山行記録 2014年 No.10 |
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7月2日(水) 日帰り山行 | |
奥多摩 金毘羅尾根 白岩山(631.9m) 初級コース |
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アクセス・コースタイム |
![]() 平日の朝9時過ぎ、奥多摩は武蔵五日市駅から北北西に伸びる「金毘羅尾根」のマイナーな「白岩山」の山頂で、杖の魔力により、一人の登山者に出合った。この登山者こそ、これから説明する山田さんである。 その山田さんの第一声が「同業者?」だった。 最初、意味が分からなかったが、矢継ぎ早に「今日は平日だよ。こんな山に登って来るなんて、バリエーション好き?」と浴びせられる。 あなただって平日だろうと、思わず「そのまま返しますよ」と言い返す。そうしたら思い切り笑われた。こっちも一緒に笑った。 頭には手拭の鉢巻き。腰には大工さんが使う帆布の釘袋。手にメモ帳を持って、山名が書かれた標識をしきりにメモしていた山田さんは、聞けば、奥多摩の登山道の標識や看板、コースの特徴、眺望などを詳細に記録し、ノートにまとめているらしい。その数十冊になるとか。 話をすればするほど、「同業者」、つまりバリエーションルート好きだと分かった。 初対面で意気投合。話が盛り上がり、「白岩山」で30分。「麻生山」で1時間。「つるつる温泉」で1時間半も話し込んだ。それでも話は尽きず、拝島駅を降りて焼鳥屋で3時間飲んで、再会を誓い別れた。 登り方は微妙に違うが、登りたい山が似ている。そして何より、話が愉快だった。 尚、山田さんは小澤酒造鰍フ製造部の頭役。お酒作りのプロである。 |
梅雨の中休み。ネットのウェザーニュースとスケジュール帳を睨めっこ。 そして、平日の水曜日、振替え休日を取った。 しかし、休みを前に机の決裁箱は山盛り。それをこなし帰宅すると夜10時を過ぎていた。結局、2時間半の睡眠で出発。 いつも始発電車に乗って朝7時、武蔵五日市駅に着いた。雲は多いが晴れている。 平日、仕事に急ぐサラリーマンの目線が気にしながら守屋さんの登山詳細地図を片手に7時15分、歩き始める。 ![]() 秋川街道32と書かれた標識を右に折れ、住宅街の中を過ぎ、小学校の脇を進む。 最後の民家が見えると舗装の道は終了。この先、車両通行止めとなっている。 ここで車両通行止めの看板の脇に杖を見つけた。 それを眺めていると、早くも下って来る老人に会った。 「もう下山ですか」と聞くと、「神社までですよ。もう400回も登ってます。」と。 へーっと感激し、話を聞くと、2年前にこの地に越してきて、2週間おきに「金毘羅神社」まで登っているらしい。 そして、杖を作っては、ここに立て掛けて登山者に使ってもらっているそうだ。 その杖は杉の中太の枝をきれいに皮を削り、頭を斜めにカット。全体をサンドペーパーで仕上げてある。 そして何よりカッコいいのが、マジックでロットナンバーが書かれていることだ。 この時譲り受けた杖は、No.375。 仙人みたいな人からもらったこの杖が、不思議な魔力を持っているとは、この時は知らなかった。 ただ、この杖が、微妙に曲がっていて、出会った人も微妙に曲った人だったのは、この杖の魔力のせいだろうか。 ![]() (後姿の仙人、杖のここに立て掛けてあった。) ![]() 杉林の整備された道を登る。途中ベンチ2ヶ所。 風もなく蒸し暑い。すでに背中は汗でびっしょりだ。 頂上直下には展望台(金毘羅公園 展望台)があり、五日市の街並みを見降ろせる。 ![]() 滑りやすい土の道を詰めると石段、社が見えてくる。 駅から1時間、「金毘羅神社」に着いた。 ![]() 境内は少し広く、脇には東屋やベンチ。トイレもあった。 お参りを済ませ、社の右手を進むと、すぐ先に大岩があり、杉林の中、良く整備された登山道が続いている。 所々、標識もあり、興ざめするがホッともする。 ![]() 15分歩くと地図のとおり、林道が交差する分岐に着いた。 林道の脇でダンプとシャベルカー工事をしている。公園か駐車場か?何れにしても人工的な物が作られようとしている。 林道を右に下ると「南沢 アジサイ園」行けるらしい。