山行記録 2014年 No.10
7月2日(水) 日帰り山行

奥多摩 金毘羅尾根 白岩山(631.9m)  初級コース
 

アクセス・コースタイム
 
7/2(水)
電車:高砂駅[4:45発]−神田駅[5:24発]−途中、立川駅で乗換え−
    −武蔵五日市駅[7:01着](\1,176)
徒歩:武蔵五日市駅[7:15出]−登山口−金毘羅神社[8:15着/8:25出]−
    −分岐[8:30着]−送電電下[9:00]−
    −白岩山[9:45(山田さんに会い話に盛り上がる)10:10出]−
    −タルクボノ峰[10:18]−
    −麻生山[10:50着(話に盛り上がる)11:53出]−
    −分岐[12:00]−麻生山北東尾根分岐[12:05着]−
    −麻生山北東尾根−林道[12:45]−
    −つるつる温泉[13:00(温泉)16:15]
バス:つるつる温泉[16:15発]−武蔵五日市駅[16:34着](\400)
電車:武蔵五日市駅[16:45発]−拝島駅[17:04着](\216)
    ここで途中下車、焼鳥屋で一杯。
 
 

 
金毘羅仙人の杖の魔力は「白岩山」でその力が表れた。
平日の朝9時過ぎ、奥多摩は武蔵五日市駅から北北西に伸びる「金毘羅尾根」のマイナーな「白岩山」の山頂で、杖の魔力により、一人の登山者に出合った。この登山者こそ、これから説明する山田さんである。
 
その山田さんの第一声が「同業者?」だった。
最初、意味が分からなかったが、矢継ぎ早に「今日は平日だよ。こんな山に登って来るなんて、バリエーション好き?」と浴びせられる。
あなただって平日だろうと、思わず「そのまま返しますよ」と言い返す。そうしたら思い切り笑われた。こっちも一緒に笑った。
 
頭には手拭の鉢巻き。腰には大工さんが使う帆布の釘袋。手にメモ帳を持って、山名が書かれた標識をしきりにメモしていた山田さんは、聞けば、奥多摩の登山道の標識や看板、コースの特徴、眺望などを詳細に記録し、ノートにまとめているらしい。その数十冊になるとか。
話をすればするほど、「同業者」、つまりバリエーションルート好きだと分かった。
初対面で意気投合。話が盛り上がり、「白岩山」で30分。「麻生山」で1時間。「つるつる温泉」で1時間半も話し込んだ。それでも話は尽きず、拝島駅を降りて焼鳥屋で3時間飲んで、再会を誓い別れた。
 
登り方は微妙に違うが、登りたい山が似ている。そして何より、話が愉快だった。
尚、山田さんは小澤酒造鰍フ製造部の頭役。お酒作りのプロである。
 
 
梅雨の中休み。ネットのウェザーニュースとスケジュール帳を睨めっこ。
そして、平日の水曜日、振替え休日を取った。
しかし、休みを前に机の決裁箱は山盛り。それをこなし帰宅すると夜10時を過ぎていた。結局、2時間半の睡眠で出発。
いつも始発電車に乗って朝7時、武蔵五日市駅に着いた。雲は多いが晴れている。
平日、仕事に急ぐサラリーマンの目線が気にしながら守屋さんの登山詳細地図を片手に7時15分、歩き始める。

 
秋川街道32と書かれた標識を右に折れ、住宅街の中を過ぎ、小学校の脇を進む。
最後の民家が見えると舗装の道は終了。この先、車両通行止めとなっている。
ここで車両通行止めの看板の脇に杖を見つけた。
それを眺めていると、早くも下って来る老人に会った。
「もう下山ですか」と聞くと、「神社までですよ。もう400回も登ってます。」と。
へーっと感激し、話を聞くと、2年前にこの地に越してきて、2週間おきに「金毘羅神社」まで登っているらしい。
そして、杖を作っては、ここに立て掛けて登山者に使ってもらっているそうだ。
その杖は杉の中太の枝をきれいに皮を削り、頭を斜めにカット。全体をサンドペーパーで仕上げてある。
そして何よりカッコいいのが、マジックでロットナンバーが書かれていることだ。
この時譲り受けた杖は、No.375。
仙人みたいな人からもらったこの杖が、不思議な魔力を持っているとは、この時は知らなかった。
ただ、この杖が、微妙に曲がっていて、出会った人も微妙に曲った人だったのは、この杖の魔力のせいだろうか。

(後姿の仙人、杖のここに立て掛けてあった。)

 
杉林の整備された道を登る。途中ベンチ2ヶ所。
風もなく蒸し暑い。すでに背中は汗でびっしょりだ。
頂上直下には展望台(金毘羅公園 展望台)があり、五日市の街並みを見降ろせる。

