頂が見え始めてから、時間が長く感じる。
なかなか山頂にたどり着かない。
日差しも暑い。
足元のイワカガミの花が真っ盛りだ。
このころになって脚の筋肉に乳酸が溜まってきた。
少しペースダウンする。
ニセ山頂に騙されるなと思っていたら、11時を過ぎ、青空の下、丸いポールが見えた。
11時11分、大源太山 1598メートルの山頂に到着。
眺望は360度、遮るものはない。
お昼は、最近定番の赤飯のおにぎりをかじりながら、山座同定を楽しむ。
国境沿いは、七ッ小屋山から茂倉岳の尾根、谷川岳は茂倉の左だ。
右には、三角錐の万太郎山から平標への尾根が見える。
さらに右には苗場山の平坦な山頂も見える。
北には、割引沢に大きな雪渓が残る巻機山が女性的だ。
その右手には、昨年5月に歩いた白毛門から米子頭山、巻機山への稜線が見える。
今年は雪が少なく、谷筋に何本か残しているだけだ。
こちらから見ると、この尾根はアップダウンが大きい。
歩いている時には感じなかったが、見る角度が変わると違って見える。
よく歩いたなあと、しみじみ思う。
そしてコルの隙間から、見えるのは駒ヶ岳だろう。
ジャンクションピークの手前が清水峠、ここからは見えない。
その左に、下りに使う十五里尾根が見える。
七ッ小屋山へは、一旦100メートル下って200メートル登り返す。まだまだ先は長い。
ウグイスとカッコウの鳴声が美しい。
沢の方からはカジカガエルの合唱も聞こえる。
だが残念なのが、山頂にはハエが多い。
山頂で30分ほどくつろぎ、11時40分に下山開始。
最初から狭い急な尾根を約100メートル下る。
最初からクサリが掛かった岩場を3ヶ所降りる。
次の4ヶ所目は長いロープが掛かっている。20メートルぐらいある。
かなり立っているので、しっかり握って体重をクサリやロープに掛ける。
切れたらアウトだ。少し緊張する。
そんなときでも、ウグイスとカッコウの鳴声が耳に入る。
風も気持ち良い。
10分ほどかかって急な岩場を降りる。
その先はやせ尾根のアップダウンが続く。
足元には花が多い。
イワカガミ、ショウジョウバカマ、ウラジオヨウラクの他に、シラネアオイも咲いていた。
(振り向けば、大源太山)
コルから七ッ小屋山を見上げたとき、コブの頭にカモシカがいた。
じっとこっちを見ている。近付くとスッといなくなる。
一ヶ所、狭い岩場を通過する。
振り向けば、マッターホルンにも見える大源太山と巻機山が見える。最高だ。
12時20分頃、ここから登りが始まる。
見上げると笹原の斜面に道が続いている。
風がやんで蒸暑い。
ついでに脚がつり始める。
前回の守門岳のときと、調子が違う。
今年になってスクワットで筋トレしててきたつもりなのになぜ。
考えられるのは睡眠不足。おそらくそうだ。
とは言えペースを落としてでも登らなければならない。
そこで、今回は岩場のコースだったので使えなかったストックを使うことにする。
その効果はあった。つりそう脚をストックでかばい、なんとか体を持ち上げる。
(振り向けば、大源太山)
(振り向けば、大源太山)
(振り向けば、大源太山)
13時少し前、七ッ小屋山にやっと着いた。
笹山で景色は良い。
三角点がある山頂は、150メートルぐらい先だ。
座ると脚がつるので立ったまま休む。
ここで、次なる手だてで、アミノバイタルを投入する。
でもすぐに効き目があるはずもなく、パンを食べて気持ちを盛り返す。
そしてこういう時は休むに限る。そして景色を楽しむ。
大源太山の山頂からはよく見えなかった駒ヶ岳が、この位置からだとはっきり見える。
手前の巻機山も太陽を受けてきれいに見える。
これから清水峠に向かい、向きを変えて北へ十五里尾根を下る。
笹山の中のわだち道はぬかるんで滑りそうだ。
清水峠までのアップダウンが続いている。
今の脚の具合では、この程度のアップダウンでも辛い。
3つ目のコブには「冬路ノ頭」と書かれた標識があった。
ここからは、峠へ下りのみだ。