後で出会う山田さんはここから登って、アジサイの写真を撮りたかったらしい。 ![]() ![]() 更に杉林に囲まれたゆるい登りが続く。 地図を見ながら歩くと自分がどこを歩いているか良く分かる。 途中、赤い木イチゴの実や、ホタルブクロの花を見つけた。 ![]() ![]() 新たに林道を造成している所を通過する。近くでチェンソーの音がする。 更に30分歩くと、地図のとおり送電線の下を通過する。 ![]() その先で東の斜面が開けた場所に着く。杉が伐採され、新たに植林さえた若い杉の新芽が色鮮やかだった。 更に尾根沿いの杉林の中、しっかりとした道を進む。 「白岩山」の手前で登りがきつくなる。木の階段を登ると、先の尾根を一人の登山者が横切った。 ![]() 通過した尾根は、「白岩山」へ続く支尾根だった。 日鉄鉱業梶@危険 立入禁止を書かれたフェンス沿いに進むと、眺望もベンチも無い「白岩山」631.9mの山頂に着く。 先に到着していたのは、他でもない山田さんだった。仙人の杖は、ここで魔力を表した。 ![]() 二人の他、誰もいない奥多摩のマイナーな山頂で盛り上がること30分、山登りの途中だったことを思い出し、次に進む。 地図にルートが出ていない「タルクボノ峰」(タルクボノ頭)に着く。 東電の鉄塔が立っていて、南側だけ眺望が開けている。 ![]() ここでメモを取る山田さんを置いて、先に下る。 正規のルートに戻り、尾根沿い進む。ここも東側が伐採され、開けている。 「麻生山」の手前で巻き道と山頂への分岐があるが、ここはやはり山頂へ。 最初はトラバースぎみに歩くと南東側の尾根に出る。 少し岩が見えたので、偵察してみたが、景色の良さそうな所は無かった。 急登を登りきると、杉が生い茂る「麻生山」794mの山頂に到着する。 山頂は、北東側だけが開けている。 山田さんも追いつき、ここでも話し込んだ。 ![]() 下るとすぐに4差路の分岐に着く。このまま北に進むと「日の出山」。 山田さんは「白岩滝コース」を下ると言う。 自分はバリエーションルートの「麻生山北東尾根ルート」を下ることにした。 分岐から「白岩滝コース」を少し進んだところで別れ、2時間後、「つるつる温泉」で待ち合わせることにした。 「麻生山北東尾根ルート」は、踏み跡が薄く、地図が手放せない。 下り始めてすぐに林道を通過する。その先の登山口も分かりやすい。 ![]() ![]() 地図には何ヶ所か道間違えの注意と書き込まれている。 それに注意しながら、尾根の分かれ道に着いた。 自分は時計の高度計を頼りにまだ先と判断したが、実は道間違えで、正しいルートは右に下る尾根だった。 下るに従い踏み跡はなくなり、少々無理して藪を下りきった。 下りながら沢の音がしたので、渡渉を心配したが、降りたところは沢の手前に林道があったので、沢を渡らずに済んだ。(ホッ) 舗装された林道は「滝本沢」沿いで、5分ほどで「滝本道分岐」に出た。 この道はバスも通る道で、左側に曲り5分ほどで「つるつる温泉」に到着した。 ![]() ![]() 靴を脱いだ後、受付で820円を払い山田さんを待つ。が、2時間後の約束だったので、受付に言付を頼み、先に風呂に入る。 広い浴槽に、サウナもある。ポリバスだが露天もある。 泉質は「瀬音の湯」と同じ、肌つるつるの温泉。実に気持ちが良い。 すっかり温泉を堪能した頃、山田さんが到着。露天でまたまた、山の話に花を咲かせる。 バスの時間を気にしながらロビー行き、バス待ちの間、缶チュウハイを飲み始めると、またまた話に盛り上がり、結局、バスを1本見送ることにした。 15時のバスから16時15分に変更し、武蔵五日市からJR。拝島で乗り換えようとした時、山田さんが「美味しい焼鳥屋が」とお誘いがある。 躊躇することなく賛同。そこでも3時間、山の話で大いに盛り上がった。 帰りに名刺をもらい、再会を誓った。次もどこかの山で一緒したい。 尚、仙人の杖は「つるつる温泉」のバス停に置いて来た。また誰かがこの杖を使って、山人との出会いがあることを祈っている。 |
【編集後記】 意気投合とは、こう言うことか。 ( ^^) _旦~~ |
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