 
滑りやすい土の道を詰めると石段、社が見えてくる。
駅から1時間、「金毘羅神社」に着いた。

 
境内は少し広く、脇には東屋やベンチ。トイレもあった。
お参りを済ませ、社の右手を進むと、すぐ先に大岩があり、杉林の中、良く整備された登山道が続いている。
所々、標識もあり、興ざめするがホッともする。

 
15分歩くと地図のとおり、林道が交差する分岐に着いた。
林道の脇でダンプとシャベルカー工事をしている。公園か駐車場か?何れにしても人工的な物が作られようとしている。
林道を右に下ると「南沢 アジサイ園」行けるらしい。後で出会う山田さんはここから登って、アジサイの写真を撮りたかったらしい。
 
 
更に杉林に囲まれたゆるい登りが続く。
地図を見ながら歩くと自分がどこを歩いているか良く分かる。
途中、赤い木イチゴの実や、ホタルブクロの花を見つけた。
 
 
新たに林道を造成している所を通過する。近くでチェンソーの音がする。
更に30分歩くと、地図のとおり送電線の下を通過する。

 
その先で東の斜面が開けた場所に着く。杉が伐採され、新たに植林さえた若い杉の新芽が色鮮やかだった。
更に尾根沿いの杉林の中、しっかりとした道を進む。
「白岩山」の手前で登りがきつくなる。木の階段を登ると、先の尾根を一人の登山者が横切った。

 
通過した尾根は、「白岩山」へ続く支尾根だった。
日鉄鉱業梶@危険 立入禁止を書かれたフェンス沿いに進むと、眺望もベンチも無い「白岩山」631.9mの山頂に着く。
先に到着していたのは、他でもない山田さんだった。仙人の杖は、ここで魔力を表した。

 
二人の他、誰もいない奥多摩のマイナーな山頂で盛り上がること30分、山登りの途中だったことを思い出し、次に進む。
地図にルートが出ていない「タルクボノ峰」(タルクボノ頭)に着く。
東電の鉄塔が立っていて、南側だけ眺望が開けている。

 
ここでメモを取る山田さんを置いて、先に下る。
正規のルートに戻り、尾根沿い進む。ここも東側が伐採され、開けている。
「麻生山」の手前で巻き道と山頂への分岐があるが、ここはやはり山頂へ。
最初はトラバースぎみに歩くと南東側の尾根に出る。
少し岩が見えたので、偵察してみたが、景色の良さそうな所は無かった。
急登を登りきると、杉が生い茂る「麻生山」794mの山頂に到着する。
山頂は、北東側だけが開けている。
山田さんも追いつき、ここでも話し込んだ。

 
下るとすぐに4差路の分岐に着く。このまま北に進むと「日の出山」。
山田さんは「白岩滝コース」を下ると言う。
自分はバリエーションルートの「麻生山北東尾根ルート」を下ることにした。
分岐から「白岩滝コース」を少し進んだところで別れ、2時間後、「つるつる温泉」で待ち合わせることにした。
「麻生山北東尾根ルート」は、踏み跡が薄く、地図が手放せない。
下り始めてすぐに林道を通過する。その先の登山口も分かりやすい。
 
 
地図には何ヶ所か道間違えの注意と書き込まれている。
それに注意しながら、尾根の分かれ道に着いた。
自分は時計の高度計を頼りにまだ先と判断したが、実は道間違えで、正しいルートは右に下る尾根だった。
下るに従い踏み跡はなくなり、少々無理して藪を下りきった。
下りながら沢の音がしたので、渡渉を心配したが、降りたところは沢の手前に林道があったので、沢を渡らずに済んだ。(ホッ)
舗装された林道は「滝本沢」沿いで、5分ほどで「滝本道分岐」に出た。
この道はバスも通る道で、左側に曲り5分ほどで「つるつる温泉」に到着した。
 
 
靴を脱いだ後、受付で820円を払い山田さんを待つ。が、2時間後の約束だったので、受付に言付を頼み、先に風呂に入る。
広い浴槽に、サウナもある。ポリバスだが露天もある。
泉質は「瀬音の湯」と同じ、肌つるつるの温泉。実に気持ちが良い。
 
すっかり温泉を堪能した頃、山田さんが到着。露天でまたまた、山の話に花を咲かせる。
バスの時間を気にしながらロビー行き、バス待ちの間、缶チュウハイを飲み始めると、またまた話に盛り上がり、結局、バスを1本見送ることにした。
15時のバスから16時15分に変更し、武蔵五日市からJR。拝島で乗り換えようとした時、山田さんが「美味しい焼鳥屋が」とお誘いがある。
躊躇することなく賛同。そこでも3時間、山の話で大いに盛り上がった。
帰りに名刺をもらい、再会を誓った。次もどこかの山で一緒したい。
 
尚、仙人の杖は「つるつる温泉」のバス停に置いて来た。また誰かがこの杖を使って、山人との出会いがあることを祈っている。
 
 
【編集後記】
 
意気投合とは、こう言うことか。
 
 ( ^^) _旦~~
 
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