途中、国道291号、土合へ下る分岐を通過する。
13時45分、七ッ小屋山から45分もかかって清水峠の清水峠白崩避難小屋に着いた。
せっかくだから小屋の中を覗く。
最近買った避難小屋に関する本によると、建替える際に古い建物を壊さず中に残した、二重構造になっているとのこと。確かにそうだった。
中はきれいだった。前回、ここに泊ったのは2013年9月のことだった。
ここで少しミスしたことに気付く。
十五里尾根への分岐は、さっきの国道291号、土合へ下る分岐だった。
少しだが元来た道を100メートルほど登り返す。
十五里尾根への道は笹ヤブだった。それも背の高い笹。
これが道?と疑いたくなるほど。
しかし、ここを進まないと帰れない。
マダニ対策で、気休めだがシャツのボタンを締め、ズボンの裾を靴下の中に入れる。
いよいよ、背丈ほどの笹ヤブに突入する。
踏跡はしっかりしていて安心する。
笹ヤブの道は意外と長い。周辺がすべて笹山だからしかたない。
10分ほどすると小沢が見えた。ここが水場だ。
さらに笹ヤブは続いている。
斜面の道は崩れた箇所が増え、笹は雪の重みで曲がっている。
分岐から25分ほどして十五里尾根に合流した。
丸太の標識が横たわっている。
尾根を見上げると、冬路ノ頭まで踏跡が続いていそうだ。
この先は、しっかりとした道がある。
足元にはイワカガミやタニウツギの花もたくさん咲いている。
(大源太山の東面)
この尾根の上空には高圧線が走っているので鉄塔が多い。
結果、6基の鉄塔を通過した。
(1基目)
(2基目)
(3基目)
(4基目)
(5基目)
(6基目)
ブナの林の中、落葉が多いがしっかりとした道だ。
苔むした石が多いから、昔からあった道と思う。
とにかく長い下りだ。
鳥の声よりセミの声の方が大きい。
脚の調子は、下りに使う筋肉は登りのと違うため大丈夫そうだ。
代わりにひざが痛み始める。
正面には常に巻機山と柄沢山が見える。
それが標高が低くなるにつれ、見え方が変わる。
最後は、麓の杉林になる。
尾根の末端、もう少しで林道という所で一旦平坦になり、林道に下る直前がロープが必要な急な斜面になっている。
木の根も多く、少しおもしろい。
清水峠を下り始めて約1時間半、やっと林道に出る。
左、沢の上流では堰堤の工事中だが、今日は休工日みたで、ダンプの往来もない。
林道、正確には国道291号を北に、清水バス停に向かって4.5キロメートル歩く。
10ほどで、国道291号に合流する。
舗装された道をバスの時間を気にしながら歩く。
途中、きれいな水場があった。
傾きかけた初夏の日差し、山の中とはいえ暑い。そんな時にこの冷たい水は最高だ。
暑い中頑張って歩くこと1時間、清水の部落、最初の民家が見えた。バス停は近い。
16時30分、清水バス停に到着。
登りは脚がつって辛かったが、なんとか17時15分発のバスに間に合った。
その時、手前の民家ですれ違ったライトバンがバス停に入ってきた。
時刻表の写真を撮っていると、話しかけられた。
大源太山の登てきたことを告げる。
その時だ、ヒッチハイクの神様が降りてきた。
こちらかお願いすると、すぐ快諾してくれた。
乗せてくれたのは、若い男性だ。
東京上野の生まれという星野さん、婿養子で魚沼市に住んでいる。
仕事帰りにふらっと清水まできたそうだ。
あらためてお礼申し上げます。
車は早い。20分ほどで六日町駅に着いた。
星野さんにお礼を言って別れる。
東京に帰る普通列車の最終は17時29分発 水上駅行き、それに間に合った。
駅前のスーパーでお土産の小嶋屋の「布乃利へぎそば」を買う。
今、自分のなかでは新潟のへぎ蕎麦がブームになっている。
列車は学生で混雑していた。それも湯沢駅まで。水上駅までは乗客は数えるくらいだった。
そのため、水上駅での座席争奪戦は勃発しなかった。
夕暮れに染まる榛名の山々を見ながら、今回の山行を振り返る。
【編集後記】
課題が見つかった。
どうしたら高速バスで眠れるかだ。
( ^^) _旦~~